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2007/10/07(日) 17:11 | izawa

1 療育の大前提

★ 「どの子どもも、つまり、知的な発達に遅れをもつ子どもも、発達障

害をもつ子どもも、健常といわれる子どもも、発達段階に適した内容に

沿って育てられなければならない。」

★ これが大前提である。乳幼児も学齢児も中学生も同じである。基本

的には、高校生も同じである。つまり、乳幼児は、年令ごとに発達課題

があり、それに伴う保育内容がある。また、学齢期以降は、学習指導

要領に各学年ごとの学習内容が提示されている。言い換えると、年令

に応じて相応に知的な発達段階が上がっていく、というのが基本的な発

達の見方である。

★ しかし、知的な発達に遅れがある場合、子どもの生活年令に対し、

相応に上がっていくべき知的な発達段階が、大きくずれて遅れていく。

発達障害をもっている子どもは、主に「人とのかかわり・コミュニケー

ション」の発達に大きな遅れとなるずれを生じてくる。

★ ここで、きちんと確認しなければならないことがある。それが一番

最初に掲げた「どの子どもも、発達段階に適した内容に沿って育てら

れなければならない。」ということである。そして、どの子どもも、つまり

知的な発達に遅れをもつ子どもも、発達障害をもつ子どもも、早い遅い

の差はあっても、発達し、成長していくのである。これは、人間として子

どもを育てていく上で、至極当たり前のことである。

★ さて、子どもを育ていく上で、子どもが知的な発達に遅れをもってい

たり、発達障害をもっているとき、困難にぶつかる。それは、同じ生活

年令の子どもでも、例えば、知的な発達の遅れをもつ子どもが10人い

たとしたら、知的な発達段階は10人ごと大きく違う場合が多い、という

ことである。大きく違う、というのは、例えば6才の子どもであったとした

ら、知的な発達段階が1才かもしれないし、2才半かもしれないし、4才

かもしれない。また、同じ発達段階の子どもだとしても、表出言語がある

子どもと理解言語に比べて表出言語がわずかしかない場合もある。

★ まとめると、同じ生活年齢でも知的な発達段階はそれぞれ大きく違

う場合が多く、また、同じ知的な発達段階でも、その中身で大きく違うこと

が多い、ということである。これは、発達障害をもつ子どもに関しても、

基本的には同じである。これは、健常と言われる子どもたちには、ないこ

とである。

★ そういう特徴をもつ子どもたちに対して、発達段階に適した内容に

沿って育てなければならない、ここで言う「療育」をしなければならない

としたら、一番重要なことは、「個々の子どもの発達を正確に把握する。」

ことである。

★ しかし、大前提であるにもかかわらず、このことは今まで十分に行わ

れてきたとは言えない。発達検査や知能検査は行ってきたであろう。しか

し、それらで十分な発達の把握ができたか?特に、乳幼児の知的な発達

の把握ができたか?各種の検査の結果は、知能あるいは各種の発達の

「大きさ」は表しているが、それだけでは、適切な働きかけはできない。子

どもの一般的な発達の流れを把握したうえで、例えば、この子どもに関し

ては、言葉はこのあたりの発達、認知的にはこのあたりの発達であるか

ら、だとしたら発達の流れからいくと、次はこのあたりを目標にしよう、と

いう目標設定をし、そのためにどのような内容を、どのような方法で行う

か、を考えていかなければならない。

★ 楽しい広場は、まさしくこの点について、具体的な考え方、方法論を

提示し、親御さんに説明をし、個々の発達に応じた働きかけ、つまり

「療育」を行っていくことが自分たちの大きな責務と考えている。 

2007/10/02(火) 01:14 | izawa

 前回までは、「子どもの知的な発達の把握」について、述べてきました。今回からは「適切な療育の方法」について述べたいと思います。大きな内容は、次の3つです。

 Ⅰ 療育の構造

 Ⅱ 知的な発達の遅れに対する療育の基本

 Ⅲ 子どもの問題行動

今回は、このうち「療育の構造」について書き記します。

 

Ⅰ 療育の構造

★療育とは・・・・・

  → 発達に遅れをもっていたり、不安のある子どもに対し、発達を促すために意図的な働きかけをすること。

★療育の内容

○内容は、大きく2つに分けられる。 

1 発達→ 個々の発達への働きかけ

2 適応行動→ 人間としての生活全般に適応していく能力の伸長

 

○具体的な内容は次のとおりである。

1 発達

(1)粗大運動(歩く、走る、跳ぶ等)

(2)身体の巧緻性(手の操作性、目と手の協応等)

(3)体力(生活体力、運動体力)

