クレーン行動と参照視
2023/09/21(木) 17:39 | izawa
子どもさんにクレーン行動があると自閉症の疑いがある、という説がインターネットなどで出回っています。それで、心配され、不安の中におられるお母さんやお父さんもたくさんおられるでしょう。
クレーン行動とは、お子さんが自分が欲しいものを取ってほしいとき、お父さんやお母さんの腕を取って、取ってほしいもののところまで腕をもって動かしていくことです。これがなぜ自閉症とつながるかと言いますと、そういう行動をするお子さんは、人に関心がなくモノだけに関心があるからだ、という理由だそうです。
もちろん我々「発達療育」の立場からしたら「自閉症の迷信」です。世の中に、クレーン行動をするお子さんはたくさんおられるでしょう。それは、物を取ってほしいからですが、そういう時子どもさんがちらっとお母さんやお父さんを見る場合があります。クレーン行動をしながら「ママ取って」と口で言う代わりに視線で語りかける場合です。
この「ちらっと見る」のが「参照視」と言われるものです。ガバッと顔を動かして見るのももちろんOKです。つまり、人を意識してお願いしているということです。これが1回でもあれば大丈夫です。
「うちの子にはこの参照視がない」と心配されている場合、次にクレーン行動があった時に、すぐにとってあげるのではなく、少し待ってあげると良いと思います。お子さんがしびれを切らして、お母さんやお父さんの顔を見てきたら、大丈夫です。
どちらにしても、クレーン行動が自閉症の代名詞ではありません。これははっきりと理解していただきたいと思います。
以上です。