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ブログ

2021/03/30(火) 19:14 | izawa

 最近の楽しい広場のこども発達相談やメール相談で、「発語の遅れ」の相談がメインだったのですが、お話を聞いていく中で、自分の思う通りにならない時、大声を出して騒いだり、物を投げたり、人をたたいたりするという「かんしゃくが激しい」ということと、偏食、つまりわずかの偏った物しか食べない、という問題が一緒に出てきたケースが続けてありました。

 さて、この原因は何か?

 まず最初に考えられるのは、以前のブログで取り上げた「しゃべる必要がなかった」ため、発語が遅れているということです。今回2つのケースが続いたのですが、いずれもお母さん、お父さんが先回りして、いろいろしてあげていたようです。これは、それぞれいろいろな事情があったようですが、それだけでしたら、ただ「発語が遅れる」だけなのですが、2つのケースとも「待つとか我慢するという経験」をしていないという共通点がありました。こういう例は、当然今までもありました。

 お子さんが歩き出して行動範囲が広くなり出す1才半から2才頃、それまでかわいいだけだった子どもさんも、自分の要求とお母さんの都合がぶつかる場合が出てきます。これは、どこのご家庭でもあることで、良く例として挙げるのが、お母さんが夕飯の支度をしているとき、お子さんがお母さんと一緒に遊んでほしいとせがんできたようなときです。

 そういうとき、お子さんがかわいそうだからと思ったり、あるいはお母さんが今できないというと、おもちゃや絵本を投げつけたりしてなかなかかんしゃくが収まらず、結局、夕飯の支度を止めてお子さんの遊びに付き合う、というようなことが続くと、結局、お子さんは「待つ」とか「我慢する」という「自分を抑える経験」をしないことになります。もちろん、母子とも我慢をしながら折り合いをつけていくご家庭が多いと思いますが、中にはそういうお子さんのかんしゃくが激しい場合が出てきます。そういうお子さんは、それに加えて、偏食にもなりがちです。これは、「待つ」とか「我慢する」という経験をしていない場合、大体の一日の生活が「自分の思う通りに生活できている居心地のよい状態」で、食事の時も、まだ味覚経験が少ない中で、食べ物の好き嫌いも自分の思う通りに自分の好きなものだけ」ということがまかり通ってしまうのかもしれません。

 つまり、この3つ一緒の問題は、最初は「しゃべらなくても良い状態」だけだったのが、それに加えて、「待つとか我慢する経験がない、自分の思う通りに生活できている状態」が重なった場合に起きてくると考えられます。こういう場合、公的な発達相談に行ったり、病院を受診すると自閉症と言われやすいでしょうね。

 2才代、3才代でこういうお子さんが結構いらっしゃるのではないでしょうか。次回は、その改善の方法について説明をいたします。

 

 

 

2021/03/30(火) 10:49 | izawa

 昨年9月、療育教室 楽しい広場が作成いたしました電子書籍『障害以外から原因を考える「発達療育」』が、今年令和3年4月初旬より、札幌市中央図書館におきまして、電子書籍の貸し出しとして、貸し出しができるようになりました。

 札幌市及び近郊の方々が主な対象になるかと思いますが、こちらの方もどうぞご活用ください。

 

2021/03/29(月) 13:50 | izawa

 前回のブログで「しゃべる必要がない場合」言葉が出るのが遅れやすいことを説明いたしました。

★では、そういう場合、どうしたら言葉が出てくるのでしょう。

 逆説的に言いますと「しゃべる必要があればしゃべり出す」ということです。お母さん、お父さんが先回りしてお子さんのことをしてあげるというのは、コミュニケーション的にはやはり一方的なもの、お母さん、お父さんがお子さんにいろいろ伝えても、お子さんの方から伝えるというのは少ないでしょう。つまり、この関係をお互いに「伝え合う関係」にしなければなりません。

 幼児期の言葉が出る前後の、例えばお母さんとのコミュニケーションは大きく2つに分けられます。

(1)言葉でのコミュニケーション
 お子さんはしゃべることはできませんが、お母さんが言葉で話しかけるものです。
(2)非言語的コミュニケーション
 言葉以外のコミュニケーション手段、例えば、声の大きさ、声の調子、表情、視線、動作、しぐさ、雰囲気などを使って、お母さんとお子さんと意思、気持ち、感情などを伝え合います。

