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「一斉指示が通る」ために何をするか?

2021/10/11(月) 16:01 | izawa

 幼児期の発達の不安の中に「一斉指示が通らない」があります。幼稚園・保育園などで先生から指摘されることが多いですね。
 「一斉指示が通らない」についてはこれまでも何回かこのブログで説明をしてまいりました。しかし、これについて不安に思われている親御さんが今でも、全国でたくさんおられると思います。先日の10月3日に札幌で行いました療育教室の中にもおられました。ちょうど、就学にもかかわってきますので、もう一度ここで説明いたします。
 

1 「一斉指示が通らない」とは? 
 「一斉指示が通らない」というのは、幼稚園や保育園などの年少、年中、年長の子どもさんで、教室で例えばみんなんで絵を描こうとするとき先生の準備の話、具体的には「まず、自分のお道具箱を持ってきてください」「紙を取りに来てください、今日は白と黄色の紙を使います」など、先生が順番を追ってやることをクラスの子どもたちに話していくとき、自分だけ、ボーっとしていたり、何をやっていいか分からなかったり、仕方がないので隣や近くのお友だちの動きを見ながら、みんなについていくというようなとき、そしてそういうことが何回も続くようですと先生方から「一斉指示が通らない」と指摘を受けます。

 

2 なぜ、「一斉指示が通らない」がそんなに問題なのか?
 どのお子さんも最初は一斉指示が通らないのですから、「一斉指示が通るようにすればいいのではないか」と単純に考えますが、現実はそうはいかない場合が多いのです。
 例えば、年中さんの子どもさんにそういう子どもさんがいたとき、「まあ、そういう子どもさんも中にはいますよ」と、どっしり構えてくださる先生もいらっしゃいます。
 しかし、一方で「一斉指示が通らない?それは大変だ、自閉症かもしれない」と考える先生もたくさんいらっしゃるのも事実です。そのように考えられる先生がおられて、親御さんに「お子さんは一斉指示が通りません」と言ってくるということは、間接的に「お子さんは自閉症かもしれませんから、発達相談を受けられて、早期療育を受けられてはどうですか?」ということをおっしゃられている場合が多いようです。
 これで、お分かりのように早期療育関係の方々や保育園・幼稚園の先生方の中に「一斉指示が通らない=自閉症」と考えられている方が多く、そういう考えをおもちの先生方であれば、「一斉指示が通らない」ということを重大な問題と考える可能性は十分あります。

 

3 「一斉指示が通らない」原因は何か?
 我々「発達療育」では、もちろん自閉症とは無関係と考えます。では、原因は何か?
 これまで、療育教室 楽しい広場の発達相談にも「一斉指示が通らない」と先生に言われて、来られたお子さん、親御さんがたくさんおられました。そこから考えていきますと、原因は二つ考えられます。
 一つは、3才くらいまで、「おうちで伸び伸びと過ごしている」場合です。伸び伸び過ごすのは良いのですが、自分でやれそうなこともお母さんやお父さんがやってあげていたり、「待つ」とか「ちょっと我慢する」という経験をほとんどしていない場合です。そういうお子さんは、言葉が遅れる場合もあります。しゃべる必要があまりない場合は遅れる可能性があります。そして、「自分を抑える経験」が少ない分「自分中心」になってしまいます。
 そういうお子さんが3才を過ぎて幼稚園や保育園の集団生活に入った場合、自分の身辺処理がなかなかできなかったり、大人とのコミュニケーションはできるのですが、友だちと一緒に遊んだり、話しをしたり、集団で行動をすることなどが、他の子どもさんより遅れるという場合が考えられます。

 そしてもう一つは、「視覚優位」の子どもさんの場合です。2021年10月9日付のブログで、それについては説明をいたしましたが、「視覚優位」のお子さんの中で、極端にお母さんとのかかわりが少なかった場合で、言葉が遅れたり、「待つ」とか「少し我慢する」などの自分を抑える経験が少ない場合、「おうちで伸び伸びと過ごしている」場合と同様な状態になることが考えられます。

 この二つのパターンの子どもさんに共通しているのは「自分中心である」ということです。つまり、その分「幼い」と感じられるということです。そして、そのような子どもさんの場合、まだ仲の良いお友だちがいたり、何人かのお友だちと一緒に遊ぶということができていない場合が多いのです。つまり、まだ集団の中にいても意識は自分の周りしかないということです。ですから、10人とか20人の集団の中で、他のお子さんたちも意識できていないのですから、その集団に向かっての大人である先生の言葉を聞き分けるということは難しいと考えられます。

 

4 「一斉指示が通る」ために何をしたら良いか?
 
これまで、考えてきたことを重ね合わせますと、何をすれば良いかが見えてきます。
 まず、友だちができて、数人の友だちと遊ぶことができることです。それができるようになると、数人の友だちの集団の中で遊んだり、行動することの中で、少し向こうにいる〇〇くんと話したり、後ろにいる△△ちゃんが自分を呼んでいることなどが分かるようになり、その集団がだんだん大きくなり、大きい集団の中でも友だちや先生を意識できるようになってきます。そこまでくれば、人間の耳には人の声を聞き分ける能力が備わっていますから、集団の中での「一斉指示が通る」ようになっていきます。
 ここで一つ、集団の中で「一斉指示が通る」ようになるためには、幼稚園や保育園の先生方のご指導が必要になります。
 具体的には、まだ友だちがいないようであれば、何人かの友だちのごっこ遊びなどの中に先生が最初一人入っていただいて、一緒にお子さんも参加するようにし、何回かの経験の後は先生が抜けて、子どもたちだけで遊ぶように先生方にお願いしてはいかがでしょう。

 ちなみに、これまでにも、何人ものお母さんから「一斉指示が通るようになった」とご連絡がありました。

 今回は以上です。