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izawaさんのブログ

2019/04/20(土) 18:14 | izawa

 今回は、「すぐに手が出る」です。アセスメントチェックシートのチェック項目は次の通りです。

【すぐに手が出る】
(支援有)
 ・突然友達をたたく、ける、髪を引っ張るなどし、行動が早く予測しに
  くい。
(支援無)
 ・友だちに対し乱暴な行動をとる様子は見られない。

 

 まず、何も理由がわからなく、すぐに手や足が出るとしたら、これは教師が一人ついて行動するしかありません。私は、以前知的障害の養護学校に25年間勤務していましたが、中学生で2人そういう子どもさんがいました。

 幼児期の子どもさんで、友だちに対して手や足が出るというのは、ほとんどの場合、自分の思うとおりにならない場合と考えられます。原因は、「自分を抑える』ということが身についていない、ということです。

 子どもは、3才から4才にかけて、「自分で自分の行動をコントロールする力」である「自律性」が急速に伸長してきます。「自律性」というのは、ただ我慢するのではなく、場面や状況に応じて、自己主張をしたり自己抑制をしたり、バランスがとれている、ということです。
 3才以上の子どもさんであれば、この自律性が身についていないと思います。こういうときは、お母さんに「家庭で我慢ができているか?」を聞いてみます。駄々をこねたとき、お母さんやお父さんが根負けして最後は子どもさん要求を通してしまっているのではないかと思います。

 そういう場合は、まず日常生活の中で「ちょっと待つ」とか「ちょっと我慢する」という、「自分を抑える経験」を積み重ねることが必要です。

  そして更に、駄々をこねたり、かんしゃくが激しい場合は、子どもさんとのバトルに勝つことです。駄々をこねたり、かんしゃくの時、怒ったり、怒鳴ったり、手を上げたりするのではなく、「平然」としていてください。もちろん、「平然を装う」ということです。「ダメなものはダメ」「できないものはできません」ということです。無視ではありません。ですから、エネルギーを必要とします。
 目的は、子どもさんに「諦めさせる」ということです。諦めがついたら、子どもさんはガラッと変わります。これまでの楽しい広場に来られた子どもさんもたくさん変わりました。今まで、あとでお母さんから連絡をいただいた中で、お母さんと子どもさんのバトルで、一番短かったのが3分、一番長かったのは2時間半でした。

 それから、2才代の子どもさんであれば、場面に応じた自律性というのはまだ早いと思われます。そういう場合は、やはり、日常生活の中で「ちょっと待つ」「ちょっと我慢する」などの「自分を抑える」経験が足りないと思われますので、それを積み重ねていくことが必要と思われます。

 

 

 

 

 

 

 

2019/04/19(金) 17:03 | izawa

 この「障害以外の原因を考える」シリーズは、札幌市幼児教育センター作成「アセスメントチェックシート」の平成30年度改訂版から、一部チェック項目を取り出しながら、発達の不安の原因のうち、障害以外の原因を考え、さらにその発達を伸ばすための方法を明らかにしていくものです。

 さて、今回の「目についた物に反応してしまう」です。実際のチェック項目を見てみましょう。

【目についた物に反応してしまう】
(支援有)
 ・興味が移りやすく目に入った物の方に行ってしまう。
 ・気になる物があると遊びや活動をやめてしまうが、教師の言葉がけで
  今していたことに戻ることができる。
(支援無)
 ・目についた物にすぐ反応してしまうことはない。

 

 「ADHD」(注意欠陥・多動性障害)という発達障害があるとされています。それには3つの特徴があるとされます。
 ①多動性  ②注意の転導性  ③衝動性

 このうち、②注意の転導性は、次のように説明されています。

「気が散りやすく、興味がもてない授業だとまったく集中できなかったりします。忘れ物も多いのですが、これは不注意のためと思われます。ただその反面で、自分が好きなことにはものすごい集中を示すことがあります。何かを製作するときや受験などで、それこそ「寝食を忘れて取り組む」子どもたちもいます。このような極端な姿から、注意の範囲の狭いことや、注意を適度に保てないところに問題があるともされています。」
  (月刊 発達教育より  湯汲 英史氏(発達教会)言語聴覚士)

 

 今回の「目についた物に反応してしまう」という内容は、上記の特徴の中の「注意を適度に保てない」というものに該当すると考えます。

 それでは、幼児期の子どもさんで、「目についた物に反応してしまう」子どもさんがいた場合、障害以外の原因は何が考えられるでしょうか?

