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第15回 療育セミナーの報告~視覚情報があふれ出る

2020/01/20(月) 17:35 | izawa

 1月19日(日)10:00~12:00、札幌市社会福祉総合センター第2会議室で、第15回 療育セミナーを開催いたしました。6つの幼稚園と1つの児童デイサービスから11名の先生方に参加いただきました。

 今回のテーマは、「ボーっとしている、言われたことを理解できない、自分の世界に入る」という子どもさんたちについて、障害以外から原因を考え、改善の方法を探るというものでした。

 今回のテーマのような子どもさんは、だいたいどこの幼稚園、保育園、児童デイサービスなどにいると思われます。そして、そういう子どもさんたちは、だいたい自閉症ではないかと、周りに思われているのではないかと思います。

 しかし、そういう子どもさんで
  ・記憶力が抜群い良い
  ・絵を描くのが大好き
  ・絵本や図鑑が大好き
  ・アニメのキャラクターや車の名前など膨大な数を覚えている
  ・文字や数字が好きで読める数も多い
というような子どもさんがいたら、それは障害以外の原因が考えられます。そういう子どもさんたちは、脳の認知処理機能(新しい知識や技能を獲得していく機能)の一つである「同時処理機能」が特に強い子どもさんであると考えられます。

★同時処理機能とは
 「同時処理機能」とは、1993年にアメリカで発売された「K-ABC知能検査」(日本では2013年に日本版の改訂版が出ています)の基礎理論(カウフマンモデル)に出てくる、脳の認知処理機能の一つです。定義は次のようなものです。

【同時処理機能】
  ・複数の刺激をまとめ、主に視覚的な手がかりを使って、全体として
   とらえる能力。

 それに対してカウフマンモデルでは、「同時処理機能」と対をなす形でもう一つの機能があります。それが「継次処理機能」です。定義は次の通りです。

【継次処理機能】
  ・連続した刺激を一つずつ順番に処理する能力。

 具体的には、例えば「7359168」という7ケタの数字を暗記する場合、この数字を写真で撮るように全体的に一括して記憶するのが「同時処理機能」、「なな、さん、ご・・・・」というように、言葉を使い声を出して順番に記憶していくのが「継次処理機能」と考えると分かりやすいと思います。

  

★同時処理機能が強いということは
  → 「視覚的な情報をたくさん脳の中に記憶しているのではないか」

  → であるならば、脳の中に大好きなアニメの映像や図鑑や絵本の絵
    や写真がたくさん入っていて、その膨大な視覚情報の一部が普段
    の生活や先生や友だちとのやり取りの中で、不意にあふれ出して
    きて、目の前にいる人にはかまわず、例えばアンパンマンのアニ
    メのあるシーンに夢中になってしまう、ということが起きるので
    はないかと考えられます。それがほかの人から見ると「ボーっと
    している、言われたことを理解できない、自分の世界に入る」と
    見えるのではないでしょうか。

 

★改善の方法

 「同時処理機能」が強いということは、言い換えるとそれに比べて「継次処理機能」が弱く、言葉でのコミュニケーション能力が弱いと考えられます。

・お母さん、あるいは幼稚園・保育園・児童デイサービスの先生など、大人と一対一でおもちゃなどの物を使って遊ぶようにします。一日5分でも10分でも良いですので、それを続けることにより、「相手を見て人の話を聞く」というコミュニケーションの基本が身に付き、言葉でのやり取りも当然増え、さらに相手がどのように感じたり考えたりしているかを感じ取り、それを瞬時に分析して次の行動を予測する能力である「心の理論」が伸びてきて、コミュニケーションがよりスムーズになります。

・遊ぶとき、多分苦手だと思われる「順番に記憶する遊び」、例えば絵本の読み聞かせ、手遊び、リトミックなどを多く取り入れるようにします。

 

 今回のセミナーでは、事例研究の中で活発な議論があり、とてもエネルギッシュなセミナーになりました。参加いただいたみなさん、ありがとうございました。そして、今回研究した内容をそれぞれの勤務先に持ち帰られて、たくさんの先生方に知っていただけましたなら、とてもうれしい限りです。