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第4回 楽しい広場 療育セミナーの報告 「視覚の強い子どもさんの言葉の指導について」

2018/03/25(日) 20:10 | izawa

 本日、3月25日(日)、第4回 療育セミナーを星槎札幌北学習センターで開催いたしました。本日は、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスの指導員の方々10名に参加をいただきました。

 実は、今日のテーマは、今の日本の早期療育、そして特別支援教育における根幹の問題にかかわるものなのです。

 

★視覚が強い子どもさんとは、どういう子どもさんか?
 1983年にアメリカのカウフマン夫妻が作った知能検査が「K-ABC」というもので、日本では1993年に標準化され、2013年には、改訂版である「K-ABC-Ⅱ」の日本版が刊行され、日本でも知能検査の一つとして使われています。
 この理論をカウフマンモデルと言いますが、その中で、脳の認知処理機能に2つの類型があるとしています。一つは「同時処理機能」、そしてもう一つは「継次処理機能」です。
 「同時処理機能」とは、複数の刺激をまとめて、全体としてとらえる力。特に視覚的な情報をまとめる力として考えられ、視覚的な記憶力、空間認知力などと結びついていると考えられます。
 一方「継次処理機能」とは、連続した刺激を一つずつ順番に分析し、処理する能力。短期記憶、情報の系列化の能力と結びついていると考えられます。

 具体的な例で考えてみますと、例えば「7196428」という7桁の数字を覚えるとしたとき、「なな、いち、きゅう、・・・・・」と順番に口で言いながら覚えるのが「継次処理機能」、7けたの数字を写真を撮るように、一括的に記憶していくのが「同時処理機能」と考えたらよいと思います。実はこの二つのうち、特に「同時処理機能」が強い子どもさんがいます。この子どもさんが「視覚の強い子どもさん」と言えます。

 では、具体的にはどんな子どもさんなのか?これまで療育教室 楽しい広場では療育相談や言葉や思考力の指導を11年間続けてきましたが、特に言葉が遅い子どもさん、例えば3才になっても言葉が5つしか出ていない、などの子どさんはとても多かったです。そしてその言葉が多いこどもさんの中で、この「同時性処理機能」の強い子どもさんがとても多いのです。そして、もう一つ多いのが「感覚過敏」の子どもさんなのです。
 ではその子どもさんは、どんな子どもさんだったかと言いますと、一度行った所への道を正確に覚えていたり、一度行ったところの細かいところを正確に覚えていたり、アニメのキャラクターや車の車種など膨大な数のものを正確に覚えていたり、2才・3才でひらがな、カタカナ、アルファベットを全部読めたり、それから、突然、アニメのせりふをしゃべり出したり、アニメの歌を歌い出したりする子どもさんです。

 では、なぜそういう子どもさんたちが、「言葉が遅い」のか?途中のことを省きますが、多分一人遊びがとても多かったのではないか。そしてその裏返しは、子どもさんが人とのかかわりを学んでいくべきお母さんとのかかわりが極端に少なかったのではないか、と楽しい広場では考えています。

 

★視覚の強い子どもさんと言葉の指導の関係は?
 楽しい広場に来られた、言葉が遅い子どもさんの中に「視覚の強い子どもさん」が多いことはお話ししました。ということは、そういう子どもさんの多くが保健センターなどの発達相談や病院に受診したりするということも、想像に難く有りません。そういう時、どういう診断や所見が出されるかと言うと、「発達障害」の診断あるいは所見が出され、そして、知能検査などで言葉の発達が遅れていて、同時処理機能が強いということが分かれば、そこで指導の方向性が決まります。
 ここで一つ確認しておきたいのは、「K-ABC-Ⅱ」の知能検査は、指導や支援に直結するものということが強調されていて、子どもさんで、例えば同時処理機能が強いのであればその有利な機能を使って指導をする、というのが、「K-ABC-Ⅱ」の大きな特徴なのです。
 そうであれば、言葉が遅れていて、発達障害の診断、あるいは疑いがあって、同時処理機能が強いのであれば、言葉の代わりに視覚を使ったコミュニケーションの指導、例えばサイン、ジェスチャー、写真、絵などを使ったコミュニケーションの方法を覚えさせていこう、言葉の指導、言葉のコミュニケーションの指導はしなくていい、という考え方が出てくるのです。そして、少なくとも札幌の早期療育、特別支援学校、学級の教育現場の多くで、これらの考え方の指導が行われていると思います。

 これは、大きな間違いです、というのが楽しい広場の考え方であり、今日セミナーでお話をしたところです。障害があろうがなかろうが、同時処理が強かろうが弱かろうが、子どもにとって、将来社会の中で生きていく上で、言葉の発達、言葉のコミュニケーションはとっても重要なものです。それをしないというのは大問題です。

 なぜ言葉の指導が重要なのか、同時処理機能の強い、言葉の遅い子どもさんに対する指導を具体的にどう行うか、それは今回長くなりましたので、次の回に説明をいたしたいと思います。