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2007/10/13(土) 13:34 | izawa

 幼児期における問題行動は、幼稚園・保育園・療育施設などにおいての、

日常生活の中でよく見られる行動である。そして、それらの行動が3~6ヶ

月程度の長期にわたって、継続的に現れている場合、根本的原因の究明

と、問題行動の改善に対する対応が必要になる。ここで考える問題行動は、

上記のような、長期にわたって継続的に現れている場合についてである。

 さて、このような幼児期の子どもに問題行動が現れたとき、原因として、

次の3つのケースが考えられる。

1 知的な発達に遅れはないか。

 幼児期の問題行動は、子どもが発達していく中で現れてもおかしくない

行動であるが、それが長期にわたって継続している問題行動として現れ

ている場合は、何らかの原因があると考えられる。

 その中で、はっきりとした原因と考えられるのは、知的な発達に遅れが

ある場合である。知的な発達に遅れがある場合、発達のいろいろな面に

影響してくるので、問題行動として現れてくることは十分に考えられる。幼

稚園や保育園では、まず、知的な発達のうち、基礎となる認知的な発達

の発達段階を把握することが重要になる。この方法については、絵カード

を使った具体的な方法を前述しているので、参照していただきたい。特別

に、知能検査や発達検査をしなくても、臨床的に把握が正確にできるは

ずである。

 もし、ここで認知的な発達に遅れがある場合は、他の言葉やコミュニケ

ーション・自律性などを含めた、知的な発達段階に応じた働きかけを行い、

知的な発達を伸ばしながら、日常生活の中での生活経験を拡大していく

ことが必要である。

 それでは、知的な発達に遅れがない場合はどうか。

2 何らかの原因による、不適応行動ではないか。

 知的な発達に遅れがないと分かった段階で、次に考えられるのは、何

らかの原因による不適応行動である。原因は大きく分けると、次の3つが

考えられる。

(1)生活経験の乏しさ

 問題行動の多くは、人とのかかわりの中で起こるものである。この場合

の生活経験の乏しさの中心となるのは、①家庭内での経験、例えば一人

っ子であること、親や兄弟との接触の機会が少ないなど、②公園での遊び

や他の子どもと一緒にいることの極端な少なさ、③買い物など人の多くい

るところにいることの経験の少なさ、などが考えられる。

(2)不安定になりやすい生活条件の変化

 例えば、本人の視力や聴力が弱くなる、アレルギーなどの特異体質が

顕著になる、兄弟姉妹ができた、親の放任、引っ越しで家が変わる、親の

離婚や再婚などが考えられる。特に、感受性の強い子どもは、チックなど

の症状も伴うことも考えられる。

((3)自律性の未発達

 「自律性」とは、「自分で自分をコントロールしながら行動することができ

る。」ということを意味している。3・4才~6才ぐらいにかけて急速に伸長し

ていく。実は、生活経験が乏しいため、この「自律性」が発達せず、問題行

動となって現れてくるケースが幼稚園や保育園で十分起こりうるのではな

いか、と考えられる。

3 他の発達障害が原因ではないか。

 もし、知的な発達に遅れがなく、何らかの原因による不適応行動ではな

いとしたら、他に考えられるのが、割合的には少ないと思われるが、知的

な発達以外の発達障害が原因ではないか、ということである。その発達障

害として考えられるのが「自閉症」「アスペルガー症候群」「注意欠陥/多動

性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」などである。

 ただ、ここで一つだけ強調しておきたいのは、幼稚園・保育園・学校など

において、これらの障害の判断は慎重に行われるべきである、ということで

ある。これらの障害の原因はまだ分からず、医師においての診断も行動面

の特徴からの診断が中心であり、行動だけを見ると、障害をもっていない

子どもでも十分に起こりうる、と考えられる。発達の不十分さからくる一過

性のものなのか、障害が起因するものなのかは、きちんと見極めなければ

ならない。 

  

2007/10/08(月) 22:31 | izawa

1 幼児期おける問題行動

 ここでは、幼児期における問題行動について考えていく。つまり、幼児期における問題行動とは何か、何が原因と考えられるか、問題行動をなくするためにはどのような取り組みが必要か、ということである。