 それは、(1)「目と目が合わない」の時の原因と同じで、「物をよく見る」こと、つまり「注視」「追視」が十分にできていない、そして、基本的にお母さんのかかわりの中で身につく、「相手を見て、人の話を聞く」というコミュニケーションの基本ができていないと考えられます。

 「物をよく見る」、そして「相手を見て。人の話を聞く」というコミュニケーションの基本を身につけるには、「目と目が合わない」のところで詳しく述べているように、物を使って大人と一対一で遊び、その時間を伸ばしていくというものです。(詳しくは「目と目が合わない」のブログを参照ください。)楽しい広場のことば伸び伸び教室では、伊澤との一対一の遊び、かかわりの時、当初はあっという間にいなくなる子どもさんたちが、だんだんかかわる時間が長くなり、最後は30分、40分と続く子どもさんが数えきれないほどたくさんいました。それは、障害ではないという証ですね。

 今までの療育教室 楽しい広場の実践から、「目についた物に反応してしまう」幼児期の子どもさんでも、適度な大人の働きかけで、しっかり発達し成長した子どもさんがたくさんいる、ということを、たくさんの皆さんに知っていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/04/19(金) 13:45 | izawa

【「あげる」と「もらう」を混同する】

(支援有)
 ・「行く」「来る」「あげる」「もらう」などの相手に立った言葉がう
  まく使えない。
(支援無)
 ・「あげる」と「もらう」の違いが理解できる。

 

 この内容は、札幌市幼児教育センターの「アセスメントチェックシート」に実際載っているいるものですが、なぜこの内容をわざわざ発達の遅れを把握するために入れたのかが、よくわかりません。強いて言えば、「相手に立った言葉」ということでしょうか。

 子どもは、個人差はありますが、2才くらいから話だし、2語文、3語文、そしてだんだん言葉を使った複雑な会話をしていきます。発語の時期はいろいろですが、ことばの発達の流れは同じです。
 その中で、「行く」と「来る」、「あげる」と「もらう」を間違って使うことは、昔からあったでしょう。でも、使い方を大人に直してもらううちに、正しく使えるようになるでしょう。ただ単に、ことばを間違って覚えてしまったということです。直すには、間違ったときにその都度大人に直してもらい、正しく使う経験を重ねていくことです。これは、普通のことです。いくら直しても直らないというのは、これら以外にも、いろいろな間違いや遅れがあると思います。つまり、認知と言葉の発達全体に遅れがあると考えられるでしょう。

 「あげる」「もらう」、「行く」「来る」の使い方が間違っているだけで、「障害か?」と悩む必要はないということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/04/19(金) 11:30 | izawa

 「スケジュールの変更を嫌がる」について、まず、アセスメントチェックシートのチェックの段階を見てみましょう。

【スケジュールの変更を嫌がる】
(支援有)
 ・予定変更などに対する緊張感や不安が強く、個別にかかわって参加を
  支えることが必要である。
 ・予定の変更を受け入れるまで時間を要し、教師がそばについて個別に
  対応することが必要である。
(支援無)
 ・初めての行動に期待をもって参加する。

 「スケジュールの変更を嫌がる」も、前回の「初めての活動や行動が苦手」と同様、大人でも当然あり得ることです。大人の場合、生活経験がそれなりにあるにもかかわらず、上記の「支援有」の状態であれば、障害や病気を疑ってもおかしくありません。それは、通常よりも強い緊張感、不安感をもっていること、それから、こだわりが強すぎるのではないか、ということです。

 ところが、これをそのまま幼児に当てはめると、その子どもさんの状態を把握し、判断する場合、大変な間違いを起こす可能性が大きくなります。まだ、生活経験の少ない幼児期の子どもさんで、初めての活動や予定変更に期待をもつ子どもさんもいるでしょうが、逆に緊張や不安をもったり、嫌がる子どもさんがいてもおかしくありません。子どもは好奇心をもってどんどんいろいろなものに取り組んでいきますが、経験が少ない分、緊張や不安もあります。前回もお話ししましたが、子どもさんによっては緊張や不安が強い子どもさんもいます。

