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ふたたび「一斉指示が通らない」です。

2021/08/03(火) 16:51 | izawa

 最近続けてメール相談で、ご自分のお子さんの「一斉指示が通らない」と幼稚園や保育園の先生に指摘されたケースの相談が続きました。
 「一斉指示が通らない」というのは、ずっと以前から相談の内容としてたくさんありました。

 なぜかと言いますと、幼稚園や保育園で集団で活動をしているとき、全体に向けた先生の指示に沿って行動ができず、他の先生が個別に指導するか、あるいは、子どもさん本人は周りの子どもさんの様子を見て真似をして、集団についていく状態で、それが自閉症などの発達障害の可能性があるのではないかと、先生方に直接、あるいは間接的に親御さんに言われるためです。

 つまり、「一斉指示が通らないということは、発達障害の可能性がありますから、療育に行かれた方が良いのではないですか」ということです。

 まず、知的な発達に大きな遅れをもっている子どもさんは、そういうことはあり得ます。でも、そういう場合は、集団で活動をする前の段階でほとんど分かります。

 では、その他の場合です。幼児期の子どもさんで、「一斉指示が通らないから、自閉症などの発達障害の可能性がある」ということはありません。なぜなら、発達障害以外に、「一斉指示が通らない原因」があるからです。つまり「一斉指示が通らないから、自閉症である」ということはありません。

 自閉症などの発達障害以外で「一斉指示が通らない」原因を考えます。これまでの楽しい広場で「一斉指示が通らない」というご相談を受けたとき、子どもさんの発達の実態を、主にお母さんからの聞き取りと、実際に子どもさんと一緒に遊んだりしながらの観察で把握します。

 その時、「一斉指示が通らない」子どもさんの特徴が出てきます。それは子どもさんが同じ年令の子どもさんより幼い感じの場合です。「一斉指示が通らない」ということで相談をされる場合、幼稚園でいう年少さんから年長さんくらいの間の子どもさんです。

 その子どもさんで、幼いと感じられる理由は、大きく二つあります。一つは発語の時期が遅かった場合で、発語が遅かった分、その後の言葉でのコミュニケーションの発達が遅い場合です。もう一つは、生まれてから3才くらいまで、お母さんやお父さん、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんが、身の回りのことを至れり尽くせりでやってあげていた場合です。そういう場合は、幼稚園や保育園に入ると、当然他の子どもさんから比べて「幼くなる」でしょう。

 では、幼い感じならばなぜ「一斉指示が通らない」のか?,それは、幼いということは、「自分中心に考えてしまう」からだということです。子どもさんたちは、だれも最初から集団の活動の中で、「一斉指示が通る」訳ではありません。ごっこ遊びや集団遊びの経験を通じて、集団の中で他の人を意識して行動することができるようになり、更にその中で先生の声、言葉を聞き分け、一斉指示が通るようになります。

 幼い感じの子どもさんの場合、どうしても集団の中で他の人への意識より、まだ自分中心のことが多くなるので、集団の中にいながら、先生の声や言葉を聞き分けるということは、難しいのだと思います。よく、周りの子どもさんの様子を見ながら真似をしている、という場合がありますが、まさしく「自分のことで精いっぱい」だということです。

 しかし、そういう子どもさんも、友だちとのかかわり、集団での活動の経験を重ねていくと、一斉指示が通るようになります。もちろん障害ではありません。改善の方法は、そういう集団での活動を、最初は個別の援助も必要かもしれませんが、重ねていくという、至極当たり前のことです。

 「一斉指示が通らない」と先生方に言われて、障害ではないかと不安に思われているお父さん、お母さん、先生方に「もう少し経験を積ませて様子を見ていただけませんか」と伝え、子どもさんのための経験のために、時間を取ってあげていただきたいと思います。