 幼児期、特に3才~6才ぐらいまでの子どもについて考えられる顕著な問題行動は次のようなものがある。

(不注意)

①他の子どもが遊んでいるところでもかまわず動き回る。

②はさみを持つと、周りの物や他の子どもの服などあたり構わず何でも切ろうとする。

③マジックを持つと、周りのどこにでも描こうとする。

④他の子どもとかかわることが少なく、一人でいろいろなところへ動き回りながら遊ぶことが多い。

⑤他の子どもから話しかけられても反応が少ない。

 (多動性)

⑥しばしばじっとしていない。

⑦教室で座ってする集団活動(お話を聞く、絵本を見るなど)で、すぐ席を離れる。

⑧静かに遊ぶということができない。

⑨集団行動(みんなで他の場所へ移動する、整列して歩く、みんなで待つなど)ができず、動き回る。

(衝動性)

⑩しばしば順番を待つことが困難である。

⑪しばしば他人を妨害したり、邪魔する。

2007/10/08(月) 18:33 | izawa

 今回は、知的な発達の各要素ごとに、その基本となる事柄を書き記しま

す。

1 認知面の発達

 子どもの日常生活の中での活動を考えるとき、基本的には認知的な発

達段階、言い換えると認知的な発達年令に応じた活動・遊びを行う。例え

ば、生活年令が5才で認知的な発達年令が2才ぐらいだとすれば、2才の

子どもが行うような活動・遊びを行う。その経験を積み重ねることにより、

発達を促していく。

2 言葉

 子どもは本来、日常生活の言葉が行き交う中で生活することにより、自

然と言葉を聞き、覚え、しゃべるようになっていく。しかし、知的な発達に

遅れがある場合は、それだけでは不十分である。

 認知的な発達段階が1才6ヶ月くらいになると、子どもはものの名前に

興味を持ち、急激に名前を覚え出す。そこで、そのような段階になったと

き、一日の中で少しの時間(5分~20分程度)、場面を設定し、絵カード

・絵本・テレビ・CDなどを一緒に見聞きしながら、療育者がものの名前

を言い、話をしていく。そうする中で、絵カードや絵、絵本などを使いなが

ら「アンパンマンはどれ?」「バナナはどこ?」と聞きながら選ばせていく。

そうして言葉を覚えながら、喃語の段階から言葉らしきものが出てくるよう

になったら、絵カードを見せながら一緒に発音をさせていく。基本的には、

日常生活の中と、一日の中での少しの時間の療育者との言葉を覚える

時間(5~20分程度)での、意図的な働きかけを行いながら、言葉の発達

を促していく。その過程は、具体的な認知的な発達段階の把握のところで

述べてあるが、基本的なところは次のとおりである。

 〈1才6ヶ月〉~ ものの名前を急激に覚えだす。発音では「おおむ返し

(反響言語)」の出現。

 〈2才0ヶ月〉~ よくしゃべる。構音が正確になり、他人に通じる程度に

なる。1~2の指示に従うことができる。

 〈2才6ヶ月〉~ ものの「分類(種類、用途)」ができるようになる。

 〈3才0ヶ月〉~ 一般的なものの名前がほとんど言える。基本的な動詞、

形容詞が分かる。言葉をコミュニケーションの手段として使うことができる。

「言葉の世界」に入っていく。

3 コミュニケーション(人とのかかわり)

