乳幼児にとって、「模倣」というのは、認知面、コミュニケーション、言葉、手指の巧緻性などの技能等の発達をしていく上で、とても重要なものです。とりわけ母親(養育者)との間の模倣は、基本になります。
ここでは、コミュニケーションという面から、「模倣」を見ていきたいと思います。つまり、コミュニケーションという面から見ると、「模倣」にはどのような特徴があるのか、ということです。
具体的な例として、「チンパンジーとヒトの模倣能力の研究」(明和政子氏、2006年)を取り上げます。
○チンパンジーの母親が、モノを介して子どもと関わるやり方は、ヒトの母親のそれとは本質的に異なる。
○チンパンジーの母親は、モノを介して乳児と関わることはほとんどない。そのため、チンパンジーの乳児は、モノの機能や操作方法を自分自身で試行錯誤しながら、それぞれの子ども自身のやり方で身につけていく。
●それに対して、ヒトの母親は、乳児とのコミュニケーションにおいてせっせとモノを取り入れ、鏡のように乳児に対して振る舞う。
●ヒトの乳児は、母親との間で模倣をすることにより、モノの知識を「他者との関係性」を基盤に学ぶ。
●こうした三項関係(母親、乳児、モノ)に基づくコミュニケーションは、「モノに関わる他者の行為の目的や意図を予測する」ことを可能にする。
●そして、ヒトはモノを扱っている他者の身体の動きそのものから、その背後に潜む「心の状態」を察し始めるのである。
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*このようにして、人間は、「相手の意図や目的を理解して模倣する」ことができるようになる。
*これに対して、人間にもっとも近いとされるチンパンジーは、相手の意図や目的を理解することなく、表面上だけで、同じ行動を模倣するのである。