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自閉症の発生率について

2021/07/28(水) 14:14 | izawa

 療育教室 楽しい広場が行っている「発達療育」の理論的基盤の一つに1990年代に提唱されたイギリスの認知心理学者である、ウタ・フリス氏が提唱した自閉症の「言語・認知障害説」があります。今までも、自閉症に関して、このブログで取り上げてきました。

 さて、この「言語・認知障害説」が説明されている著書である「自閉症の謎を解き明かす」の中に、1966年に行われた自閉症の発生率を調べた調査研究が取り上げられています。

 ヴィクター・ロッターという人が、中心となって行われた研究です。場所はイギリスのロンドン近郊のミドルセックス地区で、この地区に住所のある8才から10才までの子ども、約78000人を対象にしました。

 その78000人の子どもにかかわる教師などの専門家に質問紙を郵送し、「自閉症かもしれない」と考えられるすべての子どもを把握しました。

 その次に、医学的記録に当たり、個別のインタビューを行い、「自閉症の疑いがある」135例のケースを抽出しました。

 そして、これらのケースについて、非常に詳しい検討が行われました。具体的には、カナーが最初に記述したものと同様の子ども、つまり「感情的接触の恒常的な欠落と、同一性保持の強迫的要求がすでに5才以前から見られた」を抽出しました。その数が35人でした。

 さらにその35人を、特徴が著しいものとそこまではいかないものとに分けました。自閉症の中核群と思われるものが15人、非中核群と思われるものが30人でした。

 ここから導き出されることは、8才から10才までの子どもで、カナーによって記述された自閉症の明確な事例だったと思われる子どもは15人と考えられますので、78000人の中の15人で、割合としては、0.0002%、つまり、1万人に2人ということになります。非中核群を含めますと0.00045%になり、1万人に4.5人ということになります。

 札幌市の2019年の出生数が12741人でした。自閉症と考えられる子どもの発生率を0.00045%と考えると、自閉症の子どもは5.7人ということになります。

 北海道で考えますと、2017年の出生数が34040人で、それに札幌市と同じように自閉症の発生率を0.00045%と考えると、15.3人になります。

 札幌市の場合、自閉症の子どもが6人として、10の区がありますから、一年間に生まれた子どものうち、自閉症の子どもは6つの区にしかいないことになります。

 今、例えば札幌市にしたとしても、自閉症と診断されたり、所見をもらった子どもさんの数は、この研究における発生率から導き出される数と2桁くらい違うかもしれません。

 それが、今回みなさんに聞いていただきたかったことです。