 では、そういう子どもさんが障害かというとそうではありませんね。なぜか。強い緊張感や不安感は、これから生活経験を重ねていくことで、いろいろなことを学習し、日常生活に支障がなくなっていきます。その時の配慮として必要なのが「安心感」です。それは、先生が個別に対応してあげることかもしれませんし、時間をゆっくりとってあげることかもしれません。そういう安心感の中での経験、学習が子どもさんを成長させ、スケジュールに変更があっても、問題なく過ごせるようになるということです。

 大人と子どもの大きな違いが、「経験し、学習する」ということです。発達が成熟している大人と違って、子どもは、発達が成熟途上なのです。つまり、子どもさんに個人差で遅れがあったとしても、「経験し、学習する」ことで発達し、成長していきます。

 今回の「スケジュールの変更を嫌がる」子どもさんがいた場合、「安心感」をもたせながら、そういう場面での経験をさせること、そして、日常の生活の中での遊びや活動の経験の中で、体を動かして遊び、考える力を伸ばし、コミュニケーション能力を伸ばすなどの全体的な発達を伸ばすことによって、「スケジュールの変更を嫌がる」ことも少なくなるでしょう。

 今、子どもさんが「スケジュールの変更」を支援が必要なほど嫌がったとしても、それが即「障害」に結びつくことではないこと、子どもはこれからまだまだ成長段階であること、子どもに「安心感」をもたせて経験させること、そして日常生活の中での全体的な発達の向上が、「スケジュールの変更を嫌がる」ことへの解消につながっていくのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/04/18(木) 13:50 | izawa

 2回目は「初めての活動や行動が苦手」です。

 今回の「障害以外の原因を考える」のシリーズで使わせていただいている,札幌市幼児教育センターの平成30年度改訂版の「アセスメントチェックシート」のうち、使わせてただく項目は、前回の「目と目が合わない」を含めて10項目です。それは、すべて「アセスセメントチェックシート」の5つの領域に中の「その他(配慮事項)」のものです。それはなぜかと言いますと、それらは、以前から、つまり、今の自閉症スペクトラムが自閉症と言っていたときから、自閉症を疑う時の要素と考えられる内容なのです。たぶん、発達相談などで同じようなことを聞かれた方々もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 今回の「障害以外の原因を考える」シリーズの大きな意味は、お子さんの発達に不安をおもちのお父さん、お母さん、特にお母さんに対して、その発達の不安が、いろいろなところから聞こえてくる「障害」以外に、原因がたくさんあること、そしてその発達を伸ばしていく方法を知っていただくことです。もちろん、幼稚園や保育園の先生、児童発達支援事業所の職員の方々にも、ぜひ知っていただきたいと思っています。

 

 さて、本日の項目の「初めての活動や行動が苦手」についてです。チェックシートでは、次のようなチェック項目になっています。

(支援有)
 ・初めての活動や行動などに対する、緊張感や不安が強く、個別にかか
  わって参加を支えることが必要である。
 ・初めてのことに慣れるまで時間を要し、教師がぞばについて個別に対
  応することが必要である。
 ・事前に知らせる、経験させるなどの機会をもつと、教師とともに参加
  する。
(支援無)
 ・初めての活動や行動に期待をもって参加する。

 本来、大人を含めて「初めての活動や行動が苦手、緊張する」という人がいても全然不思議ではありません。それがあっても何もおかしくありません。むしろ、初めての活動や行動に「期待をもって」参加するほうが少ないでしょう。

 ではなぜ、自閉症スペクトラムを含めた発達障害を疑う項目に、この「初めての活動や行動が苦手」が入ったのかと言いますと、チェック項目にあります「緊張」と「不安」です。
 子どもさんの中に、人に対してとても緊張する子どもさん、それから人見知りが強い子どもさんがいます。そういうお子さんは、発達相談や病院での診察で自閉症スペクトラムを疑われたり、診断を受けたりします。
 それはなぜかと言いますと、対人関係、対人相互のやり取りができていない、人とかかわることがうまくできない、と考えているようです。