 基本的には、乳児から幼児期にかけて、親御さんや他の療育者との一

対一の相互的な応答ができているかが重要になる。知的な発達に遅れが

ある場合、

(1)人への意識が弱い。

(2)外からの刺激に対しての反応が弱い。

ということが考えられるので、子どもの認知的な発達段階を正確に把握

した上で、その発達段階に応じたかかわり方をする必要がある。基本的

には、子どもに言葉がけなどをした場合、それに対する、声なり、動作なり

、言葉なりの小さなことでも良いので、「反応を療育者に返す」ということに

留意していくことが重要と考えられる。

4 自律性の発達

 自律性の発達が不十分である可能性が高いとしたら、その子どもの自

律性の発達のために、意図的な働きかけをする必要がある。それにはま

ず、家庭や幼稚園、保育園などの療育現場での親や療育者、及び子ども

同士の実際のやりとりの中で、場面や状況に応じ、自己主張・自己実現

(自分の意志をもつ、自分の考えを主張する)と、自己抑制(我慢する、

人に譲るなど)を選択し、行う場面を意図的に設定して繰り返し経験させ、

親や療育者がときには援助しながら、子どもが自分で自分をコントロール

しながら行動する場面を増やしていくことが重要であると考えられる。そし

て、もう一つ重要なことは、家庭と療育現場が協力して同じ働きかけを家

庭でも療育現場でも行う、ということである。自分をコントロールするという

ことは、子どもにとってたやすいことではない。家庭の親御さんと幼稚園・

保育園などの療育現場が、同じような明確な意図をもつことによって、

子どもの自律性が育つのである。

5 経験のさせ方

(1)知的な発達に遅れをもつ子どもの場合、健常と言われる子どもより

発達していく速度が遅い。健常の子どもが2回でできることを9回も10回

も繰り返してようやくできる。あるいは、それでもできないかもしれない。

ゆえに、知的な発達に遅れをもつ子どもを療育していく場合、親、あるい

は療育者は、健常の子どもたちよりも何倍も意図的な働きかけを行う必

要がある。しかし、知的な発達に遅れをもつ子どもでも、意図的な働きか

けをしながら、子どものもつ「自分で伸びていく力」を引き出すことにより、

子どもの発達に加速がつくことも忘れてはならない。

(2)幼稚園・保育園のような健常の子どもが一緒に生活している場合、知

的な発達年令に応じた内容の活動を健常の子どもたちとは別個に行った

り、あるいは生活年令の下の子どもたちと行うことが考えられるが、その

ほかに散歩、外遊び、昼食、おやつなどは生活年令の同じ子どもたちと

一緒に活動する機会を多くする。それは、生活年令が学校、社会での生

活の基準になるからである。しかし、ここで考えなくてはならないのは、発

達の実態があまりにも同じ生活年令の子どもたちと違っている場合は、

一緒に活動することがかえってマイナスになるので、行わない場合もある

と、いうことである。

  

