ナビゲーションメニューへ

ブログ

2021/05/06(木) 11:53 | izawa

 前回のブログで、「意図的コミュニケーション」ができているのであれば、「自閉症ではない」と判断できるとしました。
 今回は、子どもの場合の「意図的コミュニケーション」について考えてみます。

 例えば、幼稚園や保育園で言う年長さんくらいの子どもさんがお母さんとおうちで遊んでいて、何度言われてもおもちゃの後片付けをしないのでお母さんに怒られたとします。しぶしぶ後片付けをして、お菓子が食べたくなったのでお母さんのところへ行き、「ママ、もう怒っていない?」と聞いたとします。
 そのとき、お母さんは両手を鬼の角のようにして「怒ってるぞう」と恐そうな声で言いながら、表情はニヤニヤしていたとします。このとき子どもさんは、「ママはもう怒っていないな」と感じます。
 つまり、お母さんの言葉や動作は怒っているように見えるけれど、表情や雰囲気が優しいと感じ、もう怒っておらず、「いつものママだ」と判断し、お母さんの方もそのような意図的メッセージを出したということです。これが子どもの場合の「意図的コミュニケーション」です。

 

*さて、次回は、「心の理論」をキーワードに考えたとき、「自閉症の判断は何才から可能なのか?」について考えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

2021/05/05(水) 12:38 | izawa

 前回のブログで、「自閉症の人たちは意図的コミュニケーションができない」とウタ・フリス氏が指摘したことを書きました。

 「意図的コミュニケーション」とは、言語的・非言語的シグナル(例えば、声の大きさ・トーン、表情、動作、しぐさ、視線など)を使って、相手の「意図(心の状態)」を推し量りながら相互理解を図っていく、高度で繊細なコミュニケーションです。

 今回は、その「意図的コミュニケーション」と、以前にも載せましたアメリカ精神医学会刊行の「精神障害の診断・統計マニュアル 第5版」(DSM-5)の診断基準の一部と比較してみたいと思います。

 例えば
 ・対人的に異常な近づき方をする 
 ・他の人と興味や情緒、感情を共有することの少なさ
 ・まとまりの悪い言語的・非言語的コミュニケーション(例えば、相手
  が興味のない話を延々と話し続ける)
 ・顔の表情や非言語的コミュニケーションの欠陥
 ・仲間に対する興味の欠陥

などを考えてみます。人間が本来持っている「意図的コミュニケーション」の能力がないとしたら、上記のような症状(行動)があってもおかしくはないですね。
 つまり、これがその人の生き方や個性などではなく、生物学的な原因であるとしたら、「自閉症の可能性がある」と考えます。これは、自閉症の本質的な内容です。
 ということは、言い換えると「意図的コミュニケーション」ができていれば、「自閉症ではない」と判断できるということです。

 さて、大人であれば「意図的コミュニケーションができている」かどうかは分かりやすいのですが、それを幼児期の子どもたちで分かるか、というのが重要になってきます。幼児期の子どもさんでそれが分かれば、早期療育ではもっともっとその子どもさんの発達の不安の原因を自閉症の呪縛から離れ、発達的視点から絞りやすくなります。

*次回は、子どもにとっての「意図的コミュニケーションとは何か?」について説明をしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/05/04(火) 14:24 | izawa

 今回は、自閉症と「心の理論」の関連の中でのキーワードである「意図的コミュニケーション」についてお話ししたいと思います。

 ウタ・フリス氏は、人間のコミュニケーションを大きく二種類に想定しています。

(1)言葉どおり(むき出し)のコミュニケーション
(2)意図的コミュニケーション

 この二つを説明します。

(1)言葉どおり(むき出し)のコミュニケーション
 一つは、「言葉どおり(むき出し)のコミュニケーション」で、言葉通りのメッセージを伝達することだけにかかわるコミュニケーションです。
 例えば、お店で店員の人に「これは何ですか?」と聞いたとします。「アボガドです」と答えます。これは、言葉どおりのコミュニケーションです。

