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ブログ

2019/11/26(火) 13:58 | izawa

 自分のお子さんや周りにいるお子さんで次のような特徴のあるお子さんがいないでしょうか。

〇一度見た場所、物、道順などを細かいところまで正確に覚えていて、記
  憶力が抜群に良い。
〇アニメのキャラクターや車の名前など、膨大な数のものを正確に覚えて
 いる。
〇絵や恐竜・動物などの図鑑が大好き。
〇ひらがな、カタカナ、数字、アルファベット、漢字などに興味をもって
 いて、読める数も多い。ひょっとしたら天才ではないかと思われてい
 る。

 

 これまで療育教室 楽しい広場の個別療育相談やことば伸び伸び教室、そして電話やメール相談を延べで全部合わせると、だいたい2500件ぐらい行っています。実数で行くと600人くらいです。
 その中で「言葉の遅れ」が7割くらいはあったと思います。その中で、お母さんからお話を伺っていくと、上記のようなお子さんが本当にたくさんおられました。10人や20人ではありません。もちろんもっともっと多い数です。
 最初は、これらのお子さんたちは、どういうお子さんなのだろうと考えました。そこで思い当たったのが、1993年にアメリカで発売された「K-ABC」という知能検査の基礎理論(カウフマンモデル)に出てくる、脳の認知処理機能(新しい知識や技能を獲得していく機能)の一つである、同時処理機能です。定義は次のようなものです。

★同時処理機能
 ・複数の情報をまとめ、主に視覚的手がかりを使って、全体としてとら
  える。視覚的な記憶力、全体を部分に分解する能力、空間認知能力な
  どど結びついていると考えられる。

 実は、K-ABCの知能検査の基礎理論における脳の認知処理機には、対をなすもう一つの機能があります。それは継次処理機能です。定義は次のようなものです。

★継次処理機能
 ・連続した刺激を、主に聴覚的、言語的な手がかりを使って、一つずつ
  順番に、処理していく。短期記憶、情報の系列化の能力と結びついて
  いると考えられる。

 

 子どもは、だいたい3才前後くらいから言語的機能(表出、理解)が大きく伸びていきます。つまり、ここで言う「継次処理機能」がだんだん伸びてきて、認知的発達がバランスよく伸びていくことになります。

 今回のテーマにあるような特徴をもつお子さんたちの場合、その大きな共通点は、「視覚的な情報をたくさん脳の中に記憶しているのではないか」ということです。ということは、ここでいう「同時処理機能」が特に強いのではないか、ということです。ですから、視覚的な記憶力が抜群であったり、絵や図鑑、マーク、そして文字などに強い興味をもつのではないかと考えられます。K-ABCの知能検査(日本では2013年に日本版の改訂版が出されています)をして、同時処理尺度、継次処理尺度という形で、それぞれの強さの度合いが分かります。ここで一つ確認したいのは、同時処理機能が特に強いから障害である、ということではないということです。あくまでも、個人の認知処理機能のバランスを見るということです。

 さて、今回問題になるのは、今回のテーマにある特徴を持つお子さんが、同時処理機能が強いとして、「なぜ言葉が遅くなるのか?」ということです。
 この場合の「言葉が遅い」というのは、言葉を使った会話が年令相応の発達段階より遅れている、言ったことに対してうまく答えられない、友だち同士の会話についていけない、幼稚園などで先生が集団に言ったことを聞いてみんなと一緒に行動できない等を想定しています。

