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izawaさんのブログ

2021/03/16(火) 17:19 | izawa

 3月9日付のブログで掲載いたしました続きです。認知心理学の「心の理論」から見て「自閉症の可能性がない」と判断する2つ目のポイント、それが今回説明をいたします「ごっこ遊びができる」です。

 この「ごっこ遊び」に関しては、世界的な診断基準である「アメリカ精神医学会刊行の精神疾患の診断・統計マニュアルー5版」にも、「自閉症スペクトラム」の診断基準の中に、「想像的遊びができない」という形で載っています。言い換えると、「ごっこ遊び(想像的遊び)ができれば自閉症の可能性はない」と判断できます。

 それでは本題に入ります。
 「ごっこ遊び」の大きな特徴は、例えば、レストランごっこをしていて、毛糸を「スパゲッティ」として置き換えたり、赤いボールを黒いおにぎりと想像させたり、コップの中にジュースはなくとも「ある 」としたり「事の真偽を棚上げして遊ぶ」ということにあります。この「事の真偽を棚上げして遊ぶ」ということが自閉症児には難しいのです。それはなぜでしょう?

 これまでも説明してきましたが、自閉症の原因は「心の理論」が欠けているということです。「心の理論」とは、「人の心の状態を推測し、それに基づいて行動を解釈し、予測すること」です。
 例えば、今自分がJRの駅に向かって歩いているとき、自分の横を脇目も振らず一生懸命走っている人がいるとします。私は「ああ、あの人は列車に遅れそうになって急いで走っているんだな。でも、7時56分の列車には間に合うかもしれないな。」と思ったとします。これが「心の理論」の一例です。

 さて、この「心の理論」を使って思ったり考えたりするとき、どうしても必要な心理的脳力があります。それは、当たり前と言えばその通りなのですが、『私は「○○」と思った』と心の中でイメージできる能力です。
 例えば『私は「ボールは赤い」と思った」という文があります。この「ボールは赤い」というのを「一次表象」と言います。「表象」とは、「外界のものを心の中で表す」ということです。「一次表象」とは、「物理世界の表象」で、普通「ボールは赤い」のような「知識」のことを意味します。
 では、『私は「ボールは赤い」と思った』というのは何かと言いますと、「メタ表象(高次表象)」と言います。つまり。「ボールは赤い」という「一次表象」を更に表象するということ、言い換えると、「誰かの心の中にある表象を更に表象する」ということです。この「メタ表象」は「~と思う」「~と考える」「~と信じる」「~と望む」などの「心の状態を示す表現」のときに使います。この『私は「○○」と思った』という「メタ表象」の能力があるので「心の理論」が可能になるのです。

 さて、『私は「ボールは赤い」と思った』という「メタ表象」に大きな特徴があります。それは、この「ボールは赤い」という部分が、事の真偽を問わず、つまり「本当だろが、ウソであろうが、でたらめであろうが」何が入っても、この文は成立する、ということです。「ボールは星だ」としても、「彼が何度も銀河鉄道に乗っていろいろな星に行った」としても文は成立するということです。そして、この「事の真偽を棚上げしてもコミュニケーションは成立する」というところが、「事の真偽を棚上げして遊ぶ」という「ごっこ遊び」と論理的に同形であることを、1987年、アラン・レスリーという人が論証しました。

 ということは、「ごっこ遊び」ができていれば「心の理論」が発達している、ということを意味しています。つまり、「自閉症の可能性はない」と判断できるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/13(土) 17:27 | izawa

 例えば、2才半、3才になっても「発語がごくわずか」のお子さんがいたとします。医学的な診断がついていたとしても、認知心理学の立場からみて、「発達療育」としては、そういう判断はできない時期と考えます。