(4)認知的能力(知る、覚える、考える等)

(5)言語(聞く、話す、読む、書く等)

(6)コミュニケーション(人とかかわること)

(7)自律性・社会性(自分をコントロールして行動する、約束を守る、集団行動ができる等)

(8)情緒(感情の分化とその働き)

 

2 適応行動

(1)身辺処理(食べる、排泄する、衣服の着脱等)

(2)家庭生活(家庭での日常生活の過ごし方)

(3)遊び

(4)健康・安全の理解

(5)集団行動         など。

 

*次回は、知的な発達の遅れに対する療育の基本について述べます。

 

2007/09/25(火) 23:27 | izawa

 この場合、発達障害を診断名が多く見られる「自閉症」「アスぺルガー症候群」「ADHD(注意欠陥多動性障害」に絞りたいと思う。3つの発達障害の基本的な診断基準(抜粋)は以下のとおりである。なお、診断基準は、DSMーⅣーTR(精神疾患の診断と統計マニュアルーⅣー解説改訂版:アメリカ精神医学会刊、2006年)に依っている。

 1 診断基準

【自閉症】

(1) 対人相互反応における質的な障害(以下のうち少なくとも2つ以上該当する) 

 a 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語的行動の使用の著明な障害。

b 発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗。

c 楽しみや興味・達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如。(例:興味のあるものを見せる、もってくる、指さすことの欠如)

d 対人的または情緒的相互性の欠如

 

(2)コミュニケーションの質的な障害(以下のうち1つ以上該当する。)

a 話し言葉の発達の遅れ、または完全な欠如。(身振りや物まねのような代わりのコミュニケーションの仕方により補おうという努力を伴わない。) 

b 十分会話のある者では、他の会話を開始し、継続する能力の著明な障害。

c 常同的で反復的な言語の使用または独特な言語。

d 発達水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや社会性をもった物まね遊びの欠如。

 

(3) 行動、興味、活動の限定された反復的で常同的な様式。(以下のうち1つ以上該当する。)

a 強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはいくつかの興味だけに熱中すること。 

b 特定の機能的ではない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。

c 常同的で反復的な衒奇的運動。(例:手や指をぱたぱたさせたりねじ曲げる、または複雑な全身の動き。)

 

 

【アスペルガー症候群】

(1)対人相互反応の質的な障害(以下のうち、少なくとも2つ以上該当する。)

a 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語的行動の使用の著明な障害。

b 発達水準に応じた仲間関係を作ることの失敗。

c 楽しみや興味・達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如。(例:他の人たちに興味のあるものを見せる、もってくる、指さすなどをしない。)

d 対人的または情緒的相互性の欠如。

 

(2)行動、興味、活動の限定的、反復的、常同的な様式。(以下のうち1つ以上該当する)

a その強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはそれ以上の興味だけに熱中すること。

b 特定の、機能的ではない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。

c 常同的で反復的な衒奇的運動。(例:手や指をぱたぱたさせたり、ねじ曲げる、複雑な全身の動きなど)

d 物体の一部に持続的に熱中する。

 

(3)その障害は社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の著しい障害を引き起こしている。

 

(4)臨床的に著しい言語遅れがない。(例:2才までに単語を用い、3才までにコミュニケーション的な句を用いる。)

 

(5)認知の発達、年令の相応した自己管理能力、(対人関係以外の)適応行動、小児期における環境への好奇心について、臨床的に明らかな遅れがない。

 

*自閉症と区別される点は、以下の3点である。

①アスペルガー症候群では、早期の認知及び言語能力に大きな遅れは見られない。

②限定された反復的で常同的な様式は、限定された関心だけを追求することの中で見られる。

③典型的な対人的相互反応の様式については、非常に風変わりで、一方的で、冗長で無神経な方法であるものの、他者に接近しようとする意欲はある。 

 

 

【ADHD(注意欠陥多動性障害)】

A (1)か(2)のどちらか:

(1)以下の不注意の症状のうち、6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月間持続したことがあり、その程度は不適切的で、発達の水準に相応しないもの。

 

〈不注意〉

a 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。

b 課題または遊びの活動で、注意を持続することがしばしば困難である。

c 直接話しかけられたときに、しばしばきいていないように見える。

d しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない。(反抗的な行動、または指示を理解できないためでなく)

e 課題や活動を順序立てることが、しばしば困難である。

f (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。

g 課題や活動に必要なもの、(おもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、または道具)をしばしばなくす。

h しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。

i しばしば毎日の活動を忘れてしまう。

 

(2)以下の多動性ー衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月間持続したことがあり、その程度は不適切で、発達水準に相応しない。

