先日、3月19日の夜9時から、教育テレビで「すくすくナイト」という番組が放映されていて、テーマは「もしかして発達障害」でした。
2才、3才、4才くらいの子どもさんたちの激しいかんしゃくに悩んでいるお母さん、お父さんが出演され、それに対して医師や心理士の方々が説明をされていました。 この番組の特徴は、「かんしゃくの原因は発達障害の可能性が高い」というものでした。そして、それ以外の原因については触れてはいませんでした。
今回、このブログでお話ししたいのは、「かんしゃくの原因は、発達障害以外にもある」ということです。
一番わかりやすい例は、北海道小鳩会の会報233号に掲載していただいた文章の内容です。テーマは「かんしゃくが激しい子どもさんに対する対応について」というものです。主な内容は、次の通りです。
子どもさんを育てるとき,「子どもに寄り添った子育て」ですとか「子どもをほめる子育て」など、子どもを肯定的に見た子育てを実践されている方も多いと思います。肯定的とは、「良い面をどんどん伸ばしていきたい」という意味です。
しかし、こういう子育てをされるとき、陥りやすい問題点があります。それは、子どもさんが、毎日にこにこと楽しそうに伸び伸びと育ってほしいと願うあまり、子どもさんが嫌がること、不快なことをさせないように、親御さんが先回りしていろいろやってあげている場合です。確かに、子どもさんは何も自分を遮るものがなく、気持ちよく、伸び伸びと毎日生活できているでしょうが、2才、3才と生活の範囲、行動の範囲が広くなると、周りが全て子どもさんに合わせることがむずかしくなってきます。
例えば、抱っこを要求すれば、いつもお母さんが抱っこをしてくれていたとします。しかし、子どもさんが2才・3才となってきて、お母さんが家の食事を作らなければならない、掃除をしなければならない、これから買い物に出なければならない、あるいは買い物に出て人がたくさんいるデパートの売り場でお母さんが荷物をもっているなどのときにも抱っこをせがむなど、子どもさんの要求とお母さんの意思が不一致になることが多くなってきます。
そういう時、「子どもに不快な思いをさせたくない」「子どもの笑顔が見たい」と思って、いつもお母さんがその要求に応えていると、子どもさんは、お母さんがなかなか抱っこしてくれないとかんしゃくを起こしやすくなります。なぜかんしゃくを起こすかというと、子どもさんは自分が要求し続ければ、お母さんは最後は仕方なく抱っこしてくれると分かっているからです。人間だれしも、自分にとって心地よい状態を手放したくありません。それは、幼児でも同じでしょう。
これが、例えばある年令にくればやらなくなるのあれば、そこまで我慢もできますが、子どもさんはずっと要求し続けるでしょう。これは、親御さんや周りの大人が止めさせるしかありません。
療育教室、楽しい広場ではこういう場合、お母さん、お父さんに、おうちで子どもさんに「ちょっと待つ」「ちょっと我慢する」「後片付けをする」「自分でできることは自分でする」など、「自分を抑える」経験をさせてもらうようにアドバイスしています。
それまで、自分が要求することは必ずかなうものだと思っていた子どもさんが、少しずつ、毎日の生活の中で「自分の思う通りにならないことがある」ということに気づいていき、それによって、かんしゃくもなくなっていきます。これについては、療育教室 楽しい広場の発達相談やことばの指導に来られた子どもさんの中でも、たくさんの子どもさんがかんしゃくが収まっていきました。
これは、かんしゃくの原因が発達障害ではなく、「子どもさんの育ち方」「お母さん、お父さんのかかわり方」に原因がある場合です。これは、お母さん、お父さんを責めるものではありません。問題があったのであれば改善すれば良い話です。
「かんしゃくの原因は発達障害だけではない」ということを、世のお母さん、お父さんに声を大にしてお伝えしたいです。
今回は以上です。