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障害以外の原因を考える(2) 初めての活動や行動が苦手

2019/04/18(木) 13:50 | izawa

 2回目は「初めての活動や行動が苦手」です。

 今回の「障害以外の原因を考える」のシリーズで使わせていただいている,札幌市幼児教育センターの平成30年度改訂版の「アセスメントチェックシート」のうち、使わせてただく項目は、前回の「目と目が合わない」を含めて10項目です。それは、すべて「アセスセメントチェックシート」の5つの領域に中の「その他(配慮事項)」のものです。それはなぜかと言いますと、それらは、以前から、つまり、今の自閉症スペクトラムが自閉症と言っていたときから、自閉症を疑う時の要素と考えられる内容なのです。たぶん、発達相談などで同じようなことを聞かれた方々もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 今回の「障害以外の原因を考える」シリーズの大きな意味は、お子さんの発達に不安をおもちのお父さん、お母さん、特にお母さんに対して、その発達の不安が、いろいろなところから聞こえてくる「障害」以外に、原因がたくさんあること、そしてその発達を伸ばしていく方法を知っていただくことです。もちろん、幼稚園や保育園の先生、児童発達支援事業所の職員の方々にも、ぜひ知っていただきたいと思っています。

 

 さて、本日の項目の「初めての活動や行動が苦手」についてです。チェックシートでは、次のようなチェック項目になっています。

(支援有)
 ・初めての活動や行動などに対する、緊張感や不安が強く、個別にかか
  わって参加を支えることが必要である。
 ・初めてのことに慣れるまで時間を要し、教師がぞばについて個別に対
  応することが必要である。
 ・事前に知らせる、経験させるなどの機会をもつと、教師とともに参加
  する。
(支援無)
 ・初めての活動や行動に期待をもって参加する。

 本来、大人を含めて「初めての活動や行動が苦手、緊張する」という人がいても全然不思議ではありません。それがあっても何もおかしくありません。むしろ、初めての活動や行動に「期待をもって」参加するほうが少ないでしょう。

 ではなぜ、自閉症スペクトラムを含めた発達障害を疑う項目に、この「初めての活動や行動が苦手」が入ったのかと言いますと、チェック項目にあります「緊張」と「不安」です。
 子どもさんの中に、人に対してとても緊張する子どもさん、それから人見知りが強い子どもさんがいます。そういうお子さんは、発達相談や病院での診察で自閉症スペクトラムを疑われたり、診断を受けたりします。
 それはなぜかと言いますと、対人関係、対人相互のやり取りができていない、人とかかわることがうまくできない、と考えているようです。

 さて、これまで、療育教室 楽しい広場の個別療育相談にもそのような子どもさんが来られました。人見知りや緊張感が強いということは、相手を人を強く意識しすぎている、ということです。自閉症、あるいは自閉症スペクトラムというのは、人に関心がない、人との距離感がわからない、人の気持ちを感じ取ることが苦手である、などというものです。つまり、人見知りや緊張感があるというのは、自閉症スペクトラムの対極にあるということです。表面の行動だけをみて、その内面を見ていないということだと思います。

 楽しい広場に来られたお子さんで、一人はとても人見知りの強い小学生低学年の男のお子さんが来られました。最初の30分くらいは、お母さんと私が話をしている間、背中を向けて一人で遊んでいましたが、次第に慣れてきてからは、普通に伊澤と一対一で一緒に遊びました。お母さんと私のやり取りを見て、聞いて、不安がなくなり、安心したのでしょう。
 もう一人は、とても緊張感が強い保育園の年少の女のお子さんで、初めての人はもちろん、保育園でも緊張感が強く、先生やお友だちと話したり遊ぶことがほとんどなく、朝、保育園に来て先生とあいさつをすることもなかなかできないとのことでした。保育園では、朝、先生が本人があいさつをするまで待つ、という対応をされていたようで、本人は一層緊張していたとのことでした。この時、お父さん、お母さんにお話ししたことは、生活の中で本人が安心することが、一番大切であるということです。本人が緊張しているようであれば、時間をかけてでも安心感をもつようにしてあげる、ということです。保育園での本人があいさつするまで先生が待つというのは、本人が緊張を増すだけなので、少し待って挨拶ができないようであれば、先生の方からあいさつをして、本人に言わせるようにしてあげて、言えなくても待ったり責めたりしないというように保育園の先生に対応をお願いしてはどうかとお話ししました。
 一見過保護のようにも見えがちですが、経験を積み、学習することにより子どもは変わっていきます。このお子さんは、その後小学校の通常学級に入学し、元気に過ごしていますと、お父さんお母さんから連絡をいただきました。

 

 本日の結論は、お子さんが緊張や不安が強ければ、まず安心感をもたせるということ。それに対して過保護である、甘い、というご意見もあるかもしれませんが、安心感の中で経験を積み、学習を重ねていけば、強い緊張感や不安感も取れていきます。小さいお子さんに障害と決めつけるのではなく、その不安を解消する働きかけをきちんとしてあげること、それが、子どもさんの成長を信じるということではないでしょうか。