 この非言語的コミュニケーションはとても重要で、お母さんとの緊密で情緒的な愛着関係の中で、繊細で高度なコミュニケーションを経験していきますが、この経験の中でお母さんに「伝えたい」という想いが高まっていきます。それが、最初声や動作や表情であったのが、その延長上に「言葉で伝える」という段階につながって、「発語」になると考えられます。

 では具体的に何をするかと言いますと、療育教室 楽しい広場では、「お母さんとのかかわりを増やしてください」とお話しします。

 一つは一日5分でも10分でも良いので、積み木やパズル、絵本など物を使って一緒に遊んでくださいということです。お母さんと一緒に遊ぶとき、実はいろいろな発達が伸びていきます。

 例えば「積み木」を例にとります。

(1)積み木を見る → 積み木を操作する → 考える
   ・細かい操作をするごとに「考える」

(2)感覚の統合
   ・積み木をつかむ、置く、並べる、積む
    (触覚、目と手の協応、重さを感じる)

(3)言葉を覚える(ボキャブラリーが増える)
   ・言葉の数、種類、使い方、言い回しなどの言語能力の向上と、そ
    れに伴う知的能力の向上

(4)「コミュニケーションの基本」が身に付く
   ・相手を見て、人の話を聞く

(5)心の理論の発達(2才後半~)
   ・相手の心の状態を推測し、解釈し、予測する

 これらを含めてお母さんとお子さんが「伝え合う」経験を積み重ね、発語に結びついていきます。

 二つ目は、一日の日常の生活の中での、着替え、食事、トイレ、お風呂などのいろいろな場面で、一言で良いので言葉がけをしてほしいということです。「さあ、靴下をはくよ、こっちにおいで」「きょうはピーマンたべたかな?」などです。それによって、お子さんも何か伝えようとするかもしれません。

 以上が「しゃべる必要がない」ことが原因で、発語が遅れていると考えられる場合の改善の方法です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/28(日) 17:04 | izawa

 2才・3才・4才で発語がほとんどない、あるいは10こくらいのわずかしかないという時の原因の一つに「しゃべる必要がない」ということがあります。

 自分の子どもさんがかわいくてかわいくて、なんでもしてあげたい、おなかがすいていそうであれば食べ物をすぐ用意する、上手に食べられなければ食べさせてあげる、のどが渇いているようであればジュースを飲ませてあげる、靴を履くのに手間がかかりそうであれば靴を履かせてあげる、そして子どもさんの笑顔が一番の宝物と思って子育てをされているお父さん、お母さんはいらっしゃいませんか?

 そういう場合、発語が遅れる可能性が高いのです。「えっ、何で?」と多分言われるでしょう。なぜか?

 それは、お父さん、お母さんが先回りしてなんでもやってあげると、子どもさんは、何もしゃべる必要がないんですね。ぜーんぶやってくれるので、伝えることがないんです。しゃべる必要がないのです。ですから、言葉が出てこないのですね。発語は、結局は「伝えたい」という想いがなければ、出てきません。

 こういうお父さん、お母さん、数はそう多くはいらっしゃらないとは思いますが、でも、少数派ながら確実にいらっしゃいますね。

 

 

 

2021/03/24(水) 11:59 | izawa

 3月の療育教室 楽しい広場の「こども発達相談」と「ことば伸び伸び教室」は、21日(日)で終了いたしました。

 4月は3回あります。

   4月 4日(日)  9:00~16:00
     11日(日) 12:00~16:00(午後のみ)
     18日(日)  9:00~16:00
 会場はいずれも、「札幌市社会福祉総合センター 第1会議室」です。料金は、1時間3000円です。

 療育教室 楽しい広場は、発達に不安のある子どもさんに対して、原因を「障害以外」から考える「教育としての早期療育」である「発達療育」    を行っております。

 2才・3才・4才で発語がない、あるいはわずかしかない、1才半健診や3才児健診で療育を勧められた、言葉でのコミュニケーション力が同じ年令の子どもさんたちより遅れている、幼稚園や保育園で「一斉指示が通らなくて心配だ」と言われた、子どもが緊張や不安感が強い等、子どもさんの発達の不安に対して、「発達に必要な生活経験が不十分だったのではないか」という視点から原因を考え、それに応じた働きかけを行い、不安を改善していくものです。

 子どもさんの発達に不安をおもちのお父さん、お母さん、どうぞ一度いらしてください。詳しくは、メニューの中の「楽しい広場 こども発達相談」及び「楽しい広場 ことば伸び伸び教室」をご覧ください。お待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/18(木) 14:16 | izawa