 言葉が遅れる原因について、楽しい広場では、今のところ、二つのことを考えています。

《原因》

(1)同時処理機能が強い子どもさんは、それに比べて連続した情報を順
   番に処理をしていく「継次処理機能」を使って「言葉を聞く」「言
   葉を話す」という経験が十分ではなかったのではないか。言葉を使
   った会話というコミュニケーションでは、順番に情報や言葉を処理
   して記憶していくということは、とても重要である。同時処理機能
   が強い場合、視覚的な情報がどんどん入ってくるので、そちらに頼
   りすぎて、情報や言葉を順番に処理し記憶し、それに対してまた言
   葉で発信していくという、言葉でのコミュニケーション能力が弱く
   なってしまったのではないか。これまでの楽しい広場での経験で興
   味深い事実があって、同時処理機能の強いお子さんの場合、絵や絵
   本は好きだが、絵本の読み聞かせはほとんどのお子さんが嫌がり、
   ページをめくってどんどん先に進みたがった。これは、ストーリー
   を言葉で順番に聞いていくことが苦手だったと考えられる

(2)絵や図鑑あるいはアニメなど、自分の好きな遊びしながら、一人で
   遊んでいたことが多かったのではないか。それが長いと、言葉を覚
   えて話していくために必要な、お母さんとのかかわりがだいぶ少な
   かったのではないか。

 

《改善の方法》
・お母さん、あるいは幼稚園・保育園・児童デイサービスの先生などと
 一対一でおもちゃなどの物を使って遊ぶようにします。1日10分でも
 15分でも良いです。それを続けることにより、「相手を見て、人の話
 を聞く」というコミュニケーションの基本が身に付き、言葉でのやり取
 りも当然増え、さらに、相手がどのように考えたり感じたりしているか
 を感じ取り、それを瞬時に分析して次の行動を予測すること(心の理
 論)が伸びてきて、コミュニケーションもよりスムーズになります。

・遊ぶとき、多分苦手であると思われる「順番に記憶する」遊び、絵本の
 読み聞かせ、手遊び、リトミックなどを多く取り入れるようにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/11/25(月) 17:23 | izawa

 12月の個別療育相談とことば伸び伸び教室は以前にご案内しました1日(日)と、もう1回22日(日)に行います。時間帯は9:00~16:00、会場は、札幌市社会福祉総合センター 第1会議室です。

 言葉の遅れ、多動、人とのかかわりがうまくいかないなど、お子さんの発達の不安について、「障害」以外から原因を考え、改善策をご提示します。お子さんの発達をぜひ伸ばしましょう。不適応行動をぜひ直しましょう。どうぞ、一度お問い合わせください。

  NPO法人 療育教室 楽しい広場

   (電話) 011-896-3204

   (メールアドレス) tanoshi:ryouiku@gmail:com

 

 

 

2019/11/25(月) 13:22 | izawa

 幼児期の子どもさんの発達の不安の中で、大きなウエイトを占めるのが「言葉の遅れ」です。「言葉の遅れ」と言ってもいろいろあります。発語がない、発語が少ない、聞いたことに答えられない、おおむ返しが多い、会話についていけない、突然違う話題を話し出す、宇宙語を話すなどが、これまで療育教室 楽しい広場に来られたお子さんたちの言葉の遅れの内訳です。

★考えられる言葉の遅れの原因
 「障害」以外に今のところ考えられるのは、次のようなものです。

①個人差の範囲の遅れ  ②同時性処理機能が強い  ③感覚過敏   ④テレビ   ⑤一人遊び   ⑥放任   ⑦過保護
⑧祖父母   ⑨緊張感が強い

 