(2)意図的コミュニケーション
 もう一つは、「意図的コミュニケーション」です。これは、言語的・非言語的シグナル(例えば、声の大きさ、声のトーン、表情、動作、しぐさ、視線など)を使って、相手の「意図(心の状態)」を推し量りながら相互理解をするコミュニケーションということです。
 前述の店で店員の人に「これは何ですか?」と聞いたとき、店員の人はとてもにこやかに「アボガドです」と答えたとします。しかし、よく見ると目の前の棚に「アボガド」と書いてあったとします。この時店員の人は、目の前の棚に名札がついていたにもかかわらず、嫌な顔を見せず、答えてくれたことが分かります。
 つまり、言葉は「アボガドです」だけですが、「お客さんに気持ちよく買ってもらって、また来ていただこう」という意図があり、それをお客である自分が感じ取り、「次にまた来よう」と思うわけです。これが、「意図的コミュ二ケーション」です。
 とても高度で繊細なコミュニケーションですが、人間にとってはとても重要なコミュニケーションです。そして、この「意図的コミュニケーション」に欠かせないのが「心の理論」です。つまり「人の心の状態を推測し、それに基づいて行動を解釈し、予測する能力」がなければ、相互理解を可能にする「意図的コミュニケーション」は成り立ちません。
 そして、「自閉症」の人たちはこの「意図的コミュニケーション」ができない」とウタ・フリス氏は指摘します。

 

*次回は、「意図的コミュニケーション」自閉症の関係を考えます。

 

 

 

 

 

 

 

2021/05/03(月) 15:08 | izawa

 今回は4月25日(日)に行われた「第19回 札幌療育セミナー」の報告の5回目です。
 今回の内容は、『認知心理学から見た自閉症の原因~「心の理論」が欠ける」です。

 療育教室 楽しい広場が推し進める「発達療育」では、「障害以外」から子どもさんの発達の不安の原因を考えていきます。その理論的な基盤の一つである認知心理学から見た自閉症の原因が考えられます。それは、『「心の理論」が欠けている』というものです。

 これは1990年代にイギリスのロンドンにある政府の自閉症研究グループで、認知心理学の立場からその研究を進めてきた、ウタ・フリス氏が提唱した理論で、「言語・認知障害説」と呼ばれています。

 そしてこの理論については、今回取り上げているアメリカ精神医学会刊行の「DSM-5」の診断基準のうち、主要な症状の一つの「社会的コミュニケーションの障害」の中の3つの項目の背景には、「心の理論の損傷(欠けていること)があるのではないか」と、医学の方面からも推測されています。

 

★心の理論とは

 「心の理論」とは、「人の心の状態を推測し、それに基づいて行動を解釈し、予測する」能力のことです。目に見えないので「理論」と呼ばれています。
 具体的に考えてみます。
 例えば、朝の出勤時にJRの駅に自分が歩いていたとします。その時、自分の横を脇目も振らず一生懸命駅の方に走っている人がいたとします。それを見て自分は「ああ、あの人は列車に乗り遅れそうになって、焦って走っているんだな。でも、7時56分の列車には間に合うかもしれない」と思ったとします。
 これが、「心の理論」です。これが自閉症児や自閉症の人たちはできないのですね。
 

*次回は、自閉症を考えていく上での重要なキーワードの一つである「意図的コミュニケーション」と「心の理論」の関連について考えていきます。

 

 

 

 

2021/05/01(土) 14:34 | izawa

 ここでは、アメリカ精神医学会作成の「DSM-5」から見ていきます。自閉症スペクトラムは医学的な原因は不明とされています。診断は「行動の水準」を判断して行います。この場合基本的に「行動=症状」とします。自閉症スペクトラムを定義する症状は大きく二つあります。その症状と具体例は以下の通りです。

 

《診断基準》

A 社会的コミュニケーションの障害(以下は一例であり網羅したもので
  はない)

(社会的情緒的相互性)
  ・対人的に異常な近づき方をする
  ・通常のやりとりができない
  ・他の人と興味や情緒、感情を共有することの少なさ
  ・社会的相互反応を開始したり、応じたりすることができない
(非言語的相互作用)
  ・まとまりの悪い言語的・非言語的コミュニケーション(例えば、相
   手が興味のない話を延々と話し続ける)
  ・視線を合わせることや身振り(ジェスチャー)の異常
  ・身振り(ジェスチャー)の理解やその使用の欠陥
  ・顔の表情や非言語的コミュニケーションの欠陥
(対人関係)
  ・様々な社会的状況に合った行動に調整することの困難さ
  ・想像上の遊びを他人と一緒にしたり、友人を作ることの困難さ
  ・仲間に対する興味の欠陥