2007/10/07(日) 18:42 | izawa

〈子どもの発達の概略表(0歳~6歳)の無料送付について〉

今、こうして楽しい広場の療育の考え方、具体的な方法論などをこのブ

ログで提示していますが、その根本となるのが、楽しい広場が作成した

「子どもの発達の概略表(0歳~6歳)」です。これは、A4版横書きの表

で7ページになります。そして、

   ・身体の動き、運動

   ・手指、腕の動き

   ・認知

   ・言語

   ・情緒

   ・人とのかかわり、社会性

の6つの発達の要素において、各要素ごと0歳から6歳までの間で、ポイ

ントとなる発達の内容を書き入れ、一部その意味の説明も入っています。

それぞれの要素の発達の基本的な流れが分かると同時に、各要素間の

発達のつながりも見ることができます。

例えば、1才3ヶ月から1才半ぐらいで歩くようになると、その同時期に言

語では「名詞の急速な獲得」が始まり、手指の動きではコップをもって飲

むなどの「道具を操作する手」になっていき、認知面では延滞模倣(モデ

ルが目の前になくても昨日見たことを今日模倣することができる:長期

記憶)ができるようになり、人とのかかわりでは、自閉症を判断する上で

重要なチェック項目とされている「他の人に物をもっていって見せる

(showing)」が現れてきます。これらを一連のつながりとして考えると、

一つの仮説として、子どもが歩くようになることで、自分の世界が一挙

に広がり、それによっていろいろな面で重要な発達が見られるのでは

ないか、ということが考えられます。

*これらの内容を網羅した「発達の概略表を」ご希望の方に、無料で郵

送いたします。メールの添付書類で送ろうと思いましたが、これまでこち

らから送った場合、こちらのパソコンのセキュリティの関係で、送付した

先で開くことができないようです。郵送でよろしければ、ご連絡ください。

無料でお送りいたします。また、10月21日(日)の第2回 楽しい広場

療育セミナーでは、これまでこのブログにおいて書き記した内容と、同時

に資料として「発達の概略表」を配布する予定です。

2007/10/07(日) 17:11 | izawa

1 療育の大前提

★ 「どの子どもも、つまり、知的な発達に遅れをもつ子どもも、発達障

害をもつ子どもも、健常といわれる子どもも、発達段階に適した内容に

沿って育てられなければならない。」

★ これが大前提である。乳幼児も学齢児も中学生も同じである。基本

的には、高校生も同じである。つまり、乳幼児は、年令ごとに発達課題

があり、それに伴う保育内容がある。また、学齢期以降は、学習指導

要領に各学年ごとの学習内容が提示されている。言い換えると、年令

に応じて相応に知的な発達段階が上がっていく、というのが基本的な発

達の見方である。

★ しかし、知的な発達に遅れがある場合、子どもの生活年令に対し、

相応に上がっていくべき知的な発達段階が、大きくずれて遅れていく。

発達障害をもっている子どもは、主に「人とのかかわり・コミュニケー

ション」の発達に大きな遅れとなるずれを生じてくる。

★ ここで、きちんと確認しなければならないことがある。それが一番

最初に掲げた「どの子どもも、発達段階に適した内容に沿って育てら

れなければならない。」ということである。そして、どの子どもも、つまり

知的な発達に遅れをもつ子どもも、発達障害をもつ子どもも、早い遅い

の差はあっても、発達し、成長していくのである。これは、人間として子

どもを育てていく上で、至極当たり前のことである。

★ さて、子どもを育ていく上で、子どもが知的な発達に遅れをもってい

たり、発達障害をもっているとき、困難にぶつかる。それは、同じ生活

年令の子どもでも、例えば、知的な発達の遅れをもつ子どもが10人い

たとしたら、知的な発達段階は10人ごと大きく違う場合が多い、という

ことである。大きく違う、というのは、例えば6才の子どもであったとした

ら、知的な発達段階が1才かもしれないし、2才半かもしれないし、4才

かもしれない。また、同じ発達段階の子どもだとしても、表出言語がある

子どもと理解言語に比べて表出言語がわずかしかない場合もある。

★ まとめると、同じ生活年齢でも知的な発達段階はそれぞれ大きく違

う場合が多く、また、同じ知的な発達段階でも、その中身で大きく違うこと

が多い、ということである。これは、発達障害をもつ子どもに関しても、

基本的には同じである。これは、健常と言われる子どもたちには、ないこ

とである。

★ そういう特徴をもつ子どもたちに対して、発達段階に適した内容に

沿って育てなければならない、ここで言う「療育」をしなければならない

としたら、一番重要なことは、「個々の子どもの発達を正確に把握する。」

ことである。

★ しかし、大前提であるにもかかわらず、このことは今まで十分に行わ

れてきたとは言えない。発達検査や知能検査は行ってきたであろう。しか

し、それらで十分な発達の把握ができたか?特に、乳幼児の知的な発達

の把握ができたか?各種の検査の結果は、知能あるいは各種の発達の

「大きさ」は表しているが、それだけでは、適切な働きかけはできない。子

どもの一般的な発達の流れを把握したうえで、例えば、この子どもに関し

ては、言葉はこのあたりの発達、認知的にはこのあたりの発達であるか

ら、だとしたら発達の流れからいくと、次はこのあたりを目標にしよう、と

いう目標設定をし、そのためにどのような内容を、どのような方法で行う

か、を考えていかなければならない。

★ 楽しい広場は、まさしくこの点について、具体的な考え方、方法論を

提示し、親御さんに説明をし、個々の発達に応じた働きかけ、つまり

「療育」を行っていくことが自分たちの大きな責務と考えている。 

2007/10/02(火) 01:14 | izawa

 前回までは、「子どもの知的な発達の把握」について、述べてきました。今回からは「適切な療育の方法」について述べたいと思います。大きな内容は、次の3つです。

 Ⅰ 療育の構造

 Ⅱ 知的な発達の遅れに対する療育の基本

 Ⅲ 子どもの問題行動

今回は、このうち「療育の構造」について書き記します。

 