 この中で今回は①個人差の範囲について、お話しします。

 お子さんに何らかの言葉の遅れがある場合、かつ知的な発達の遅れの可能性がない場合、いろいろ原因を考えてみても、はっきりした原因が見当たらない場合、個人差の範囲の遅れが考えられます。子どもさんたちには、個人差が当然あるのですが、親の立場になると、個人差と言われても不安かもしれません。
 ただ、ここで確認したいのは、知的な発達の遅れや口蓋裂などの口腔内の問題がない限り、どのお子さんも、発語からの言葉の発達の流れは同じだということです。ご自分のお子さんがいつ発語をしたか、それによってお子さんの年令とは別に、今の言葉の発達が見えてきます。
 例えば、今3才児健診を目前にした、2才11か月のお子さんが3人いたとします。一人は発語が1才半、もう一人は2才、三人目のお子さんは2才半とします。今現在の言葉の発達の状態は、間もなく3才を迎えようとしていても、三人三様です。発語が1才半のお子さんは、3語文くらい出ていて、簡単な会話もできているかもしれません。発語が2才の子どもさんは、まだ2語文の段階かもしれません。発語が2才半のお子さんは、単語がどんどん増えて、ようやく2語文を話し出した段階かもしれません。
 もし、このまま3才児健診を受けた場合、発語が2才と2才半のお子さんは、要注意のお子さんとなる可能性が大きいと思います。現在の健診などで要注意になるということは、「障害」の可能性があるとみられる場合がとても多いようですね。これまで、楽しい広場に来られた親御さんたちの多くがそうでした。
 しかし、「障害」以外から考えた場合は、実年令の発達よりも遅れているのは間違いありませんが、それは発語の時期が遅いからです。発語以降の発達は皆さん同じですから、今は言葉の発達は遅くても就学くらいまでには、同じ年令の発達に追いついていきます。

 それでは、言葉が遅いとき、普段の生活でどのように過ごしたらよいかですが、言葉を伸ばすためには、家庭では一日10分~15分くらいで良いので、お母さんと一緒に一対一で、積み木やパズルなどの物を使って遊ぶようにします。そして、その時間や遊びの種類を増やしていくようにします。お母さんと遊ぶ時間が長くなるということは、「相手を見て、人の話を聞く」というコミュニケーションの基本が身に付き、言葉でのやり取りも増え、それが言葉を使った会話にもつながります。また、お母さんが発するいろいろな言葉を理解するようにもなり、ボキャブラリーも増えていきます。このように言葉をつかったやり取りが増えていくこと、言葉で相手に伝えたい、ということが増えてくれば、言葉はどんどん伸びていきます。
 

 

 

 

 

 

 

 

2019/11/24(日) 20:57 | izawa

 幼稚園や保育園、児童デイサービスなどで、「周りの空気が読めない」と言われているお子さんがいると思います。これもまた、「自閉症ではないか」と思われている方もたくさんいらっしゃるでしょう。

 それでは、こういうお子さんの原因を考えてみましょう。

 目には見えない「空気を読む」ということは、人間が生きていく上では、確かに必要なことです。我々は、目に見えない空気をどのようにして読むのでしょう。それには、ことばだけではなく、それ以外のコミュニケーション手段を駆使します。相手や周りの人たちの声、表情、しぐさ、雰囲気 視線などを瞬間的に分析し、そこで相手や周りの人たちの心の状態や感情、考えなどを予測し、それに応じた反応をする、ということが、「空気を読む」ということかと考えます。

 つまり、幼児期のお子さんで空気が読めないということは、ことばとそれ以外のいろいろなコミュニケーション手段を使ってのコミュニケーションが、うまくできていないということだと思います。なんらかの脳の機能障害で空気が読めないのが「障害」ということです。

 「障害」ではない原因は、今のところ2つ考えられます。

(1)熱中しやすいタイプ。友だちとは遊びたいけれど自分の好きな遊び
  をしてしまうと周りのことが見えなくなり、いつの間にか友だちが遠
  ざかってしまう、という感じです。これは、友だちとは遊びたいので
  すから、発達障害ということは考えられません。ただ、周りの空気が
  読めないのは事実ですから、少しの間遊ぶときに周りの友だちのこと
  を意識させるようにおかあさんや、幼稚園や保育園などの先生が援助
  をしてあげると良いと思います。経験を重ねれば友だちや周囲を意識
  できてくると思います。

