ナビゲーションメニューへ

「自閉症」という言葉の負の力

2021/12/02(木) 12:05 | izawa

 11月28日(日)に行われた「第21回 札幌療育セミナー」の中で、児童デイサービスの保育士の方からのお話です。

 2才半くらいの子どもさんが、デイサービスを利用し始めました。1才半の時に医師から自閉症の診断を受けていて、言葉は全くしゃべらないとお母さんから聞いていました。

 保育士の方は、このセミナーが始まった最初から参加していただいている方で、子どもさんと接してみて、自閉症とは思えず、こちらの言った言葉は理解しているので、個別の対応の時間を取り、大人と一対一のかかわりを続けていったところ、一週間後、明瞭な発音でしゃべり出し、今は普通にしゃべっているとのことでした。

 後で、保育士の方がお母さんに尋ねたところ、1才半で自閉症の診断を受けてから、お母さんが子どもさんのやること、やりたいことをやってあげていたそうです。着替えも、食事など身の回りのことはお母さんがやっていたそうです。お母さんとしては、自分の子どもさんが自閉症という障害なのだから、あんまり無理なことはさせられない、障害なのだからできないのは仕方がない。できなければ、自分がしようと思ったのではないかと推察します。

 こういうお母さんは、実は私が養護学校の教諭をしていたころ、少なくとも20年くらい前からおられました。これはお母さんが悪いというより、医師や心理士の中で、子どもさんは自閉症という障害で、無理なことをさせると本人がかわいそうだから、障害を受け入れて、できなければ親御さんがしてあげてください、というようなことをお母さんにお話しする方がたくさんおられたということです。そして今でも、残念ながら少なからずおられるのでしょう。

 今回の子どもさんの場合は、最初から発音が明瞭であったということですので、しゃべれたのにお母さんが何でもしてくれていたので、しゃべる必要がなかった、ということかと思います。

 今回の事例で、「自閉症」という言葉の負の力がいかに大きいか、そして、人とかかわることによって、相手に伝えたいということがたくさん生まれてきて、子どもは言葉をしゃべり出すのだということを改めて実感しました。

 以上です。