 では原因は何か。「発達療育」では、「発語がわずか」という発達の不安の原因を、「本来発語の発達に必要な生活経験が不十分だったのではないか」と考えます。 

 例えば、「視覚優位」と言われる子どもさんであれば、大好きな絵本や図鑑やアニメを見たり、大好きなおもちゃで遊ぶ「一人遊び」の時間が多く、その分お母さんとのかかわりが少なくなり発語が遅れたのではないか、と考えたり、お父さんお母さんがお子さんを「のびのび育てたい」と考え、子どもさんが嫌がることはしないように心掛け、子どもさんはやりたいように毎日過ごすことができますが、そういう場合、しゃべる必要がないので発語が遅くなる、ということが考えられます。
 また、聴覚過敏や触覚過敏の子どもさんの場合、いつ過敏の不快感が来るかわからないという不安から、どうしてもお母さんとのかかわりが弱くなって、その分発語が遅れるのではないかと考えます。

 このような感じで、他のいろいろな発達の不安についても同様に原因を考えていきます。子どもというのは、経験し、学習し、そして発達していきます。その経験が少ないというのは、想像以上にその子どもさんの発達に影響を及ぼすと考えられます。今、それらの多くを「障害が原因」に求めがちですが、落ち着いて考えると、子どもさんの発達の遅れは身近にあるものではないでしょうか。。

 

 

 

 

2021/03/13(土) 11:14 | izawa

 療育教室 楽しい広場は、『教育としての早期療育」を行っています。例えば、発語がない、発語が少ない、よくボーっとしている、聞いたことに対して全然別のことを話し出す、友だちとの会話についていけない、1才半健診や3才児健診で療育を勧められた、幼稚園や保育園で一斉指示が通らないと言われ療育を勧められたなど、いろいろな子どもさんの発達の不安があります。
 それに対して、その発達の不安の原因を「障害」からではなく、「発達に必要な生活経験が不十分だったのではないか」という視点から考え、そして、その不十分だったと考えられる生活経験を明らかにし、それを積み重ねていき、発達の不安を改善していく、というのが「教育としての早期療育」である、療育教室 楽しい広場が進めている「発達療育」です。

 さて、次の「こども発達相談」と「ことば伸び伸び教室」ですが、3月21日(日)に札幌市社会福祉総合センター 第1会議室で行います。

 さらに、4月の予定もお伝えします。

 〇4月 8日(日)  9:00~16:00
 〇4月11日(日) 12:00~16:00(午後のみ)
 〇4月18日(日)  9:00~16:00

 (会場)札幌市社会福祉総合センター 第1会議室 

 料金は、1時間3000円です。

 詳しくは、メニューの「楽しい広場 こども発達相談」「楽しい広場 ことば伸び伸び教室」をご覧ください。

 お子さんの発達のことで不安をおもちのお父さん、お母さん、どうぞ一度おいでください。お待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/09(火) 16:32 | izawa

 療育教室 楽しい広場の相談やことばの教室に来られる子どもさんで、医学的な「自閉症」の診断を受けている子どもさんがたくさんいます。そして、その診断に強い不安をもたれているお父さん、お母さんもたくさんいらっしゃいます。そういう時、認知心理学の「心の理論」のから見て、「自閉症の可能性がない」と判断した場合は、その理由を説明しています。

★認知心理学の「心の理論」から見て、「自閉症の可能性がない」と判断
 する2つのポイント 

1 良くも悪くも人を見て行動する

2 ごっこ遊びができる

 そして、今回は「1 良くも悪くも人を見て行動する」について、説明 
をいたします。

 

1 良くも悪くも人を見て行動する

 認知心理学の「心の理論」の考え方から見て、自閉症の原因は「心の理論が欠けている」ということです。
 「心の理論」とは、「人の心の状態を推測し、それに基づいて行動を解釈し、予測する」能力で、発達的には3才後半以降にはっきりした形で伸長していきます。
 そして、この「心の理論」によって、発達していくのが「意図的コミュニケーション」です。この「意図的コミュニケーション」とは、「心の理論」の説を提唱したイギリスのウタ・フリス氏が提唱している、言葉によるコミュ二ケーションの中の一つです。
 それは、言葉で相手に言うだけではなく、それと同時に声の大きさ、声の調子、更に表情や動作、視線、しぐさなどのいろいろなシグナルを伝え合い、言葉以外の心の状態である「意図」を伝え合うことで、相互理解をするコミュニケーションです。
 言い換えると、他の人の伝えてくるシグナルを特定の心の状態を関連させて、つまり、他の人が、何を考え、何を感じ、何を望むかと関連させて、「他の人を理解する」ということです。
 そして、この「意図的コミュニケーション」が自閉症児には「心の理論」の能力が欠けているためできません。