(2)脳の情報の処理機能には2つあると言われています。それは「同時
  性処理機能」と「継次性処理機能」です。
 ・「同時性処理機能」~複数の情報をまとめ、視覚的・運動的な手がか
  りを使って全体としてとらえていく能力
 ・「継次性処理機能」~連続した刺激を聴覚的・言語的な手がかりを使
  って、一つずつ順番に分析的に処理していく能力
   人間は両方もっていて、普通は継次性処理機能の方が強いと言われ
  ていますが、中には同時性処理機能がとても強い人がいます。もちろ
  ん子どもさんにもいます。そういうお子さんの特徴は、一度見たもの
  や行ったりした場所などをすぐに覚えていたり、アニメのキャラクタ
  ーや車の車種などの膨大な数を覚えていたり、2才・3才・4才でひ
  らがなやカタカナ、アルファベット、数字などを読むことができるな
  どです。
   そういうお子さんがなぜ空気を読めないかと考えますと、同時性処
  理機能に比べて、継次性処理機能が弱いと思われます。端的に言いま
  すと「順番に記憶する」ということが苦手なことが多いのです。これ
  までの経験でこのような子どもさんは「絵本を読むこと」を嫌がりま
  す。絵は好きなのですがストーリーを順番に追って読むことが嫌なん
  ですね。人のコミュニケーションというのは、やり取りが連続的につ
  ながっていくことですが、それが苦手になると思われます。というこ
  とは、言葉以外の声や表情、動作、しぐさなどの手段を使って、連続
  的に相手や周りの人の心の状態や考えなど分析して反応することは、
  苦手になると思われます。 
   改善の方法は、順番に記憶していく遊び、絵本の読み聞かせ、手遊
  び、リトミック、折り紙などをさせていくことが良いと考えます。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/11/23(土) 13:22 | izawa

 療育教室 楽しい広場の次回の個別療育相談と、ことば伸び伸び教室は、12月1日(日)9:00~16:00になります。会場は、札幌市社会福祉総合センター 第1会議室です。

 2才・3才・4才で言葉が出ない、あるいは言葉が遅い、更に多動で落ち着きがなく発達障害ではないかと心配している、大人の話を理解していない時があり自分の世界に入るときがある、いらいらすると相手に手が出るなど、発達に不安をおもちのお子さんや親御さんを対象に行っています。大きな特徴は、「障害」以外から原因を考え、適切な働きかけをし、発達の不安を改善する、ということです。

 どうぞ、是非お問い合わせください。

(お問い合わせ先)
      電話  011-896-3204

  メールアドレス tanoshi:ryouiku@gmail:com

 

 

 

 

 

 

 

2019/11/23(土) 12:56 | izawa

 人間が発達していく中での、目に見えない心の働きを研究する「発達心理学」の中で、幼児期の発達で重要な心の働きの一つが「自律性」です。
 自律性とは、「自分で行動をコントロールする」ということで、将来の社会性につながっていく重要な働きです。療育教室 楽しい広場が推し進めている「発達療育」においても、重要な位置を占めています。

 さて、この場合の「コントロール」とは、二つの側面をもっています。一つは「自己主張・実現」、もう一つは「自己抑制」です。具体的には、実験研究(柏木恵子 1988)から次のような内容が挙げられます。

(1)自己主張・実現
   ・嫌なことは「イヤ」とはっきり言える。
   ・入りたい遊びには自分から「入れて」と言える。
   ・自分の意見や考えを自分から述べる。
(2)自己抑制
   ・「かわりばんこ」ができる。
   ・「してはいけない」と言われたことはしない。
   ・仲間と意見が違うとき、相手の意見を入れられる。
   ・課された仕事をやり通す。

 実験研究では、どちらの側面も3才~6才にかけて、年令が上がるに伴い上昇しますが、自己抑制では特に上昇が著しかったという結果が出ています。
 自律性とは、場面や状況に応じてこれらの二つの側面、つまり「自己主張・実現」と「自己抑制」のバランスを取ることによって、自分の行動をコントロールしていくものと考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/11/22(金) 12:07 | izawa