Ⅰ 療育の構造

★療育とは・・・・・

  → 発達に遅れをもっていたり、不安のある子どもに対し、発達を促すために意図的な働きかけをすること。

★療育の内容

○内容は、大きく2つに分けられる。 

1 発達→ 個々の発達への働きかけ

2 適応行動→ 人間としての生活全般に適応していく能力の伸長

 

○具体的な内容は次のとおりである。

1 発達

(1)粗大運動(歩く、走る、跳ぶ等)

(2)身体の巧緻性(手の操作性、目と手の協応等)

(3)体力(生活体力、運動体力)

(4)認知的能力(知る、覚える、考える等)

(5)言語(聞く、話す、読む、書く等)

(6)コミュニケーション(人とかかわること)

(7)自律性・社会性(自分をコントロールして行動する、約束を守る、集団行動ができる等)

(8)情緒(感情の分化とその働き)

 

2 適応行動

(1)身辺処理(食べる、排泄する、衣服の着脱等)

(2)家庭生活(家庭での日常生活の過ごし方)

(3)遊び

(4)健康・安全の理解

(5)集団行動         など。

 

*次回は、知的な発達の遅れに対する療育の基本について述べます。

 

2007/09/25(火) 23:27 | izawa

 この場合、発達障害を診断名が多く見られる「自閉症」「アスぺルガー症候群」「ADHD(注意欠陥多動性障害」に絞りたいと思う。3つの発達障害の基本的な診断基準(抜粋)は以下のとおりである。なお、診断基準は、DSMーⅣーTR(精神疾患の診断と統計マニュアルーⅣー解説改訂版:アメリカ精神医学会刊、2006年)に依っている。

 1 診断基準

【自閉症】

(1) 対人相互反応における質的な障害(以下のうち少なくとも2つ以上該当する) 

 a 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語的行動の使用の著明な障害。

b 発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗。

c 楽しみや興味・達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如。(例:興味のあるものを見せる、もってくる、指さすことの欠如)

d 対人的または情緒的相互性の欠如

 

(2)コミュニケーションの質的な障害(以下のうち1つ以上該当する。)

a 話し言葉の発達の遅れ、または完全な欠如。(身振りや物まねのような代わりのコミュニケーションの仕方により補おうという努力を伴わない。) 

b 十分会話のある者では、他の会話を開始し、継続する能力の著明な障害。

c 常同的で反復的な言語の使用または独特な言語。

d 発達水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや社会性をもった物まね遊びの欠如。

 

(3) 行動、興味、活動の限定された反復的で常同的な様式。(以下のうち1つ以上該当する。)

a 強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはいくつかの興味だけに熱中すること。 

b 特定の機能的ではない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。

c 常同的で反復的な衒奇的運動。(例:手や指をぱたぱたさせたりねじ曲げる、または複雑な全身の動き。)

 

 

【アスペルガー症候群】

(1)対人相互反応の質的な障害(以下のうち、少なくとも2つ以上該当する。)

a 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語的行動の使用の著明な障害。

b 発達水準に応じた仲間関係を作ることの失敗。

c 楽しみや興味・達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることの欠如。(例:他の人たちに興味のあるものを見せる、もってくる、指さすなどをしない。)

d 対人的または情緒的相互性の欠如。

 

(2)行動、興味、活動の限定的、反復的、常同的な様式。(以下のうち1つ以上該当する)

a その強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはそれ以上の興味だけに熱中すること。

b 特定の、機能的ではない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。

c 常同的で反復的な衒奇的運動。(例:手や指をぱたぱたさせたり、ねじ曲げる、複雑な全身の動きなど)

d 物体の一部に持続的に熱中する。

 

(3)その障害は社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の著しい障害を引き起こしている。

 

(4)臨床的に著しい言語遅れがない。(例:2才までに単語を用い、3才までにコミュニケーション的な句を用いる。)

 

