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「障害」以外の原因を考える(1) 目が合わない①

2019/04/17(水) 18:48 | izawa

 療育教室 楽しい広場の役割は、子どもさんの発達の不安の「障害」以外の原因を明らかにし、その原因に応じた適切な働きかけの方法を提示することです。

 その前提は、「子どもの発達には、一定のすじみちがある」ということです。この前提を踏まえて、発達の遅れ、問題行動等、子どもさんの発達の不安の原因を明らかにし、適切な働きかけを行っていくというものです。

 今回から何回かにわたって、平成30年度の札幌市幼児教育センターが作成した「アセスメントチェックシート」(改訂版)と、その記入マニュアルから、一部を取り出して、それに沿って考えてみたいと思います。

 この「アセスメントチェックシート」は、保護者の教育相談や幼児教育センターによる幼稚園・認定こども園への訪問支援の際に使われるものです。生活習慣、認知・ことば、社会性、運動、その他(配慮事項)の5つの領域で50項目の「主な困り」についてチェックをするようになっています。

 今回のこのブログでは、「その他(配慮事項)」の領域に入っている「主な困り」から取り上げます。

 

 まず今回の項目は「目が合わない」です。
保護者の方や幼稚園の先生が記入する際に使う「記入マニュアル」には次のように説明されています。

【目が合わない】

(支援有)目と目が合わない
(支援無)目と目が合う

 

1 「目が合う」とはどういうことか?

 さて、もし自分が記入をしようと思ったらパッと疑問が浮かびます。
①今まで1回でも2回でも目と目が合ったことがあったら、「目と目が合
 う」でよいのか?

②以前は目と目が合っていたが、最近は「目と目が合ったことがない」場
 合はどうか。

③人によって目を合わせる人と目を合わせない人がいるが、その場合はど
 うか?

 実は今まで、たくさんのお母さんや先生とお話をして、このとらえ方が人によって違うことが多くありました。本来は、3つとも「目と目が合う」ことになります
 つまり、①は1回でも合っていたら、「目と目が合う」ですね。②はこれも以前合っていたけれど、今は合わせる暇がない、あるいは合わせたくない、ということですね。③は人によって合わせるのですから「目と目が合う」で良いですね。

 この「目と目が合う」という内容は、以前自閉症の診断をする上での重要なチェック項目でした。つまり、「目と目が合う」ということは、相手を意識し、関心を持っているということの一つの表れである、ということなのですね。現在、自閉症スペクトラムや広汎性発達障害と診断名は変わっても同じ意味をもっています。ただ、「目と目が合わない」ことが独り歩きしてしまうことが多くあります。「自分の子どもは、目と目が合わない、どうしよう。発達障害ではないか。」と心配する方も少なくないでしょう。しかし、もちろんこれだけで発達障害ではありません。

 

2 「目が合わない」原因

 この場合の、「障害」以外の大きな原因は、「物をよく見ているか」、つまり、じっと見る「注視」、目で物を追う「追視」ができているか、ということ、そしてお母さんとかかわる経験が極端に少ない場合、本来、お母さんとのかかわりの中で育つ、コミュニケーションの基本である「相手を見る」「人の話を聞く」という態度が身についていない、ということが考えられます。

 この原因を考える際にチェックする項目は次の事項です。
  ・ことばの理解はどのくらいあるか。(認知的発達)
  ・発語はどのくらいあるか。(認知的発達)
  ・同じ年令の子どもと比べて幼さはないか。(全体的な発達)
  ・視覚が強いと言われていないか。(同時性処理機能の強さ)
  ・記憶力が良いか。(同時性処理機能の強さ)
  ・感覚過敏はないか。(身体的特徴)
  ・理由は置いておいて、お母さんとかかわる時間が極端に少なくなか
   ったか。

 このチェックで、子どもさんの知的な発達段階を把握し、その上で、これまで「お母さんとのかかわりができていたか、少なくはなかったか」を確認していきます。
 言い換えると、知的な発達に大きな遅れがなく、お母さんとのかかわりが極端に少ない場合、「障害」ではなく、経験の少なさ、弱さ、偏りなどが原因で、「目と目が合わない」ことが考えられます。