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釧路療育セミナ事例研究(2)~後ろで見ていた友だちを突然蹴飛ばす、そして難聴の場合の言葉の遅れ

2021/10/29(金) 14:29 | izawa

 今回は10月24日(日)に行われました「第1回 釧路療育セミナー」の後半の事例研究のご紹介の2回目です。今回は2つご紹介したします。

【事例2】
 年中さんの男子の園児で、みんなで例えば絵を描いたりしているときは何でもないのですが、近くに人がいなく、自分一人で何か例えばパズルでもしているとき、後ろに先生がいるときは何ともないのですが、友だちが見ているととても嫌がり、この前はとうとう友だちを蹴飛ばしてしまったとのことでした。何が原因なのでしょう?

★幼稚園の先生は、なぜこんなことでほかのお友だちを蹴飛ばすのだろ
 う?、と思われたのではないかと思います。今回の問題は、自分のい
 らいらする感情を抑えられなかったこと、そして他のお友だちを蹴飛
 ばす、つまり「他害」というものがあるということです。これは、今
 のうちになくしていかなければなりません。これまでの経験から、こ
 のままこれからお兄さんなったら自然と蹴飛ばすことがなくなるとい
 うことはありません。ずっと続いていくことになります。

★今回の大きな問題点は「感情を抑えられなかった」ということです。
 子どもは、3才・4才くらいから「自律性」が伸長していきます。自律
 性とは、「自分で自分の行動をコントロールすること」です。つまり
 は、「自分の感情をコントロールする」ということです。それを言い
 換えますと「自己主張・自己実現と自己抑制のバランスが取れる」と
 いうことです。

★3才・4才ころになると、この事の意味や善悪が分かるようになり、更
 には周りの状況や様子を見ながら、それらに適応して行動ができるよ
 うになってきます。ですから、「自律性」が発達してくるのです。今
 回の子どもさんの場合、この自律性が伸びていないのではないかと考
 えられました。幼稚園の先生に、このお子さんのおうちの様子を伺っ
 たところ、一人っ子でとてもご両親に大事に育てられているようだ、
 というお話がありました。

★さて、お子さんを大事に育てるといことは悪いことではありませんが
 陥りやすい欠点があります。それは、大事に育てるあまり「ちょっと
 待つ」や「ちょっと我慢する」、「後片付けをする」など「自分を抑
 える」経験を子どもさんにさせていない場合があります。それが3才・
 4才くらいまで続くと、本来伸びるべき自律性、つまり「自己主張・自
 己実現と自己抑制のバランスをとる」ところの「自己抑制」の経験が
 極端に少なくなれば、バランスの取りようがなくなります。

★自律性が伸びずに幼稚園や保育園に入ると、「かんしゃくが激しLく
 なる」「友だちとトラブルが多くなる」「自分の思う通りにいかない
 時友だちをたたいたり足で蹴飛ばしたりする」ということが出てくる
 可能性が高くなります。

★もし、今回の場合、おうちでの状況が、こちらの予想通りであるとし
 たら、早急に対応しなければなりません。こういう場合は、幼稚園の
 先生から、お母さんに、お話をしていただき、おうちで「自分を抑え
 る経験」、例えば「ちょっと待つ」「ちょっと我慢する」「遊んだ後
 の後片付けをする」「自分でできることは自分でする」などの経験を
 これから意識的させていくことが大事であることを理解していただく
 ことがとても大事です。もちろん幼稚園でも同じようにすることも必
 要です。このような、お話を伊澤の方からさせていただきました。

 

【事例3】
 年中の園児で、片方の耳が軽い難聴で、友だちとかかわるときちょっとずれたり、違和感があったりして、行動を見ていると「自閉症なのかな」と思って見たりすることがあるが、どう考えればよいのでしょう、ということでした。

★先生にお聞きすると、軽い難聴の方の耳が中耳炎であるとのことで、
 そういう場合は、よく聞き取れないことも多くなるので言葉も遅れて
 くることが多くなります。今までも、楽しい広場の相談の中でも、言
 葉の遅れの原因が中耳炎であったという例は何人かおられました。中
 耳炎が治ることにより、言葉がどんどん出だしたという子どもさんも
 おられました。

★もし、中耳炎などが原因で耳が良く聞こえていないとしたら、人との
 かかわり、コミュニケーションで遅れが出たり、不自然だったりする
 ことが出てくることは十分考えられます。そして、行動だけ見ると   
 「自閉症ではないか」と考えられる人もおられるでしょう。しかし、
 今回のように「軽い難聴」という自閉症以外の原因がはっきりしてい
 るのであれば、「自閉症」という言葉は、横にどけておいて、耳の状
 態を医療で改善することとともに、少し聞きづらいという子どもさん
 の状態を把握した上で、言葉の指導や友だちとのかかわりの経験をさ
 せていくことが大切であると思われる、というお話を伊澤の方からさ
 せていただきました。

 今回は以上です。