〈多動性〉

a しばしば手足をそわそわと動かし、または椅子の上でもじもじする。

b しばしば教室やその他、座っていることを要求される状況で咳を立つ。

c しばしば不適切な状況で、よけいに走り回ったり、高いところへ上ったりする。(青年または成人では、落ち着かない感じの自覚のみに限られるかもしれない。)

d しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。

e しばしば「じっとしていない」、またはまるで「エンジンで動かされる」ように行動する。

f しばしばしゃべりすぎる。

 

〈衝動性〉

a しばしば質問が終わる前に、出し抜けに答え始めてしまう。

b しばしば順番を待つことが困難である。

c しばしば他人を妨害し、邪魔する。(例:会話やゲームに干渉する。)

 

B 多動性ー衝動性または不注意の症状のいくつかが7才以前に存在し、障害を引き起こしている。

 

C これらの症状による障害が2つ以上の状況(例:学校(または職場)と家庭)において存在する。

 

D 社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない。

 

 

2 発達障害の可能性の確認

(1)知的な発達の遅れを見る

 相談に来られた子どもさんに、発達障害があるかどうかを見ていく場合、まず、知的な発達の遅れがないかどうかを見る。なぜなら、自閉症やADHDの場合は、知的な発達が遅れていることが原因で、同じような行動特徴が現れるからである。つまり、その行動特徴が、知的な発達水準によって起こっている可能性について見る。例えば、自閉症の行動特徴の中で、「ごっこ遊び」ができていない、とした場合、「ごっこ遊び」は3才で出現するが、もし、知的な発達に遅れがあり、生活年令は3才でも、知的な発達段階が2才ぐらいの場合、自閉症のためではなく、知的な発達の遅れのために「ごっこ遊び」が見られない、ということが考えられるのである。

 

(2)発達障害の可能性を見る。

 3つの発達障害の共通した特徴は、障害があるために人とのかかわり方に問題が出てくる、ということである。その問題は何かというと、「人を意識し、相手のことや周りの状況を考えて行動しているかどうか」、ということである。つまり、ここで考えられるのは、心の理論、自律性が発達しているかどうか、ということである。そして、それを確かめるには、、子どもが「人を見て行動しているか」を確認することである。

 この場合の「人を見て行動する」とは、次のようなことである。

A 相手の様子(表情、動作、しぐさ、声、雰囲気など)を見ながら、感じながら行動を変える。

   → 例えば、相手が機嫌が良さそうなときは甘え、機嫌が悪そうなときは静かにしている。 

B 人によって行動を変える。

   → 人を見て、相手によって同じこと(例えば、要求を通そうとして大声を出して泣く)をやる場合と、やらない場合とがある。

C 周りの状況によって行動を変える。

   → 親がいるとき、家族がいるとき、学校にいるとき、少人数のとき、大勢のときなど、それぞれの状況に応じて行動を変えることができる。

 

 人を見て行動しているのであれば、これから人とのかかわり方が広がっていく可能性があるわけであるので、発達障害の可能性よりも、何らかの発達の遅れ、あるいは経験の遅れが原因と考えられる。逆に、人を見て行動するということが少ない場合、知的な発達に遅れがあってもなくても、発達障害の可能性が考えられる。 

2007/09/23(日) 03:36 | izawa

これまでに、1 知的な発達とは何か?  2 知的な発達の把握の方法について述べてきました。

ここでは、療育相談で子どもさんを見る場合、何を基準にして、その発達の遅れや障害を判断するかを述べたいと思います。

療育相談の中で、「3歳児健診のときに言葉が遅れていて、医師の面談を受け、発達の遅れの可能性を指摘されたが、親としては発達が遅れているとは思えない。」「自分の子どもが自閉的傾向がある、と医師に診断されたが障害があるとは思えない。」等の相談のケースがある。

その場合、3才ぐらいの子どもさんが多い。こういう場合は、子どもさんの発達に不安があって、児童相談所や保健所をとおして医師の診断を受けた後の時期に、子どもさんが良い方向に発達が伸びていって、子どもさんが本当に知的な発達の遅れ、あるいは発達障害があるのかどうか、親御さんが分からなくなって不安が残る、という場合である。

こういうケースでは、子どもさんの知的な発達の実態を正確に把握したうえで、「発達の過程と照らし合わせる」という視点から、発達の遅れや発達障害の実態を確認している。

 