B 興味の極限と常同的反復的行動(以下のうち2つ以上により明らかに
  なる)
(常同的または反復的な身体の運動、物の使用、または会話)
  ・おもちゃを一列に並べたり、物をたたいたりするなどの単調な常同
   行動、反響言語、独特な言い回し
(同一性の固執・習慣へのかたくななこだわり、または、言語的・非言語
 的な儀式的行動様式)
  ・小さな変化に対する極度の苦痛
  ・移行することへの困難さ
  ・柔軟性に欠ける思考様式
  ・儀式のようなあいさつの習慣
  ・毎日同じ道順をたどったり、同じものを食べたりすることへの要求
(強度または対象において異常なほど、極めて限定された執着する興味)
  ・一般的ではない対象への強い愛着または没頭
  ・過度に限定・固執した興味
(感覚過敏に対する過敏さ、または鈍感さ、または環境の感覚的側面に対
 する並外れた興味) 
  ・痛みや体温に無関心のように思える
  ・特定の音、感覚に逆に反応をする
  ・対象を過度に嗅いだり、触れたりする
  ・光または動きを見ることに熱中する

 

★留意事項
 ・これまで症状は3才以前に発症が推定されていたが、年令の規定を緩
  め、社会的要求が大きくなってからの顕在化も許容されている。

 ・個々の子どもの「行動」の情報を「症状」に照らし合わせて医師が診
  断をする。その際の診断を決めていく基準は、それぞれの医師にゆだ
  ねられている。

 

*次回からは、認知心理学から見た自閉症の原因に深くかかわっている「心の理論」について考えていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/04/29(木) 11:35 | izawa

 認知心理学の立場から「自閉症」を見ていく前に、医学的な立場からの「自閉症」を見ていきます。

1 世界的な医学的診断基準

 現在、世界的な医学的診断基準は二つあります。一つは世界保健機構(WHO)が2018年に作成した「国際疾病分類 第11回改訂版(ICD-10)」で、もう一つは、アメリカ精神医学会が2013年に作成した「精神障害の診断・統計マニュアル 第5版(DSM-5)」です。
 基本的にこの二つに大きな見解の違いはありませんが、「ICD-10」の方が、「障害」の定義について従来より細かく、そして多様に設定をしています。日本の厚生労働省は「ICD-10」を基準にしていますが、今回のセミナーでは、日本でも医学を中心に多く使われている「DSM-5」から自閉症を見ていきます。

 

2 診断名について

 自閉症は正式には
 「autisum spectrum disorders」
という名称で、日本では「自閉症スペクトラム」と呼ばれています。医学関係の方などは「ASD」と呼ぶことがあります。
 以前は自閉性障害(自閉症)、アスペルガー障害(アスペルガー症候群)、高機能自閉性障害(高機能自閉症)などに分かれていましたが、現在は「自閉症スペクトラム」に統一されています。表に出る症状はいろいろあっても、その根底の部分はつながっているという意味で「スペクトラム」という言葉を使っています。
 そして、もう一つ確認しておきたいのは「disorders」という言葉です。意味は「体の不調」ということです。ですから、病気に近い意味で使われています。しかし、我々はよく「自閉症という障害」という言い方をします。本来は「病気」と「障害」は違いますが、「自閉症になるとそのまま障害をもつことになる」という意味で便宜的に使われていると理解しています。現在、世界保健機構やアメリカ精神医学会では「障害」という定義を従来と変えてきていますが、ここでは「自閉症という障害」と呼称いたします。

 

*次回は、具体的な診断基準について確認いたします。

 

 

 

 

 

 

2021/04/28(水) 13:07 | izawa

 療育教室 楽しい広場の「発達療育」の発達的視点から見ていくと、子どもさんの発達の不安の多くは「障害以外」の原因が考えられます。しかし、「自閉症」という障害の診断や所見が目の前に現れると、「障害以外」の原因を探すことが吹き飛んでしまいます。それは、「障害」という言葉から生まれる不安からくるのでしょう。

 「発達療育」においては、以前から「自閉症」を考えるときは、1990年代にイギリスの認知心理学者であるウタ・フリス氏が唱えた「心の理論が欠けているのが自閉症である」とする、「言語・認知障害説」を基盤として考えてきました。

