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自閉症の迷信について考える 3 ~ 目が合わない

2018/08/28(火) 21:34 | izawa

 札幌市には、幼児の教育相談や支援を行うことを目的とした施設「札幌市幼児教育センター」があります。そして、その他に、10ある区に一つずつ、市立の幼稚園あるいは認定子ども園で「地域教育相談」を行っています。各区の中での親御さんや幼稚園からの相談を受けています。

 話は、そこで使われている「アセスメントチェックシート」についてです。相談の対象となる子どもさんについて、親御さん、あるいは幼稚園の先生がそのチェックシートを使って、子どもさんの様子をチェックしていきます。

 チェックする内容は、「生活習慣」「認知・ことば」「社会性」「運動」「その他(配慮事項)」に分かれています。

 

 その「その他(配慮事項)」の一番最初の質問項目が「目が合わない」で、それに関して、「支援が必要・必要でない」のどちらかを選びます。そして、それに関しての記入マニュアがあります。

 それには、支援が必要の場合は「目と目が合わない」、必要ない場合は「目と目が合う」と書かれていました。

 

 「目が合う」ということは、「視線が合う」ということ、アイコンタクトとも言われます。これは、前回説明を致しました、1才~1才半頃に出現する「意図的身振りコミュニケーション行動」の基盤になるものです。

 

 つまり、「視線が合ない」ということになると、「これは自閉症の可能性あり」と周りがざわざわ騒ぎ出すことでしょう。

 

 ここでお話ししたいのは、「視線が合う・合わない」の基準です。

 前述した、幼児教育センターで使っているチェックリストの「目が合わない」の記入の基準はあまりにもおおざっぱすぎてびっくりします。もし、みなさんが付けたとしたら、何を基準にするでしょう。お子さんと、今まで一度も視線が合わなかったとしたら、それは、合わないでいいでしょう。しかし、今まで遊んだり、日常の生活の中で視線が合うが、回数は多くない、とか、場面によって違うとか、最近は視線が合うことが少なくなった、、などいろいろな状態が上げられます。これらのような状態は、視線が合うと考えて良いのでしょうか? 

 答えはもちろん「視線が合う」です。

 これまでの中で、視線が合っていることが有るのであれば、他の人を意識していると言うことです。場面や回数は違っても問題有りません。小さいときよく合っていたが、今は合わない、という相談がよくありますが、大きくなったらやることがあって、親御さんとゆっくり視線を合わせているひまがないと言うことでしょう。

 

★ある幼稚園の先生が書かれた記入例をご紹介しましょう。

 年長さん男の子で、幼稚園の先生は支援有り、つまり「目が合わない」としてチェックしています。その内容は次のとおりです。

『話をしているときや説明をしている時に「こっちを見てね」というまでは視線が合わない。』

 これを読むと「こっちを見てね」と言った後は視線が合うということです。本来このお子さんは「視線が合う」、ということは、当然できているのですが、記入をした先生が、みんなに話をしているときに視線が合わないことを、視線が合わないと解釈してしまったのでしょう。でも、マニュアルが、あれだけおおざっぱで有れば、先生を責めるわけにはいきません。

 逆に言うと、この先生のような方がたくさんいらっしゃるであろうことは、容易に推察できます。そして、この「目が合わない」が一人歩きをして、そのお子さんが自閉症スペクトラムの可能性ありという方向にもっていかれやすくなります。

 「視線が合う」 その意味をしっかり押さえましょう。