 さて、これまで、療育教室 楽しい広場の個別療育相談にもそのような子どもさんが来られました。人見知りや緊張感が強いということは、相手を人を強く意識しすぎている、ということです。自閉症、あるいは自閉症スペクトラムというのは、人に関心がない、人との距離感がわからない、人の気持ちを感じ取ることが苦手である、などというものです。つまり、人見知りや緊張感があるというのは、自閉症スペクトラムの対極にあるということです。表面の行動だけをみて、その内面を見ていないということだと思います。

 楽しい広場に来られたお子さんで、一人はとても人見知りの強い小学生低学年の男のお子さんが来られました。最初の30分くらいは、お母さんと私が話をしている間、背中を向けて一人で遊んでいましたが、次第に慣れてきてからは、普通に伊澤と一対一で一緒に遊びました。お母さんと私のやり取りを見て、聞いて、不安がなくなり、安心したのでしょう。
 もう一人は、とても緊張感が強い保育園の年少の女のお子さんで、初めての人はもちろん、保育園でも緊張感が強く、先生やお友だちと話したり遊ぶことがほとんどなく、朝、保育園に来て先生とあいさつをすることもなかなかできないとのことでした。保育園では、朝、先生が本人があいさつをするまで待つ、という対応をされていたようで、本人は一層緊張していたとのことでした。この時、お父さん、お母さんにお話ししたことは、生活の中で本人が安心することが、一番大切であるということです。本人が緊張しているようであれば、時間をかけてでも安心感をもつようにしてあげる、ということです。保育園での本人があいさつするまで先生が待つというのは、本人が緊張を増すだけなので、少し待って挨拶ができないようであれば、先生の方からあいさつをして、本人に言わせるようにしてあげて、言えなくても待ったり責めたりしないというように保育園の先生に対応をお願いしてはどうかとお話ししました。
 一見過保護のようにも見えがちですが、経験を積み、学習することにより子どもは変わっていきます。このお子さんは、その後小学校の通常学級に入学し、元気に過ごしていますと、お父さんお母さんから連絡をいただきました。

 

 本日の結論は、お子さんが緊張や不安が強ければ、まず安心感をもたせるということ。それに対して過保護である、甘い、というご意見もあるかもしれませんが、安心感の中で経験を積み、学習を重ねていけば、強い緊張感や不安感も取れていきます。小さいお子さんに障害と決めつけるのではなく、その不安を解消する働きかけをきちんとしてあげること、それが、子どもさんの成長を信じるということではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/04/18(木) 12:01 | izawa

 4月から、代表の伊澤が専任に戻りましたので、個別療育相談やことば伸び伸び教室を行う、療育教室の回数が増えています。

 4月は、23日(火),28日(日),29(月:祝日)の3回、

 5月は、3日(金:祝日)、4日(土:祝日)、6日(月:祝日)
     14日(火)、22日(水)、25日(土)の6回です。

 詳しくは、個別療育相談やことば伸び伸び教室のコーナーをご覧ください。子どもさんの発達に不安をおもちのお父さん、おかあさん、ぜひ一度いらしてみてください。

 

 

2019/04/18(木) 11:47 | izawa

 前回の続きです。

 「障害」以外で「目と目が合わない」場合、だいたい2才~4才くらいの子どもさんだと思いますが、何が原因かと言えば、前回お話しした通り、「物をよく見る」こと、つまり「注視」そして「追視」が十分にできていない、そして、基本的にお母さんとのかかわりの中で身につく、「相手を見て、人の話を聞く」というコミュニケーションの基本ができていないのではないか、ということです。

 この両方とも、基本的に小さいうちにお母さんとのかかわりを中心に発達してくるものです。ですから、本人の発達がまだ幼いとか、一人遊びが多かったとか、ほかに何らかに理由でお母さんとのかかわりが極端に少なかった場合などに、起こり得ることです。

 