 昨日夕方、買い物の帰り道、歩道を歩いていると、向こうからお母さんと幼稚園くらいの兄ちゃんと、その真ん中に妹さんのような女の子が歩いてきて、すれちがうときにお母さんがお兄ちゃんに「・・・が終わったら児童館に行くんだよ」に言っているのが聞こえました。勝手に想像するに、近くに幼稚園があるので、お兄ちゃんはその預かりの帰りだったのかもしれません。今、年長さんで、来年小学校に入学で、その時学校が終わった後は児童館に行くんだよと、お母さんがお兄ちゃんに教えていたところかもしれないなと、ふと思いました。自分の子どもたちも、小学校に入る前は心配だったなと思い出しながら、「おにいちゃん、がんばれ、お母さんがんばれ」と勝手に思っていました。

 さて、療育教室 楽しい広場の「こども発達相談」や「ことば伸び伸び教室」来られるお子さんやお母さんの多くは、昨日すれ違った親子とは違います。
 例え話にすると、たくさんの親子がみんなで大きな道を歩いていて、何か聞きたいことがあったのか、お母さんが通りのお店の人に何か尋ねたあと、そのお母さんとお子さんが、わきの道に入って行こうとしている、あるいはだいぶ入って行ったところ、あるいはどうしたらよいのか迷っているところに、楽しい広場が出くわした、という感じです。
 「そっちへ行ったら全然違うところに行ってしまいますよ」「そっちへ行ったら道に迷ってしまいますよ」と思わず言ってしまいたくなるのですが、そういう方々に手当たり次第にこちらから話しかけるわけにはいかず、幸いにもこちらに道を聞いてくれた方々には、どこに向かってどのようにいけば良いかをお話しすることができます。ここでの我々楽しい広場の強みは、周りの道、あるいは地理を知っているということ、つまり、子どもさんの発達の流れ、発達の地図を知っている、ということなのです。

 今、発達に不安をおもちの幼児期のお子さん、そしてお母さんは、みんなで歩く大きな道を脇の道にそれていく人たちに思えます。楽しい広場では、そういうお子さん、お母さんをたくさん見てきました。道を聞いてくださったお母さん、そしてお父さんもたくさんいらっしゃいました。道を脇にそれていくのは、多くは親御さんが悪いわけではありません。親御さんたちが道を尋ねた方々が、これも悪気はなく、脇の道を教えることが多かったと思います。

 療育教室 楽しい広場の強みは、発達の流れ、発達の地図を知っているということです。発達に不安のあるお子さん、そしてお母さん、お父さん、是非一度、療育教室 楽しい広場の「こども発達相談」と「ことば伸び伸び教室」にいらしてみてください。詳しくはメニューのそれぞれのコーナーで説明をしております。お待ちしております。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/16(火) 17:19 | izawa

 3月9日付のブログで掲載いたしました続きです。認知心理学の「心の理論」から見て「自閉症の可能性がない」と判断する2つ目のポイント、それが今回説明をいたします「ごっこ遊びができる」です。

 この「ごっこ遊び」に関しては、世界的な診断基準である「アメリカ精神医学会刊行の精神疾患の診断・統計マニュアルー5版」にも、「自閉症スペクトラム」の診断基準の中に、「想像的遊びができない」という形で載っています。言い換えると、「ごっこ遊び(想像的遊び)ができれば自閉症の可能性はない」と判断できます。

 それでは本題に入ります。
 「ごっこ遊び」の大きな特徴は、例えば、レストランごっこをしていて、毛糸を「スパゲッティ」として置き換えたり、赤いボールを黒いおにぎりと想像させたり、コップの中にジュースはなくとも「ある 」としたり「事の真偽を棚上げして遊ぶ」ということにあります。この「事の真偽を棚上げして遊ぶ」ということが自閉症児には難しいのです。それはなぜでしょう?