1 「知的な発達の遅れ」か「正常な発達の範囲」か

知的な発達の遅れの場合は、認知的な発達が全体的に影響を及ぼすので、まず認知的な発達段階を見ていく。認知的な発達段階が生活年齢よりも1才以上遅れている場合、知的な発達に遅れをもっている可能性が高いといえる。6才ぐらいまでの間で、認知的な発達段階が1才以上遅れているということは、認知的な構造が大きく異なっているということであり、知的な発達の遅れが疑われる。

認知的な発達段階を見る目安は、「言葉」である。この場合、3才が大きな目安である。3才というのは「3才の壁」などと言われるように大きな節目である。その大きな特徴は、「言葉でしゃべる」という機能が完成し、言葉だけでイメージしたり、コミュニケーションすることができるようになり、「言葉の世界」に入っていくということを意味する。3才ぐらいの段階で認知的な発達の遅れが、半年から1年ぐらいの場合は、知的な発達の遅れがあると言い切れない面があるので、人とのかかわり方、コミュニケーションの仕方、自律性の伸長などの実態を見ながら、もう少し様子を見ることが適切と思われる。

2007/09/21(金) 09:48 | izawa

 このたび、楽しい広場では、10月21日(日)、9時30分~12時00分、第2回 楽しい広場 療育セミナーを開催いたします。今回のテーマは、「3才を目安とした言葉の遅れと発達の見方」です。場所は、札幌市社会福祉総合センターで行います。詳しくは、このホームページの、「事業の内容」の中に載ってありますのでご覧ください。たくさんの方々のご参加をお待ちしております。

2007/09/15(土) 02:23 | izawa

子どもの自律性の発達の把握について

○自律性の萌芽の時期(0才~3才)

 この時期に関しては、親や療育者などの外部からの命令や禁止を、「内在化」するプロセスを経ているか、ということ、それを別の面から見ると、自分と他人を区別することができるかどうか、というjことを判断する必要がある。意味が分からないけれど、親や療育者が言う「○○をしてはいけない」、ということが分かって行動していれば、自分以外の相手を意識して行動」するという意味から、自分と他人を区別することができている、と判断できる。

 

○自律性の形成と伸長の時期(3才~6才)

この段階については、子どもが相手の人、周りの人、場面の状況に応じて行動を変えることができるのであれば、自律性がある程度身に付いていると判断している。更に、成長をするにしたがって、いろいろな人間としての一般的な物事の善悪や是非を理解していくことにより、社会性が身に付いてくるのである;

2007/09/14(金) 09:15 | izawa

2 自律性の形成と伸長(3才~6才)の時期

 この時期については、発達心理学の立場をもとに自律性の形成と伸長を考えてみる。

 子どもが3才ぐらいまでに、外的な命令や禁止を自分のものとして「内在化」していくことにより、子どもは自分と他人とを区別する心理的プロセスを経ることになる。この「自分と他人を区別する」ということが、自律性、更には社会性を形成し伸長していくうえで、とても重要な要素になってくる。そして、本来、自律性の発達の前提となるのが、生後1才ころから初歩的な形で芽生えていく「心の理論」の発達である。つまり、「人の心の状態を推定し、それに基づき人の行動を解釈し、予測する能力」の発達である。

 更に、3~4才ぐらいから、認知面の発達においては、イメージをもつことによって言葉の世界に入り、自分と他人とのいろいろな面での違いを理解したうえで自己主張・自己実現と自己抑制のバランスをとりながら、自分の行動をコントロールすること、つまり自律性が急速に伸長してくるのである

 

★次回は、自律性の発達の把握について、述べます。

2007/09/13(木) 05:51 | izawa

今回は、「知的な発達」の4つ目の要素である、「自律性」の発達について述べます。 

 子どもが人間として生きていくうえで重要な「社会性」の基盤になるのが、「自律性」の発達である。自律性とは「自分で自分をコントロールして行動する能力」である。

1 自律性の萌芽「0才~3才)の時期

 この時期の自律性については、エリクソンの発達理論をもとに考えていきたい。

 子どもは、生まれてから乳児の段階までは、親の保護のもとに、自分の欲求を満たされ、安心感の中で過ごしている。しかし、ハイハイをしたり、座位をとったり、その後歩いたりすることにより、生活の活動の範囲がだんだん広がっていく。そして、その活動の範囲が広がっていくにつれ、子どもが危険な場所や状態のところへ近づいたり、他の人に迷惑をかけるような場面も増えてくる。そういうとき、親が言うべきことになる、「外からの命令や禁止」が生じてくる。そして、それを繰り返すうちに、子どもは、親が言う、外からの命令や禁止の意味は分からないが、「○○はしてはいけない」ということが分かってくる。