 「心の理論」とは、「人の心の状態を推測し、それに基づいて行動を解釈し、予測する」能力のことですが、ウタ・フリス氏が唱える「心の理論の欠落」という考え方から見ていくと、療育教室 楽しい広場の相談やことばの学習に来られた子どもさんで、自閉症の診断や所見をもらった子どもさんのほとんどが、自閉症の診断をするには早すぎたり、自閉症には当てはまらず、発達の不安には別の発達的な原因が考えられました。

 早期療育の目的は、自閉症児を探すことではありません。障害を前提にすることでもありません。「発達の不安を改善する」ことです。そのためには、正確に原因を見つけることが必要になります。そして、そのためには「自閉症ではない」子どもさんを見つけることが必要になるのです。

 そこで、今回の療育セミナーでは、今、早期療育の現場で広がっている「自閉症」について、「自閉症児を見つける」ためではなく、「自閉症児ではない」と判断するために、認知心理学の立場から、ウタ・フリス氏が唱えた「心の理論」を基に考えていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/04/28(水) 12:23 | izawa

  療育教室 楽しい広場の次の「子ども発達相談」と「ことば伸び伸び教室」は、5月2日(日)、9:00~16:00です。会場は、札幌市社会福祉総合センター 第1会議室です。料金は、1時間3000円です。コロナ対策として、事前に部屋の全ての机と椅子の消毒をしております。

 さて、幼児期の子どもさんで、
   ・2才、3才、4才で発語がわずかしかない
   ・言葉は出るが他の同じ年令の子どもさんより言葉の発達が遅い
   ・自分の世界に入ってボーっとしていることが多い
   ・集団で遊ぶとき一人でどこかへ行ってしまう
   ・自分の思う通りにならないと手がでる
   ・一斉指示が通らないと言われた
   ・1才半、3才児健診で言葉の遅れを指摘された

などの発達の不安をおもちのお子さんのお父さん、お母さん、是非一度療育教室 楽しい広場においでください。

 療育教室 楽しい広場は、お子さんの発達の不安の原因を「障害以外」から考え、「本来発達に必要だった生活経験が不十分ではなかったか」という視点から原因を考え、その不十分だった生活経験を更に積み重ねることで発達の不安を改善する「発達療育」を行っています。

 詳しくは、ホームページメニューの「楽しい広場 子ども発達相談」及び「楽しい広場 ことば伸び伸び教室」をご覧ください。

 お待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/04/27(火) 13:05 | izawa

 4月25日(日)に、第19回 札幌療育セミナーを札幌市社会福祉総合センターで行い、7名の方々に参加いただきました。

 《テーマ》
『自閉症の迷信を吹き飛ばす 「自閉症ではない」と判断するポイント(1) ~良くも悪くも人を見て行動する』

 幼児期の子どもさんで発達に不安がある場合、早期療育を行う前に「自閉症」の診断を受けている場合は非常に多いのです。しかし、認知心理学の立場から見ると、「このお子さんは自閉症ではない」と判断できるポイントが2つあります。それは、次の2つです。

(1)良くも悪くも人を見て行動している
(2)「ごっこ遊び」ができる

 今回の「第19回 札幌療育セミナー」では、(1)「よくも悪くも人を見て行動する」について、説明いたしました。

 このブログでは、何回かにわたって、このセミナーの内容をお伝えしていきます。

★「発達療育」
 まず、療育教室 楽しい広場が行っている早期療育である「発達療育」について確認します。
 「発達療育」の目的は、主に幼児期の子どもさんで発達に不安のある子どもさんの、その不安を改善していくことです。
 方法についてですが、まずその発達の不安の原因を「障害以外」から考えます。具体的には、個々の子どもさんの発達の実態(発達段階や発達の特徴)を正確に把握し、それを子どもの一般的な発達全体の流れと比較検討します。それを「発達的視点」と呼びます。
 そして、その上で、「本来、発達に必要な生活経験が不十分だったのではないか」と考えます。そうであれば、不十分であったと考えられる生活経験を更に積み重ねていくことにより、発達の不安を改善していきます。
 これを「教育としての早期療育」と位置付けることができます。

 

★「自閉症」の診断・所見のもつ意味
 「発達療育」を進めていくとき、立ちはだかるのが「自閉症」という言葉です。なぜなら、今、発達に不安がある子どもさんが、保健センターなどの発達相談や病院に行くと、その発達の不安の原因を知的障害を除くと、その多くは「自閉症」を主とした発達障害にあると考えているからです。
 もし、「自閉症」の診断や所見をもらうと、親御さん、そして幼稚園・保育園の先生や児童デイサービスの指導員の方々は、発達の不安の原因が「障害である」としたら、「無理はさせられない」とする場合が多くなると考えられます。
 「無理をさせられない」とは、他の子どもさんと同様に「発達段階に応じた負荷のかかる場面や、多少の失敗を経験しながら学習していくということをさせられない」ということを意味しています。