 これまでも説明してきましたが、自閉症の原因は「心の理論」が欠けているということです。「心の理論」とは、「人の心の状態を推測し、それに基づいて行動を解釈し、予測すること」です。
 例えば、今自分がJRの駅に向かって歩いているとき、自分の横を脇目も振らず一生懸命走っている人がいるとします。私は「ああ、あの人は列車に遅れそうになって急いで走っているんだな。でも、7時56分の列車には間に合うかもしれないな。」と思ったとします。これが「心の理論」の一例です。

 さて、この「心の理論」を使って思ったり考えたりするとき、どうしても必要な心理的脳力があります。それは、当たり前と言えばその通りなのですが、『私は「○○」と思った』と心の中でイメージできる能力です。
 例えば『私は「ボールは赤い」と思った」という文があります。この「ボールは赤い」というのを「一次表象」と言います。「表象」とは、「外界のものを心の中で表す」ということです。「一次表象」とは、「物理世界の表象」で、普通「ボールは赤い」のような「知識」のことを意味します。
 では、『私は「ボールは赤い」と思った』というのは何かと言いますと、「メタ表象(高次表象)」と言います。つまり。「ボールは赤い」という「一次表象」を更に表象するということ、言い換えると、「誰かの心の中にある表象を更に表象する」ということです。この「メタ表象」は「~と思う」「~と考える」「~と信じる」「~と望む」などの「心の状態を示す表現」のときに使います。この『私は「○○」と思った』という「メタ表象」の能力があるので「心の理論」が可能になるのです。

 さて、『私は「ボールは赤い」と思った』という「メタ表象」に大きな特徴があります。それは、この「ボールは赤い」という部分が、事の真偽を問わず、つまり「本当だろが、ウソであろうが、でたらめであろうが」何が入っても、この文は成立する、ということです。「ボールは星だ」としても、「彼が何度も銀河鉄道に乗っていろいろな星に行った」としても文は成立するということです。そして、この「事の真偽を棚上げしてもコミュニケーションは成立する」というところが、「事の真偽を棚上げして遊ぶ」という「ごっこ遊び」と論理的に同形であることを、1987年、アラン・レスリーという人が論証しました。

 ということは、「ごっこ遊び」ができていれば「心の理論」が発達している、ということを意味しています。つまり、「自閉症の可能性はない」と判断できるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/13(土) 17:27 | izawa

 例えば、2才半、3才になっても「発語がごくわずか」のお子さんがいたとします。医学的な診断がついていたとしても、認知心理学の立場からみて、「発達療育」としては、そういう判断はできない時期と考えます。

 では原因は何か。「発達療育」では、「発語がわずか」という発達の不安の原因を、「本来発語の発達に必要な生活経験が不十分だったのではないか」と考えます。 

 例えば、「視覚優位」と言われる子どもさんであれば、大好きな絵本や図鑑やアニメを見たり、大好きなおもちゃで遊ぶ「一人遊び」の時間が多く、その分お母さんとのかかわりが少なくなり発語が遅れたのではないか、と考えたり、お父さんお母さんがお子さんを「のびのび育てたい」と考え、子どもさんが嫌がることはしないように心掛け、子どもさんはやりたいように毎日過ごすことができますが、そういう場合、しゃべる必要がないので発語が遅くなる、ということが考えられます。
 また、聴覚過敏や触覚過敏の子どもさんの場合、いつ過敏の不快感が来るかわからないという不安から、どうしてもお母さんとのかかわりが弱くなって、その分発語が遅れるのではないかと考えます。

 このような感じで、他のいろいろな発達の不安についても同様に原因を考えていきます。子どもというのは、経験し、学習し、そして発達していきます。その経験が少ないというのは、想像以上にその子どもさんの発達に影響を及ぼすと考えられます。今、それらの多くを「障害が原因」に求めがちですが、落ち着いて考えると、子どもさんの発達の遅れは身近にあるものではないでしょうか。。

 

 

 

 

2021/03/13(土) 11:14 | izawa

 療育教室 楽しい広場は、『教育としての早期療育」を行っています。例えば、発語がない、発語が少ない、よくボーっとしている、聞いたことに対して全然別のことを話し出す、友だちとの会話についていけない、1才半健診や3才児健診で療育を勧められた、幼稚園や保育園で一斉指示が通らないと言われ療育を勧められたなど、いろいろな子どもさんの発達の不安があります。
 それに対して、その発達の不安の原因を「障害」からではなく、「発達に必要な生活経験が不十分だったのではないか」という視点から考え、そして、その不十分だったと考えられる生活経験を明らかにし、それを積み重ねていき、発達の不安を改善していく、というのが「教育としての早期療育」である、療育教室 楽しい広場が進めている「発達療育」です。