(5)認知の発達、年令の相応した自己管理能力、(対人関係以外の)適応行動、小児期における環境への好奇心について、臨床的に明らかな遅れがない。

 

*自閉症と区別される点は、以下の3点である。

①アスペルガー症候群では、早期の認知及び言語能力に大きな遅れは見られない。

②限定された反復的で常同的な様式は、限定された関心だけを追求することの中で見られる。

③典型的な対人的相互反応の様式については、非常に風変わりで、一方的で、冗長で無神経な方法であるものの、他者に接近しようとする意欲はある。 

 

 

【ADHD(注意欠陥多動性障害)】

A (1)か(2)のどちらか:

(1)以下の不注意の症状のうち、6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月間持続したことがあり、その程度は不適切的で、発達の水準に相応しないもの。

 

〈不注意〉

a 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。

b 課題または遊びの活動で、注意を持続することがしばしば困難である。

c 直接話しかけられたときに、しばしばきいていないように見える。

d しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない。(反抗的な行動、または指示を理解できないためでなく)

e 課題や活動を順序立てることが、しばしば困難である。

f (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。

g 課題や活動に必要なもの、(おもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、または道具)をしばしばなくす。

h しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。

i しばしば毎日の活動を忘れてしまう。

 

(2)以下の多動性ー衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月間持続したことがあり、その程度は不適切で、発達水準に相応しない。

〈多動性〉

a しばしば手足をそわそわと動かし、または椅子の上でもじもじする。

b しばしば教室やその他、座っていることを要求される状況で咳を立つ。

c しばしば不適切な状況で、よけいに走り回ったり、高いところへ上ったりする。(青年または成人では、落ち着かない感じの自覚のみに限られるかもしれない。)

d しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。

e しばしば「じっとしていない」、またはまるで「エンジンで動かされる」ように行動する。

f しばしばしゃべりすぎる。

 

〈衝動性〉

a しばしば質問が終わる前に、出し抜けに答え始めてしまう。

b しばしば順番を待つことが困難である。

c しばしば他人を妨害し、邪魔する。(例:会話やゲームに干渉する。)

 

B 多動性ー衝動性または不注意の症状のいくつかが7才以前に存在し、障害を引き起こしている。

 

C これらの症状による障害が2つ以上の状況(例:学校(または職場)と家庭)において存在する。

 

D 社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない。

 

 

2 発達障害の可能性の確認

(1)知的な発達の遅れを見る

 相談に来られた子どもさんに、発達障害があるかどうかを見ていく場合、まず、知的な発達の遅れがないかどうかを見る。なぜなら、自閉症やADHDの場合は、知的な発達が遅れていることが原因で、同じような行動特徴が現れるからである。つまり、その行動特徴が、知的な発達水準によって起こっている可能性について見る。例えば、自閉症の行動特徴の中で、「ごっこ遊び」ができていない、とした場合、「ごっこ遊び」は3才で出現するが、もし、知的な発達に遅れがあり、生活年令は3才でも、知的な発達段階が2才ぐらいの場合、自閉症のためではなく、知的な発達の遅れのために「ごっこ遊び」が見られない、ということが考えられるのである。

 

(2)発達障害の可能性を見る。

 3つの発達障害の共通した特徴は、障害があるために人とのかかわり方に問題が出てくる、ということである。その問題は何かというと、「人を意識し、相手のことや周りの状況を考えて行動しているかどうか」、ということである。つまり、ここで考えられるのは、心の理論、自律性が発達しているかどうか、ということである。そして、それを確かめるには、、子どもが「人を見て行動しているか」を確認することである。

 この場合の「人を見て行動する」とは、次のようなことである。

A 相手の様子(表情、動作、しぐさ、声、雰囲気など)を見ながら、感じながら行動を変える。

   → 例えば、相手が機嫌が良さそうなときは甘え、機嫌が悪そうなときは静かにしている。 

B 人によって行動を変える。

   → 人を見て、相手によって同じこと(例えば、要求を通そうとして大声を出して泣く)をやる場合と、やらない場合とがある。

C 周りの状況によって行動を変える。

   → 親がいるとき、家族がいるとき、学校にいるとき、少人数のとき、大勢のときなど、それぞれの状況に応じて行動を変えることができる。

 