 このことをエリクソンは、親が言う外からの命令や禁止を、幼児が自分のものとして「内在化」していくプロセスであり、そして、それは「自律性形成のプロセスである。」と位置づけ、これを「躾(しつけ)」と呼んでいる。

 しかし、幼児にとって、外的な命令や禁止を自分のものとし「内在化」していくプロセスは複雑であり、それほど容易なものではない。幼児にとっては躾という、外からのコントロールは、それまでの親の保護のもとに、自分の欲求に従ってすべてが満たされていた「万能感」を深く傷つけるものである。

 つまり、「躾」とは、、幼児の万能感に根ざした欲求を遮断し、成人側、つまり外部からの圧力によって幼児の行動をコントロールし、外部に従わせるものである。従って、外部からコントロールは、不安や恐怖ではなく、安心感を与えるようなものとなっている必要がある。

 また、この躾において重要なことは、躾とは「自分と他人とを区別する心理的プロセス」でもある、ということである。

★ 次回は、自律性の形成と伸長(3才~6才)の時期について述べたいと思います。

 

2007/09/10(月) 12:32 | izawa

1 コミュニケーションとは

 サイン(記号)かシンボル(象徴)が介在することによって、内容が相手に伝えられ、結果として相手の態度や行動に影響を与える作用、またはプロセス(過程)。

2 コミュニケーションに必要な要素

(1)人への意識 → 前回の「人とのかかわりの発達」を参照。

(2)認知的な枠組みの獲得

                《認知的な枠組み》

                    刺 激

       【Xさん】   → → →   受 容   【Yさん】

               ← ← ←   反 応

                    応 答

            (外界に働きかける、外界を操作する)

3 コミュニケーションの手段

   言葉、動作、文字、表情、声、音、視線など。

4 コミュニケーションに関する行動の偏り(人や物などの環境との関係行動において

 幼児期における外界からの刺激に対する反応が弱かったり、反応が少なかったりすると、感覚運動の統合不全(感覚のネットワークが十分に広がらない)を生じ、それにより、周りの環境からの刺激を十分に理解できず、対処方法が分からず、不安や緊張が生じ、それが感覚や知覚の過敏を引き起こすのではないか、と考えられる。そして、それらの過敏が「頭を振る」「嘔吐をする」「2才頃のかんしゃく」「パニック」など、人や物など周りの環境との関係行動の偏りを生じさせたのではないか、と考えられる。  

★次回は、「知的な発達」の4つ目の要素である、「自律性」の発達について述べる予定です。                     

2007/09/10(月) 01:43 | izawa

 今回は、「知的な発達」の3つ目の要素である「人とのかかわり・コミュニケーション」のうち、人とのかかわり(人への意識)の発達について、ポイントとなる発達年令における内容を述べていきます。

(発達年令)         (発達の内容)

● 5才4ヶ月~  「指さしの出現」

            ①注意の共有

              ・他者は注意を共有できる、心の状態を共有できる存在

               →  相手とコミュニケーションを取りたいという意味が

                  含まれている。

            ②適切なタイミングでその人の顔を見る。

              ・手に届かないところにあるおもちゃを取りたいとき、そ

               の方向を指さしたりしながら、子どもの視線はおもちゃ 

               と養育者を行ったり来たりし、養育者が自分の意図し

               たものをとらえているかどうか、確かめているかのよう 

               にする。

 ●1才0ヶ月~  『心の理論』の発達(ウタ・フリス)

          「田中さんは、〈天気予報は雨だ〉と思い、〈濡れたくない〉と望ん

           だので、傘をもってきた。」

                ↓

        *人の心の状態を推定し、それに基づき人の行動を解釈し、予測

         する能力。(目に見えない心の状態を推測し、行動を予測するの

         で、「理論」と呼ばれる。)

           → 通常は、生後2年目に入ってから、初歩的な形で姿を現し

             次第に洗練された成人の心の理論まで発達していく。

●1才6ヶ月~  SHOWING(他の人に物を持って行って見せる。)の出現。

●2才6ヶ月~  傍観あそび

           → 他児に関する関心が高まり、あそびを傍観したり口を出

             す。

●3才0ヶ月~  ごっこあそび

           連合あそび

           → お互いにおもちゃのやりとりをして、同じようなあそびをす

             る。仲間の行動や存在そのものに直接的な関心を寄せる

             段階。

●4才0ヶ月~  協同あそび

           → 共通の目的のために、役割を分担した組織的なあそび。

             簡単なルールのある鬼ごっこや、ゲーム形式の運動あそ

             びが上手にできる。

●5才0ヶ月~  集団での活発な運動あそび

 

★次回は、コミュニケーションの発達の把握について述べる予定です。