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子どもを守ることと育てること。

2016/12/18(日) 15:59 | izawa

 だいぶ前になると思いますが、ダウン症の子どもさんをもつお母さんのことをブログに書いたことがあります。私は、今から30年くらい前、当時養護学校の教員をしながら、ダウン症の子どもさんの療育相談をボランティアで行っていました。その関係で、ダウン症の子どもさんをもつお母さんと、数多くお会いすることができました。ダウン症の子どもさんの場合、個人差はありますが、知的な発達の遅れの可能性が多くあります。ダウン症の子どもさんの場合、お母さんは、すぐそのことに向き合わなければなりません。この子どもを、母親の私が育てなければならないと、多くのお母さんが時間をおかず、覚悟を決めなければなりません。実は、どのお母さんもどこかで覚悟を決めなければならないのですが、それは、もっと時間がかかることが多いと思います。しかし、子どもさんがハンディをもって生を受けた場合、すぐ覚悟を決めなければなりません。そして、子育てをしていく上で、「この子を守らなければならない」と、思う場合が多くなります。子どもさんにハンディはなくても、「この子を大事に育てなければならない」と思って子育てをされているお母さんは、同じようなお気持ちかもしれません。

 ここで、お話ししようとすることは、この「子どもを守る」と「子どもを育てる」ことの違いです。この二つの違いが分かりやすいのが、子どもの「社会性」を育てるということです。

 子どもの社会性とは、順番、ルール、約束を守る、人が嫌がることはしない、人と協力する、などが考えられます。子どもは、3才から4才にかけて、「自分で自分をコントロールして行動する」という、「自律性」が急速に伸長します。言い換えると、「自己主張と自己抑制のバランスが取れる」ということです。しかし、子どもさんによっては、この自律性の発達が大きく遅れている場合があります。その多くは、自己主張は多く経験しているが、「自己抑制」、つまり、「自分を抑えること」をきちんと経験していない場合です。具体的には、日常生活の中で、「ちょっと待つ」「ちょっと我慢する」ということをしていない、ということです。これらは、「子どもを伸び伸び育てたい。」「子どもを大事に育てたい。」と思われて子育てをされている場合、多いと思います。子どもは、自己抑制、つまり、自分を抑えることを身につけなければ、自己主張とのバランスの取りようがありません。しかし、この「自分を抑える」ということは、多くの人は、したいことではありません。できればしたくないでしょう。生きる経験の少ない子どもさんであればなおさらのことです。

 つまり、将来の社会性の基礎になる、自己抑制、つまり「自分を抑える」ということは、将来、人間として生きていく上では、重要なことです。そして、それは、子どもが勝手に身に付けるものではありません。「ちょっと待つ」「ちょっと我慢する」という「自分を抑えること」、これは、親が、大人が育てなければなりません。

 子どもは、守らなければなりません。しかし、それと同時に育てなければなりません。守るだけではだめです。では、どう育てたらよいのか?実は、このことをきちんと話せる人が、説明できる人が、今の日本でものすごく少なくなったような気がします。言葉が遅い、多動、感情のコントロールができないなど、発達に不安のある子どもさんの療育相談や指導を10年近く行ってきましたが、今、それを痛感しています。それを変えなければなりません。そのために、準備も進めています。是非、多くの方が、具体的な方法を口にし、実践されることを願って止みません。