 さて、今回は「やりたいことはやる。やりたくないことはイヤ。」の3つ目のパターンです。

(3)「年中さんから年長さんにかけてのお子さんで、自分の興味のある
   ことは熱心に取り組むが、そうではないものには全くやる気がな
   い、あるいはそこで別に自分のやりたいことをやり始めるようなタ
   イプ」

(考えられる原因)
★家庭での母親とのやり取りの中で、自分を抑える経験が少なかったので
 はないかと思われます。
★所属している園での集団生活の中で、「かわりばんこ」や他のこの意見
 を取り入れるなど、自分を抑える経験が極めて少ないと思われます。
★遊びや興味の幅が少ないのではないかと考えられます。

 

(改善の方法)
〇家庭での生活の中で母親に、本人が待ったり、約束を守ったり、後片付
 けをしたり、自分のことは自分でするなど、「自分を抑える経験」をさ
 せてもらいます。

〇もし、幼稚園や保育園、児童デイサービスなどに所属していれば、設定
 遊び(例えば、段ボール遊び、紙遊び、粘土遊びなど)に、最初は先生
 と一緒でも、あるいは短い時間でも構わないので、一緒に遊ぶ経験をさ
 せた方が良いと思います。設定遊びではそれ自体、待ったり、順番や約
 束を守ったり、周りと協力したり、後片付けをしたり、自然に「自分を
 抑える経験」、つまり、やりたいことを止めたり、変更することを経験
 するはずです。

〇自由遊びの場面で、考えられる遊びをたくさん用意しておいて先生が一
 緒に遊び、今の興味のある遊び以外の遊びを増やしていきます。できれ
 ば、他に友だちが2~3人いるとミニ設定遊びになって、自然と「自分
 を抑える経験」もできると考えられます。

〇所属している園での生活の中で、待ったり、順番を守ったりする「自分
 を抑える」場面では、最初は先生も入って待ったりして、短い時間でも
 良いので「自分を抑える経験」をした方が良いと思います。

〇何度も言いますが、「自分を抑える」ということは、「自分で行動をコ
 ントロールする」という「自律性」を身に付けていくためには、どうし
 ても必要なことなのです。

 

 

 

 

 

2019/11/21(木) 12:49 | izawa

 今回は、第14回療育セミナーの報告の中の3つのパターンのうちの2つ目を説明します。

(2)「年中くらいのお子さんで、自分のやりたいように行動する「自由
   人」のようなタイプで、みんなと一緒にやったり少し待ったりする
   とき大騒ぎをすることが多く、本人に悪気はなくても周りのお子さ
   んたちが違和感を感じてギクシャクするタイプ」

(考えられる原因)
★家庭での母親とのやり取りの中で、「自分を抑える経験」が少なかった
 のではないかと思われます。家庭では、「自分の思う通りにならない
 ことはない。」と思っていると思います。

 

(改善の方法)
〇家庭での生活の中で母親に、本人が待ったり、約束を守ったり、後片付
 けをしたり、自分のことは自分でするなど、「自分を抑える経験」をさ
 せてもらいます。

〇もし、幼稚園や保育園、児童デイサービスなどに所属していれば、順番
 や約束を守ったりする場面で、最初は先生と一緒でも構わないので、少
 しずつそういう「自分を抑える経」をさせた方が良いと思います。

〇幼稚園や保育園、児童デイサービスなどで、最初は先生と一緒で短い時
 間でも構わないので、設定遊び(例えば、段ボール遊び、紙遊び、粘土
 遊びなど)に参加するようにします。設定遊びに参加するということ
 は、それ自体、待ったり、約束を守ったり、周りと協力したり、後片付
 けをしたり、自然に「自分を抑える経験」、つまり、やりたいことを止
 めたり、変更することを経験するはずです。

〇前回も説明いたしましたが、「自分を抑える」ということは、「自分で
 行動をコントロールする」という、「自律性」を身に付けていくために
 はどうしても必要なことなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/11/20(水) 12:52 | izawa