 さて、この「意図的コミュニケーション」が幼児期の子どもさんにはっきりとした形で現れるのが「良くも悪くも人を見て行動する」です。では、具体的にはどういうことか?

 例えば、6才くらいの子どもさんがおうちでおもちゃで遊んだ後、なかなか後片付けをしないので、お母さんに怒られてしぶしぶ後片付けをした後、テーブルの上のおやつを食べようとすると、お母さんが「手を洗っておいで」と言ったとします。その言い方がきつい言い方だとしたら、子どもさんは「ママはまだ怒っている。すぐ、手を洗いに行こう」と考え、手を洗いに行くかもしれません。
 もし、お母さんの言い方が普通の言い方だとしたら、「ラッキー、おやつを少し食べちゃおう」と手を洗いに行く前におやつを食べ、そこで「また注意されたらその後に手を洗いに行けばいいや」と思って行動したかもしれません。
 どちらにしても、このとき子どもさんは、お母さんの言葉だけではなく、声の大きさ、声の調子、視線、表情、雰囲気、動作などのお母さんに関するいろいろな情報を一瞬のうちに処理し、どう行動すべきかを判断します。
 よく、お母さんの方をちらちらと見ていることがあるですとか、お母さんに怒られたらお父さんの所に逃げていく、などというのも同様ですね。

 これが、「良くも悪くも人を見て行動する」の一例です。つまり、「心の理論」を使った「意図的コミュニケーション」なのです。自閉症児であれば、これが難しいのです。ですから、逆に言いますと、これができていれば、「自閉症の可能性はない」と判断できます。

 「この子どもさんは自閉症なのか、そうではないのか」と議論するのが目的ではありません。もし、認知心理学の立場から見て「自閉症の可能性はない」と判断できれば、お父さん、お母さんがそれを全面的に受け入れてくださるかどうかは別として、子どもさんの発達の不安を改善していく療育を行っていく上で、心が少しでも軽くなるかもしれません。
 そして、療育をする上では、発達の不安の原因を「障害以外」に絞りやすくなるのです。

 今回は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/08(月) 16:54 | izawa

 療育教室 楽しい広場への相談には、「言葉の遅れ」のご相談がとても多いです。一つは「発語の遅れ」。そしてもう一つは言葉は出ているが、言葉を使ったコミュニケーションの不自然さ、違和感などの不安です。

 言葉を使ったコミュニケーションの不安の具体的な内容は、以下の通りです。この場合は、基本的に3才以降の子どもさんを想定しています。

1 おおむ返しが多い
2 独り言や意味のよくわからない宇宙語を話す
3 突然、違う話題の話をし始める
4 ボーっとしていたり、自分の世界に入ることが多い
5 聞かれたことや質問に答えられない、話を理解しているのかが分から
  ない
6 友だちと会話ができない、してもついていけない
7 人見知りが強い、緊張が強い
8 場面緘黙がある

 

★3才以降、言葉を使ったコミュニケーションの発達に必要な能力

 実は、3才は、それ以降言葉を使ったコミュニケーションが伸びるために必要な認知面、言葉、人とのかかわり、社会性などのいろいろな重要な能力が伸びていく時期になります。具体的には、次のようなものです。