 さて、次の「こども発達相談」と「ことば伸び伸び教室」ですが、3月21日(日)に札幌市社会福祉総合センター 第1会議室で行います。

 さらに、4月の予定もお伝えします。

 〇4月 8日(日)  9:00~16:00
 〇4月11日(日) 12:00~16:00(午後のみ)
 〇4月18日(日)  9:00~16:00

 (会場)札幌市社会福祉総合センター 第1会議室 

 料金は、1時間3000円です。

 詳しくは、メニューの「楽しい広場 こども発達相談」「楽しい広場 ことば伸び伸び教室」をご覧ください。

 お子さんの発達のことで不安をおもちのお父さん、お母さん、どうぞ一度おいでください。お待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/09(火) 16:32 | izawa

 療育教室 楽しい広場の相談やことばの教室に来られる子どもさんで、医学的な「自閉症」の診断を受けている子どもさんがたくさんいます。そして、その診断に強い不安をもたれているお父さん、お母さんもたくさんいらっしゃいます。そういう時、認知心理学の「心の理論」のから見て、「自閉症の可能性がない」と判断した場合は、その理由を説明しています。

★認知心理学の「心の理論」から見て、「自閉症の可能性がない」と判断
 する2つのポイント 

1 良くも悪くも人を見て行動する

2 ごっこ遊びができる

 そして、今回は「1 良くも悪くも人を見て行動する」について、説明 
をいたします。

 

1 良くも悪くも人を見て行動する

 認知心理学の「心の理論」の考え方から見て、自閉症の原因は「心の理論が欠けている」ということです。
 「心の理論」とは、「人の心の状態を推測し、それに基づいて行動を解釈し、予測する」能力で、発達的には3才後半以降にはっきりした形で伸長していきます。
 そして、この「心の理論」によって、発達していくのが「意図的コミュニケーション」です。この「意図的コミュニケーション」とは、「心の理論」の説を提唱したイギリスのウタ・フリス氏が提唱している、言葉によるコミュ二ケーションの中の一つです。
 それは、言葉で相手に言うだけではなく、それと同時に声の大きさ、声の調子、更に表情や動作、視線、しぐさなどのいろいろなシグナルを伝え合い、言葉以外の心の状態である「意図」を伝え合うことで、相互理解をするコミュニケーションです。
 言い換えると、他の人の伝えてくるシグナルを特定の心の状態を関連させて、つまり、他の人が、何を考え、何を感じ、何を望むかと関連させて、「他の人を理解する」ということです。
 そして、この「意図的コミュニケーション」が自閉症児には「心の理論」の能力が欠けているためできません。

 さて、この「意図的コミュニケーション」が幼児期の子どもさんにはっきりとした形で現れるのが「良くも悪くも人を見て行動する」です。では、具体的にはどういうことか?

 例えば、6才くらいの子どもさんがおうちでおもちゃで遊んだ後、なかなか後片付けをしないので、お母さんに怒られてしぶしぶ後片付けをした後、テーブルの上のおやつを食べようとすると、お母さんが「手を洗っておいで」と言ったとします。その言い方がきつい言い方だとしたら、子どもさんは「ママはまだ怒っている。すぐ、手を洗いに行こう」と考え、手を洗いに行くかもしれません。
 もし、お母さんの言い方が普通の言い方だとしたら、「ラッキー、おやつを少し食べちゃおう」と手を洗いに行く前におやつを食べ、そこで「また注意されたらその後に手を洗いに行けばいいや」と思って行動したかもしれません。
 どちらにしても、このとき子どもさんは、お母さんの言葉だけではなく、声の大きさ、声の調子、視線、表情、雰囲気、動作などのお母さんに関するいろいろな情報を一瞬のうちに処理し、どう行動すべきかを判断します。
 よく、お母さんの方をちらちらと見ていることがあるですとか、お母さんに怒られたらお父さんの所に逃げていく、などというのも同様ですね。

 これが、「良くも悪くも人を見て行動する」の一例です。つまり、「心の理論」を使った「意図的コミュニケーション」なのです。自閉症児であれば、これが難しいのです。ですから、逆に言いますと、これができていれば、「自閉症の可能性はない」と判断できます。

 「この子どもさんは自閉症なのか、そうではないのか」と議論するのが目的ではありません。もし、認知心理学の立場から見て「自閉症の可能性はない」と判断できれば、お父さん、お母さんがそれを全面的に受け入れてくださるかどうかは別として、子どもさんの発達の不安を改善していく療育を行っていく上で、心が少しでも軽くなるかもしれません。
 そして、療育をする上では、発達の不安の原因を「障害以外」に絞りやすくなるのです。

 今回は以上です。