 前回のブログで、第14回の療育セミナーの報告をいたしましたが、その中の3つのパターンを一つずつ詳しく説明したいと思います。

 今回は
(1)年少さんで、周りは関係なくわが道を行くタイプで、自分の好きな
  おもちゃなどで遊び、飽きたら先生に甘えて遊んでもらうタイプ。

(考えられる原因)
①多分、これまでの家庭での母親とのやり取りの中で、「自分を抑える経
 験」が少なかったのではないかと考えられます。
  →「自分を抑える経験」とは、前回のブログでも説明いたしました
   が、母親が「まだちょっと待ってて」「もう時間だから終わり」な
   どどお子さんの意図や欲求と不一致のことを言ったり、態度で示し
   たりするとき、「いやだ」と泣き叫ぶこともあると思いますが、
   「はーい」と言ってしぶしぶでも、自分を抑えて母親の言うとおり
   にすることです。普通は、生活の中で当然出てくるはずですが、そ
   ういう場面が少ないということは、母親が例えばお子さんを伸び伸
   び育てようと、不快な状態を意図的に作らなかったり、逆に下に弟
   や妹ができて母親が子育ての手が回らなかったり、あるいは何らか
   の理由で、一日の大部分を祖父母のところで過ごし、祖父母は孫が
   かわいいので何でもやりたいようにさせていた場合などが考えられ
   ます。

②実年令よりも幼い感じがして、遊びや興味の範囲も狭いと思われます。

 

(改善の方法)
〇家庭での生活の中で母親に、本人が待ったり、約束を守ったり、順番を
 守ったり、自分のことは自分でするなど、「自分を抑える経験」をさせ
 てもらいます。

〇母親やあるいは所属している幼稚園・保育園・児童デイサービス・楽し
 い広場のような療育教室などの先生と、一日10分や15分くらいの短
 い時間でよいので、一対一で物を使って、例えば積み木、パズル、ブロ
 ック、粘土、紙などを使って遊ぶ時間をもち、その時間と遊びの種類を
 増やすようにしていきます。
      ↓
 大人との一対一の時間が長くなるということは、当然やりとりも多くな
 り、その中で自然に待つとか、相手の話を聞くとか、相手が次何をしよ
 うとするのか予測したりするようになり、自然と「自分を抑える」こと
 を経験するようになります。
      ↓
 そして、遊びの種類が増えることにより興味を広がり、また言葉のやり
 取りの中で言葉の理解や会話も増え、また、相手の気持ちや考えを感じ
 取り、行動を予測する「心の理論」の発達も考えられます。そして、
 「相手を見て、人の話を聞く」というコミュニケーションの基本が身に
 付いてきますので、それに伴って行動も落ち着くと考えられます。

〇人とかかわっていく上で、社会性につながる重要な能力が「自律性」で
 す。自律性とは「自分で行動をコントロールする」ということで、言い
 換えると「自己主張・実現と自己抑制のバランスをとる」ということで
 す。この自律性が発達するためには、「自分を抑えること」がどうして
 も必要になってくるのです。 

 

 

 

 

 

 

2019/11/19(火) 18:00 | izawa

 11月17日(日)10:00~12:00,札幌市社会福祉総合センター 第2会議室で、第14回療育セミナーを開催いたしました。当日は、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスの指導員、相談室の相談員、幼稚園教諭など11名の方々が参加くださいました。