1 言葉の動詞や形容詞が分かり、ものごとの意味が分かってくる
2 短期記憶力が伸び、文章の表現力が大きく伸びる
3 長期記憶力が伸び、同一のイメージを長時間もち続けることができる
  ようになる
4 時間の概念の形成(過去・現在・未来)
5 「心の理論」が発達し、「意図的コミュニケーション」ができるよう
  になる
6 ごっこ遊びができるようになって、想像的な遊びができるようにな
  り、「意図的コミュニケーション」のような高度なコミュニケーショ
  ンを発達させていく
7 「自分で自分の行動をコントロールする」という「自律性」が急速に
  伸長する
8 自分や人のためにウソをつく(自分の情動の表現の操作ができる)
9 それまでの大人中心のかかわりから、子ども同士のかかわりの段階に
  入っていく

 これらのように、いろいろな重要な能力が伸び、3才以降はギアが一段上がって、高度で複雑なコミュニケーションの段階に入っていきます。なので、すんなり伸びていく子どもさんもいれば、いろいろな理由でこの時期につまづいたり、足踏みをする子どもさんが出てくる可能性も十分にあるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/03/02(火) 13:19 | izawa

 さて今回は、発語をするために必要な4つの発達の4つ目「伝え合う」です。この「伝え合う」は、発語だけではなく、発語以降の人間のコミュニケーションに重要な発達になっていきます。

 発語の前は、例えばお母さんとどのようにコミュニケーションをとっているかと言いますと、お母さんとは一日の日常生活の中の、食事、着替え、お風呂、遊ぶなど、いろいろな場面でかかわります。子どもさんはまだしゃべりませんが、お母さんの発する言葉を聞きながら、そして、もう一方では、言葉以外の「非言語的コミュニケーション手段」(例えば、声、動作、表情、視線、しぐさなど)を使って、お母さんと感情や意思などを「伝え合う」経験を重ねていきます。

 特にお母さんとは、緊密で情緒的な「愛着関係」を基盤にして、意図的にコミュニケーションをしたいという「内的欲求」が、その「伝え合う」という発達の手助けをしていると考えられます。

 このお母さんとの言葉と、そして言葉以外の「非言語的コミュニケーション」の両輪によって、高度で繊細ないろいろな種類のコミュニケーション能力が育ち、更に他の3つの発達と結びつきながら機が熟した時、「伝えたい」という想いが「発語」という言葉となって表現されると考えます。

 さて、発語以降のコミュニケーションが、更に重要になってきます。言葉によるコミュニケーション、そして、「非言語的コミュニケーション」の二つが当然考えられますが、3才から4才以降、人間のコミュニケーションがどんどん高度で、複雑で、繊細なものになっていきます。

 この時期のコミュニケーションの発達のつまづきや遅れなどが「幼児期の子どもさんの発達の遅れ」の重要な位置を占めています。つまり、「発達療育」の対象となる子どもさんたちです。こういう子どもさんたちが、医学的に見ると「自閉症」と診断される可能性が高いということです。

 それに対して、「発達療育」では、「障害以外」から、つまり「発達に必要な生活体験が不十分だったのではないか」という視点から、原因を考え、それに応じて、不十分と考えられる生活経験を積み重ねることによって、発達の遅れや問題行動を改善していこうとしているということです。

 「発達療育」では、今回の「伝え合う」は非常に重要なキーワードなのです。

 以上です。

 

 

 

 

 

 

2021/03/01(月) 14:17 | izawa

 療育教室 楽しい広場の「発達療育」では、、幼児期の子どもさんが発語をするために必要な発達を4つ考えています。前回、前々回に続き3回目の今回は「言葉を聞く」です。

 乳幼児は、誕生してからいろいろな音や言葉を聞いていきます。「言葉を話す」ということは、生活の中で聞いた言葉を記憶し、思い出し、その聞いた言葉と同じように発音するということです。つまり、言葉を聞いていなければ言葉は出てこないということです。

 しかし、ただ聞いていれば言葉が出るかというと、そうではありません。出てくる言葉が「意味ある言葉」でなければなりません。「バナナ」を見て、「ねこ」と言うと、意味ある言葉にはなりません。

 子どもさんたちは、発語までにいろいろな言葉を聞いているはずですが、その言葉と対象の物が正しく結びついていなければ、言葉を覚えたことにはなりません。

 

言葉を学習するとは?