3 働きかけの方法

 では、「目と目を合わせる」ようにするためにはどうしたらよいでしょう。
 こういう場合は、お母さんを基本に、大人との一対一のかかわりを多くしていきます。大人とは、お母さん、幼稚園や保育園の先生、それから楽しい広場のような指導教室の先生などが考えられます。そして、大人と基本的に「物を使って」一緒に遊びます。とっかかりは、そのお子さんの好きなものからで結構です。ミニチュアカーでも、積み木でも、水でもそこから一緒に遊んで、それを足掛かりにいろいろな遊びに誘っていきます。遊びとは具体的には、積み木、パズル、クレヨンや鉛筆を使ってのお絵かき、粘土、絵本の読み聞かせ、ボール遊び(ける、転がす、投げる)、シール遊び、手遊び、ビーズ遊び、折り紙、はさみなどです。それらで遊ぶうちに、10秒が20秒に、20秒が1分に、1分が5分に、5分が10分にと、一緒に遊ぶ時間が増えてきます。時間が増えるということは、物を見、相手を見、人の話を聞く時間が増えるということです。そうすると、自然と「目と目が合う」ようになってきます。そうであれば、「目と目が合わなかった」原因が、障害ではなく、発達上の経験の仕方が原因だったと分かるわけです。

 

 

 

 

 

 

2019/04/17(水) 18:48 | izawa

 療育教室 楽しい広場の役割は、子どもさんの発達の不安の「障害」以外の原因を明らかにし、その原因に応じた適切な働きかけの方法を提示することです。

 その前提は、「子どもの発達には、一定のすじみちがある」ということです。この前提を踏まえて、発達の遅れ、問題行動等、子どもさんの発達の不安の原因を明らかにし、適切な働きかけを行っていくというものです。

 今回から何回かにわたって、平成30年度の札幌市幼児教育センターが作成した「アセスメントチェックシート」(改訂版)と、その記入マニュアルから、一部を取り出して、それに沿って考えてみたいと思います。

 この「アセスメントチェックシート」は、保護者の教育相談や幼児教育センターによる幼稚園・認定こども園への訪問支援の際に使われるものです。生活習慣、認知・ことば、社会性、運動、その他(配慮事項)の5つの領域で50項目の「主な困り」についてチェックをするようになっています。

 今回のこのブログでは、「その他(配慮事項)」の領域に入っている「主な困り」から取り上げます。

 

 まず今回の項目は「目が合わない」です。
保護者の方や幼稚園の先生が記入する際に使う「記入マニュアル」には次のように説明されています。

【目が合わない】

(支援有)目と目が合わない
(支援無)目と目が合う

 

1 「目が合う」とはどういうことか?

 さて、もし自分が記入をしようと思ったらパッと疑問が浮かびます。
①今まで1回でも2回でも目と目が合ったことがあったら、「目と目が合
 う」でよいのか?

②以前は目と目が合っていたが、最近は「目と目が合ったことがない」場
 合はどうか。

③人によって目を合わせる人と目を合わせない人がいるが、その場合はど
 うか?

 実は今まで、たくさんのお母さんや先生とお話をして、このとらえ方が人によって違うことが多くありました。本来は、3つとも「目と目が合う」ことになります
 つまり、①は1回でも合っていたら、「目と目が合う」ですね。②はこれも以前合っていたけれど、今は合わせる暇がない、あるいは合わせたくない、ということですね。③は人によって合わせるのですから「目と目が合う」で良いですね。

 この「目と目が合う」という内容は、以前自閉症の診断をする上での重要なチェック項目でした。つまり、「目と目が合う」ということは、相手を意識し、関心を持っているということの一つの表れである、ということなのですね。現在、自閉症スペクトラムや広汎性発達障害と診断名は変わっても同じ意味をもっています。ただ、「目と目が合わない」ことが独り歩きしてしまうことが多くあります。「自分の子どもは、目と目が合わない、どうしよう。発達障害ではないか。」と心配する方も少なくないでしょう。しかし、もちろんこれだけで発達障害ではありません。

 

2 「目が合わない」原因

 この場合の、「障害」以外の大きな原因は、「物をよく見ているか」、つまり、じっと見る「注視」、目で物を追う「追視」ができているか、ということ、そしてお母さんとかかわる経験が極端に少ない場合、本来、お母さんとのかかわりの中で育つ、コミュニケーションの基本である「相手を見る」「人の話を聞く」という態度が身についていない、ということが考えられます。