 人を見て行動しているのであれば、これから人とのかかわり方が広がっていく可能性があるわけであるので、発達障害の可能性よりも、何らかの発達の遅れ、あるいは経験の遅れが原因と考えられる。逆に、人を見て行動するということが少ない場合、知的な発達に遅れがあってもなくても、発達障害の可能性が考えられる。 

2007/09/23(日) 03:36 | izawa

これまでに、1 知的な発達とは何か?  2 知的な発達の把握の方法について述べてきました。

ここでは、療育相談で子どもさんを見る場合、何を基準にして、その発達の遅れや障害を判断するかを述べたいと思います。

療育相談の中で、「3歳児健診のときに言葉が遅れていて、医師の面談を受け、発達の遅れの可能性を指摘されたが、親としては発達が遅れているとは思えない。」「自分の子どもが自閉的傾向がある、と医師に診断されたが障害があるとは思えない。」等の相談のケースがある。

その場合、3才ぐらいの子どもさんが多い。こういう場合は、子どもさんの発達に不安があって、児童相談所や保健所をとおして医師の診断を受けた後の時期に、子どもさんが良い方向に発達が伸びていって、子どもさんが本当に知的な発達の遅れ、あるいは発達障害があるのかどうか、親御さんが分からなくなって不安が残る、という場合である。

こういうケースでは、子どもさんの知的な発達の実態を正確に把握したうえで、「発達の過程と照らし合わせる」という視点から、発達の遅れや発達障害の実態を確認している。

 

1 「知的な発達の遅れ」か「正常な発達の範囲」か

知的な発達の遅れの場合は、認知的な発達が全体的に影響を及ぼすので、まず認知的な発達段階を見ていく。認知的な発達段階が生活年齢よりも1才以上遅れている場合、知的な発達に遅れをもっている可能性が高いといえる。6才ぐらいまでの間で、認知的な発達段階が1才以上遅れているということは、認知的な構造が大きく異なっているということであり、知的な発達の遅れが疑われる。

認知的な発達段階を見る目安は、「言葉」である。この場合、3才が大きな目安である。3才というのは「3才の壁」などと言われるように大きな節目である。その大きな特徴は、「言葉でしゃべる」という機能が完成し、言葉だけでイメージしたり、コミュニケーションすることができるようになり、「言葉の世界」に入っていくということを意味する。3才ぐらいの段階で認知的な発達の遅れが、半年から1年ぐらいの場合は、知的な発達の遅れがあると言い切れない面があるので、人とのかかわり方、コミュニケーションの仕方、自律性の伸長などの実態を見ながら、もう少し様子を見ることが適切と思われる。

2007/09/21(金) 09:48 | izawa

 このたび、楽しい広場では、10月21日(日)、9時30分~12時00分、第2回 楽しい広場 療育セミナーを開催いたします。今回のテーマは、「3才を目安とした言葉の遅れと発達の見方」です。場所は、札幌市社会福祉総合センターで行います。詳しくは、このホームページの、「事業の内容」の中に載ってありますのでご覧ください。たくさんの方々のご参加をお待ちしております。

2007/09/15(土) 02:23 | izawa

子どもの自律性の発達の把握について

○自律性の萌芽の時期(0才~3才)

 この時期に関しては、親や療育者などの外部からの命令や禁止を、「内在化」するプロセスを経ているか、ということ、それを別の面から見ると、自分と他人を区別することができるかどうか、というjことを判断する必要がある。意味が分からないけれど、親や療育者が言う「○○をしてはいけない」、ということが分かって行動していれば、自分以外の相手を意識して行動」するという意味から、自分と他人を区別することができている、と判断できる。

 

○自律性の形成と伸長の時期(3才~6才)

この段階については、子どもが相手の人、周りの人、場面の状況に応じて行動を変えることができるのであれば、自律性がある程度身に付いていると判断している。更に、成長をするにしたがって、いろいろな人間としての一般的な物事の善悪や是非を理解していくことにより、社会性が身に付いてくるのである;