 療育教室 楽しい広場のこの療育セミナーは、「障害」以外の原因から発達の不安を考え、改善の方法を考えていくことを大きなテーマにしています。

 当日のテーマは「自分のやりたいことはやる。やりたくないことはイヤ。その指導方法は?」でした。このようなお子さんたちは、今のところ3つのパターンが考えられます。

(1)年少さんで、周りは関係なくわが道を行くタイプで、自分の好きな
   おもちゃなどで遊び、飽きたら先生に甘えて遊んでもらうタイプ。
(2)年中さんくらいのお子さんで、自分のやりたいように行動する「自
   由人」のようなタイプで、みんなと一緒にやったり、少し待ったり
   するとき大騒ぎをすることが多く、本人に悪気はなくても周りのお
   子さんたちが違和感を感じてギクシャクするタイプ。
(3)年中から年長さんにかけてのお子さんで、自分の興味のあることに
   は熱心に取り組むが、そうでないものには全くやる気がない、ある
   いはそこで別に自分のやりたいことをやり始めるようなタイプ。

★3つのパターンのお子さんたちに共通することは、「自分を抑える経験」をほとんどしてこなかったのではないかということです。お子さんたちは、小さいときから、お母さんやお父さんなどとの、緊密な情緒的な結びつきの「愛着関係」の中で育ち、その中で欲求や自分の意図したことを満たして成長しますが、ハイハイをし、歩きはじめることから、自分の生活範囲やその内容が広がり、そういう中で、自分の欲求や行動したい意図が、例えばお母さんの感情や意図と一致するだけではなく、不一致の場合が出てきます。
 例えば、お母さんと一緒に外出をするときに、靴を履いて玄関から外に出ようとして「まだ駄目よ。まだ待ってて」とまだ用意ができていない母親から言われるとします。当然、自分として外に出たいのですが、母親の事情でストップがかかります。本人の意図と母親の意図が不一致になるわけです。そのとき、お子さんは「行く行く」と駄々をこねるか、お母さんの意図に合わせて、つまり「自分を抑えて」その場で待つことになります。お子さんたちは、普通に生活していると、こういう経験はあるはずで、自然と「自分を抑える」経験をし、身に付けていくはずです。
 しかし、3才以上のお子さんたちで、この「自分を抑える」ことが身に付いていないということは、何らかの理由で、「自分を抑える場面」の経験が極端に少なかった、あるいは経験しても、例えば自分の思い通りにしたくて大騒ぎをした時に、母親がお子さんの言うとおりにしてしまった、ということが考えられます。

 

★改善の方法はそれぞれ違うこともありますが、共通していることが二つあります。
(1)家庭や所属している幼稚園・保育園・デイサービスなどでの日常の
   生活の場面で、「ちょっと待つ」「ちょっと我慢する」「約束を守
   る」「自分のことは自分でする」など、周りの状況に応じて、「自
   分を抑え」状況に適応して行動する場面を経験させていきます。
(2)「設定遊び」、例えばみんなで楽器遊び、リトミック、ダンボール
   遊びなどに一緒に参加できるように働きかけていきます。やりた
   くないようであれば、最初は先生と一緒に、時間も短くても良いの
   で参加するようにしていきます。設定遊びは、楽しい遊びの中で
   「待つ」「先生の話を聞く」「順番を守る」「後片付けをする」な
   ど、「自分を抑える」経験がたくさん入っています。幼児期は、基
   本的に楽しい活動の中で「自分を抑える」ことを身に付けていくこ
   とが良いと思います。

 

★後半の事例研究では、年中さんの男のお子さんで、話をしていてもこちらの言っていることを理解しているかどうか分からない時がよくある、時々自分の世界に入っているときがある、というお子さんについて話し合いました。よく聞いてみると、記憶力が抜群で絵も大好きということで、「同時性処理機能」という、視覚を使って情報を全体的・一括的に処理する脳の処理機能機能がものすごく強いお子さんであることが考えられました。そういうお子さんの場合、ものを順番に継続的に記憶していくことが少し弱いところがあり、そこを伸ばしていくことが大切になります。具体的には絵本の読み聞かせ、手遊び、リトミックなど、順番に記憶していく遊びを続けて行うことが必要であるということをお話ししました。

 

 熱気の満ちた討議を重ねることができました。ご参加の皆さん、ありがとうございました。