 「発達的視点」から考えていく「発達療育」を進めていくとき、もし「自閉症ではない」と認知心理学の立場から判断すると、療育を進める前に、親御さんや先生の方々に、「自閉症ではない」と判断する理由を説明しなければなりません。
 「自閉症」という言葉の呪縛を取った上で、「発達療育」を進めていくということです。

 *次回は「認知心理学から見た自閉症の理解」について説明いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/04/16(金) 13:11 | izawa

 療育教室 楽しい広場では、4月25日(日)に幼稚園教諭や保育士、児童デイサービス指導員など、指導する立場の方々を対象とした、第19回札幌療育セミナーを開催いたします。

 時間は10:00~12:00、会場は札幌市社会福祉総合センター 第2会議室です。

 今回のテーマは『自閉症の迷信を吹き飛ばす 「自閉症ではない」と判断するポイント(1)~良くも悪くも人を見て行動する』

 今回は、自閉症に関してです。「この子どもさんは、自閉症と言われているけれど、認知心理学の視点から見たら自閉症とは考えられません」というケースについて、療育教室 楽しい広場でのこれまでの相談の中でもたくさんあることですが、それについて、その理由を今回、詳しく説明する予定です。

 実際、自閉症の子どもさん、あるいは成人の方はいらっしゃいます。しかし、今、日本で、1才代、2才代、3才代で自閉症と診断されたり、自閉症の可能性があると言われている子どもさんもたくさんおられると思います。

 認知心理学の中で、「心の理論」というもの、それは「人の心の状態を推測し、それに基づいて行動を解釈し、予測する」という能力のことなのですが、それが自閉症の人たちに欠けているという理論があります。1990年代に、イギリスの政府の自閉症研究機関のメンバーであった、ウタ・フリスという方が提唱した理論です。これは、「言語・認知障害説」と言われ、現在の医学的な診断基準にも大きな影響を与えています。

 この理論を基に、療育教室 楽しい広場の「発達療育」では、自閉症のことを考えています。発達に不安をもつ子どもさんの中から「自閉症児を探すのではなく、自閉症ではない子どもさんを探す」ためです。

 何のためにそんなことをするのか。

 認知心理学の視点から見ると、1才代、2才代では、まだいろいろな発達が伸びていないため、そこで自閉症と診断することは極めて難しいということ、そして個人差を考えると3才代になって、自閉症かどうかを判断するための発達が出そろってくる、ということです。それでも、周りを見ると1才代、2才代、3才代で自閉症、あるいはその可能性を言われている子どもさんたちがたくさんいます。
 そういう中で、例えば2才半で発語がほとんどない子どもさんの言葉を出す指導やアドバイスをしようと思っても、自閉症の診断や可能性を言われていると「自閉症という障害をもっている」前提から、多くの早期療育機関では療育を行っていきます。そして、その内容は「自閉症という障害があるのだから、将来の言葉の大きな発達は見込めない。であるならば、それを補完し、将来の社会で生活するため生活適応力として、サインやジェスチャーでコミュニケーションを取れるようにしよう」という、「福祉的」なものになっていきます。

 しかし、この子どもさんが自閉症でなければ、このやり方は大変な間違いになってしまします。本来は言葉を伸ばすのが大事な療育の内容です。こういうケースがたくさんありましたし、今もあります。こういう時、お父さん、お母さん、幼稚園や保育園の先生方に、子どもさんが「こういう場合は自閉症ではない」ということを知っていただかなければなりません。
 「こういう場合」とは2つあります。

1 よくも悪くも人を見て行動している場合
2 ごっこ遊びができている場合

 どちらか一つができていれば、「自閉症ではない」と判断することができます。今回は1の方を説明いたします。

 このようなことを全面的に受け入れていただけるかどうかはまた別ですが、少なくとも「障害以外」の原因に絞り込めやすくなります。そのための考え方が今回のテーマなのです。

 長くなりましたが、ぜひともたくさんの方々にご参加いただきたいと願っております。