 お母さんを基本とした大人とのかかわりの中で、適切なタイミングで、共通の関心対象のものと、大人が発した言葉が結びついたとき、新しい言葉が学習されます。

 例えば、これまで何度かお母さんと一緒に食べたことのある「バナナ」が、今またお母さんと一緒にいる状況で、共通の関心対象として目の前に出てきたとします。
 これまで何度か食べて「おいしいものだ」ということも分かっていて、さらに今、バナナが目の前に出てきた状況でお母さんが「バナナ」と言う言葉を発すると、これまで何度か聞いてきた経験もあり、この目の前にあるものが「バナナ」という名前であることを学習します。
 こういう子どもさんは、まだ発語がなくても、例えば、目の前に5~6枚の絵カードの中から「バナナはどれ?と聞かれると「バナナ」の絵カードを指さしたり、取ったりできるはずです。

 ここで大切なことは、大好きなお母さんと一緒にいる状況で、お母さんと共通の関心対象として「バナナ」が目の前に出てきて、それに言葉が発せられたので、その言葉が、「バナナ」という物と結びついて印象づけられ、学習して覚えていくということです。こういう場面で「バナナ」という言葉を学習すれば、バナナを見て「ねこ」とは覚えません。

 つまり、意味ある言葉として新しい言葉を学習するということは、特に発語前後の幼児期の子どもさんにとって、お母さんを中心とした周りの大人とのかかわりが必要条件になるということなのです。

 今回は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/02/28(日) 14:27 | izawa

 発語のための発達、2回目の今回は「離乳と食べる」です。

 赤ちゃんは、生まれてから4か月くらいまでは、母乳やミルクを飲んで育ちます。そして、5か月ころから、離乳食を始めます。

 さて、この「離乳」の目的は何でしょう?それは、二つあります。
(1)乳児の本能的な母乳やミルクを吸って飲み込む食べ方から、硬い食
  べ物を飲み込みやすくするために細かく「かみつぶして」食べるとい
  う、いわゆる「そしゃく能力」を赤ちゃんに身に付けさせる。
(2)離乳食を食べる経験を通して、母乳やミルク以外のいろいろな「
  に慣れさせる」。

〇最初は、ドロドロ状の食べ物を少しずつスプーンで与え、いろいろな味
 になじませるようにします。6か月くらいになったら、水分の少ないマ 
 ッシュ状の食べ物を与えます。
 
〇7か月から8か月くらいになると、スプーンから上手に食べることがで
 きるようになり、少しくらい粒がある食べ物でも「舌で押しつぶす」よ
 うに食べるようになります。そして、更に形のある食べ物を「舌と上あ
 ごで押しつぶして食べる」ようになります。
 
〇離乳の後期の9か月から11か月ころになると、「そしゃく」ができる
 ようになります。

  *「そしゃく」とは
     → 噛み砕かないと飲み込めないような硬い食べ物を奥歯(ま
       だ臼歯が生えていないので歯茎の奥)で、噛み砕いて食べ
       ることを言う。
     → 「そしゃく」の際の下あごの運動は、前後左右に回旋を伴
       った、あたかも「擂りこぎでごまを摺りつぶす」ような運
       動である。

 「そしゃく」によって、唇でスプーンから食べ物を口の中に取り込み、舌で奥歯の上に運んで、噛み砕いて飲む、という食事に関する口腔機能は完成します。

  *「口腔機能」とは、
     → 食べ物を口の中に取り込み、「そしゃく」をして飲み込み
       やすくするための、唇、舌、あご、のどの運動の共同作業

〇12か月を過ぎるとだいたい離乳は完了し、コップから上手に水を飲む
 ことができたり、大人とほぼ同じ食べ物が食べられるようになります。     

 

