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「一斉指示が通らない」周りの人の真似をしながら行動についていけたら自閉症ではない理由

2022/07/04(月) 15:31 | izawa

 最近、お子さんが一斉指示が通らず、自閉症ではないかというメールでの問い合わせにお答えした中の「周りの人の真似をしながら行動できていれば自閉症ではない、その理由」について、ここでも説明をさせていただきます。

 「一斉指示が通らないは自閉症の特徴である」と考えられている方が多いことは事実だと思います。しかし、一斉指示が通らないが、「周りの人の真似をしながら行動できている」とすると、話は違ってきます。つまり、我々の立場は認知心理学や発達心理学ですが、そこから見ると、「一斉指示が通らずとも自閉症ではない」ということになります。そして、自閉症などは心配せず、一斉指示が通るように働きかけをしていきましょう、ということです。

 

【理 由】

 認知心理学や発達心理学の立場から申し上げますと、自閉症児は「他者と注意を共有できない」ということが大きな特徴になります。よく使われるのが「1才頃の指さし」です。

 子どもさんがかわいいアンパンマンのぬいぐるみを指さし、お母さんの顔を見たとしたら、
 「子どもさんはお母さんと、アンパンマンのぬいぐるみという対象に対する注意を共有している」と考えます。この「注意を共有する」ことによって、お互いに相手の心の状態、感情などの「意図」を感じ取り、そして自分からも相手に伝えていきます。これを「意図的コミュニケーション」と呼びます。そして、我々療育教室 楽しい広場では、この「意図的コミュニケーション」をコミュニケーションの発達、そしてことがの発達の重要な基盤と考えています。
 この「意図的コミュニケーション」があることによって、子どもさんは他の大人、友だちと感情や行動を調整し合い、一緒に共同で活動することができます。つまり、友だちとも遊べるでしょうし、仲の良い友だちもできます。

 

 もし現在、一斉指示が通らなくても、自閉症児でないとしたら「他者と注意を共有している」はずです。その具体的な証明が「周りの人を真似しながら行動している」です。

 例えば、幼稚園のあるクラスで「これから折り紙で貼り絵を作ります」と先生が全体に一斉指示を出したとします。みんなは席を立って自分のお道具箱を持って席に座ります。A君は、何らかの理由でその指示を聞いておらず、サブの先生に個別に促されてお道具箱を持ってきます。

 その後、次の先生の一斉指示に従い、みんなははさみ、のり、折り紙を出したとします。その時サブの先生は何も言わなかったので、A君はとなりの女の子の様子を見ながら、同じくはさみ、のり、折り紙を出したとします。このときA君は、「となりの女の子と注意を共有している」ので、お道具箱の中から3つの物を出すことができました。
 ではこの場合の「共有する注意」とは何か?

 それは、
「先生がみんなに伝えたことをみんなと一緒にしなければならない」と
いうことを、「注意としてとなりの女の子と共有していた」ということです。
 そしてA君は「となりの女の子は、次に何をするのか知っているに違いないから。真似をしよう」と考えたのではないかと思います。そしてその後も言葉も含めた女の子とのやり取りが続くことが考えられます。