 この原因を考える際にチェックする項目は次の事項です。
  ・ことばの理解はどのくらいあるか。(認知的発達)
  ・発語はどのくらいあるか。(認知的発達)
  ・同じ年令の子どもと比べて幼さはないか。(全体的な発達)
  ・視覚が強いと言われていないか。(同時性処理機能の強さ)
  ・記憶力が良いか。(同時性処理機能の強さ)
  ・感覚過敏はないか。(身体的特徴)
  ・理由は置いておいて、お母さんとかかわる時間が極端に少なくなか
   ったか。

 このチェックで、子どもさんの知的な発達段階を把握し、その上で、これまで「お母さんとのかかわりができていたか、少なくはなかったか」を確認していきます。
 言い換えると、知的な発達に大きな遅れがなく、お母さんとのかかわりが極端に少ない場合、「障害」ではなく、経験の少なさ、弱さ、偏りなどが原因で、「目と目が合わない」ことが考えられます。

  

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019/04/16(火) 12:09 | izawa

 前回のブログで、「物を見ること」の重要さをお話ししましたが、さらに続く重要なことが、「ことばに置き換える」ということです。人間にとって特筆すべきことは、「ことばを使う」ということです。

 ことばは、「象徴機能」と言われる、「あるものを別なもので表現する」という高度な機能の一つです。ほかにはイメージ(心像)もそうですね。人間は、ことばを用いることで、飛躍的な進歩を遂げます。現物がなくても、ことばで記憶し、ことばで理解し、ことばで話し、ことばで会話をすることで、高度な知的機能、コミュニケーションを使い、生活することができます。

 幼児は、いつ言葉に触れていくかと言いますと、お母さんとのかかわりを中心に、物をよく見て、そして見ながらいろいろな遊びをとおして手や体を機能させ、そこで、物を「ことばに置き換える」経験をたくさんするのですね。そして、「物には名前がある」ということを知っていきます。

 幼児期の「物をよく見て」「体を使って遊ぶ」ことは、ことばの発達、考える力(思考力)の発達、そして文字の獲得(読む、書く)にとって、重要なことなのです。これを、視知覚経験、あるいは視知覚学習と言います。そして、言葉やコミュニケーションに遅れがあるなどの、発達に不安がある子どもさんには、この「物をよく見て」「体を使って遊ぶ」経験を重ねることが重要なのです。

 療育教室 楽しい広場の個別療育相談やことば伸び伸び教室は、この考えの元に進めているのです。

 

 

 

 

 

2019/04/15(月) 17:26 | izawa

 療育教室 楽しい広場が推し進める「発達療育」には、3つの基盤があります。

 

1 発達療育の3つの前提
(1)発達には一定の流れがある。
(2)子どもに対する適切な働きかけとは、子どもの発達段階に応じた働
   きかけである。
(3)「ものをよく見る」ことが、ことばの発達、考える力(思考力)の
   発達、文字の獲得(読む、書く)につながる、重要な要素である。

 

2 ことば、考える力、文字の獲得への発達の過程(0才~6才くらい)
(1)ものをよく見る
     ↓   

(2)よく見て、動作をする。(遊ぶ)・・・いろいろな感覚の統合
     ↓
(3)ことばに置き換える
    ・ことばに置き換えて、記憶する
    ・ことばに置き換えて、理解する
    ・ことばに置き換えて、話す
     ↓
(4)考える
     ↓
(5)行動する(生活の中で)
     ↓
(6)文字の獲得(読む、書く)
   思考力の伸長(数や数量の操作を含む)

 

3 発達療育の基盤となる理論

(1)保育技術シリーズ(Ⅱ)
  「ことばを育てる」(1巻~6巻)
    柚木 馥、白崎 研司 他著・編
     1994年(3版)、コレール社
 *現在も出版されています。

(2)「新・子どもたちの言語獲得」
     小林 春美、佐々木 正人 編
      2008年、大修館書店

 この中での、小椋 たみ子先生の「言語と社会性の発達との関連」に関する論文を特に重要視しています。

 

以上です。