 さて、離乳が完了した頃になると、食べるための舌、唇、あご、のどの口腔機能がどんどん発達していきますが、その口腔機能は同時に発語にも生かされていきます。
 皆さん、一度五十音を発音してみてください。唇、舌、あご、のどが複雑に使われていることを実感されると思います。
 このようにして、食べることで発達した口腔機能ですが、この後、発語にも生かされてくるのです。「食べること」も、発語の発達に必要なのですね。

 今回は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/02/27(土) 12:21 | izawa

 今回から、療育教室 楽しい広場の「発達療育」において、考えている幼児の発語までに必要な4つの発達について、お話をしていきたいと思います。

 まず今回は「声を出す」です。

 発語までの基本的な流れを考えてみますと、
   「息を吐く」
     ↓
   「声を出す」
     ↓
   「喃語(なんご)~言葉らしき音」
     ↓
   「発語~意味と結びついた音」

 まず、人間として誕生して赤ちゃんは肺で呼吸をし始めます。つまり息を吸ったり吐いたりします。でも、それだけでは声にはなりません。では、どのようにして「声を出す」か。
 そうですね、「泣く」のです。本人はもちろん、周りの大人も別に意識してさせているわけではありません。おなかがすいたり、むずがったりしたときに自然と泣きます。そこで、「声を出す」ことを学んでいくのですね。「泣くのは赤ちゃんの仕事だ」とは、まさしくその通りなのですね。お母さんを始め、周りの大人とのコミュニケーションの第一歩、そして発語に向けての第一歩なのです。

 座位が取れて、その後、歩きはじめる頃になると、お母さんや周りの大人の人たちとかかわる活動の場面や範囲、量も広がり、発する声も種類が増えてきます。「アー」「ウー」「ブー」「キャッ」など、周りの大人と楽しくかかわる中で、自然とたくさん声を出していきます。それが、言葉につながっていくのですね。

 よく、お母さんがお子さんと一緒に遊んだり手遊びをしたり、絵本やアニメを見たりしている中で、「ワンワン(犬)」「ブーブー(車あるいは豚さん)」「モー(牛)」「ニャオ(猫)」「ふー(息をふく)」「えーん(泣く)」などの音や動物の鳴き声などを言います。これは言葉の「音を聞く」ということ、そして、言葉の音を物の名前や動作の名前などと結び付けていく、という面で、とても良い経験です。この経験の積み重ねの中で、お子さんが声を出しているうちに「喃語(なんご)」、つまり言葉らしき音になっていくと考えられます。

 こう考えていくと、「声を出す」ということは、お母さんを中心とした大人とかかわっていくことにより、できてくるのだと分かります。

 今回は以上です。

 

 

 

 

2021/02/26(金) 13:05 | izawa

 前回までは6回、「認知心理学から見た自閉症」について説明をいたしました。今回からは、療育教室 楽しい広場に来られる子どもさんの発達の不安で一番多い「発語の遅れ」の原因と改善の方法について、説明をしていきたいと思います。

 発語の遅れとは、2才、3才、4才になっても発語がない、あるいは10個程度のわずかしかない、という場合を想定しています。

 我々「発達療育」では、幼児期の子どもさんが言葉を出すための発達的構造とその流れを次のように想定しています。

 

  =発語に必要と考えられる発達的構造と流れ=

★基本的に母親を中心とした大人とのかかわりの中で、特に次の4つ発達を積み重ねていくことが必要と考えます。

          ↓

★発語に必要な4つの発達

1 声を出す
2 食べる
3 言葉を聞く
4 伝え合う

          ↓

★そしてこれらの発達が互いに結びつきながら積み重なることにより、喃語や言葉らしき音を発する。

          ↓

★相手に「伝えよう」として、それまでの伝達手段であった声・操作・表情・視線などの他に

          ↓

      場に応じた言葉を発する

(具体例)
  ママ、パパ、アンパン、ブーブー(車)ワンワン、やだあ、はい
  もも、あお、あか、あけて、アイス、バイバイなど。

 

 次回から、「発語に必要な4つの発達」について考えていきたいと思います。