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izawaさんのブログ

2010/09/27(月) 15:49 | izawa

 9月12日(日)、旭川市ときわ市民センターにおきまして、第6回 旭川療育セミナーを開催いたしました。当日は、お孫さんが広汎性発達障害と診断されているご婦人の方と保育士の方、2名に参加いただきました。テーマは、「3才の発達の重要性」でしたが、参加者が2人ということもあり、お孫さんや保育園の子どもさん、とくに、広汎性発達障害と診断されたり、その可能性が疑われたりしたケースについて、詳しい検討をいたしました。お二人のケースは、問題行動や発達の遅れの原因が、感覚過敏であったり、家庭でのコミュニケーションの不足が原因と思われる「多動」であると考えられるものでした。広汎性発達障害を診断されたり、疑われる子どもさんが、実は一時的な発達の遅れである、というケースの事例研究となり、大いに有意義な時間でした。

2010/09/27(月) 12:35 | izawa

 9月5日(日)、札幌市社会福祉総合センターにおきまして、第5回 親子発達サークルを開催いたしました。当日は、幼児期感覚過敏があり、今は過敏は落ち着いてきていますが、人とのかかわりでトラブルになることがある、という小学校1年生の女のお子さんとお母さん、そしてお子さんが通っている子ども学習塾の担当の講師の方の3名に参加していただきました。

 女のお子さんは、最初少し緊張していましたが、パズルをしたり、歌を歌ったりしているうちに、楽しい広場の伊澤ともリラックスしてやりとりをしました。

 このお子さんの場合、感覚過敏によって、人とのコミュニケーションの発達に影響が出て、人とのかかわりが広がり、深まっていくための重要な要素である「共感性」の発達が遅れたのではないか、ということが考えられました。ただ、過敏が落ち着いてきて、少しずつ、人の気持ちや心を感じ取ることが多くなってきたと思われます。現在、対大人、あるいは1才ぐらい下の子どもさんたちとは、物を貸してあげたり、自分の気持ちを話したり、逆に相手に質問したりしながら楽しい雰囲気、和やかな雰囲気のなかでやり取りができるようになってきたと感じます。ただ、同じ年代の子どもたちとは、まだシビアなやり取りもあるようです。

 今後についてですが、発達障害ではないので、これから小集団から大集団、あるいはいろいろな年代の集団の中での活動を経験していくことにより、共感性の発達が十分に伸びていく、と考えられることをお母さんや担当の講師の方にお話ししました。

2010/09/25(土) 16:08 | izawa

 8月22日(日)、旭川市ときわ市民ホールにおいて、第5回 旭川療育セミナーを開催いたしました。当日は、保育士、親御さん、病院や施設などを訪問してパントマイムなどをされるパフォーマーの方々など、10名に参加いただきました。テーマは「自律性、社会性の発達」で、そのほかに、「医師の診断の変更の可能性について」及び、「広汎性発達障害に間違われやすいケースとしての触角過敏」について、講演をいたしました。 ここでは、自律性、社会性についての内容について、書き記します。

 

 子どもが人間として生きていくうえで、重要な「社会性」基盤になるのが、「自律性」の発達である。
 「自律性」とは、「自分で自分をコントロールして行動する能」、あるいは「自己主張と自己抑制(我慢)のバランスを上手に調整する能力」ということである。ここでは、この「自律性」の形成と慎重について、述べていきたい。

1 自律性の形成と伸長
  幼児期の自律性の発達の形成と伸長について、2つの時期に分けて考えていきたい。

(1)自律性の萌芽の時期(0歳~3才ころ)
①人への意識
 1才6カ月ころから、母親を中心とした養育者とのコミュニケーションを通じて、「心の理論」つまり、「他者の行動から意図(考えや心の状態)を推測する、あるいは想像する能力」が発達していく。
   → 自分と他者の違いの意識の明確化

②命令や禁止の「内在化」
 子どもは、6カ月ころにハイハイをしだすあたりから、活動の範囲が広がる。それに伴って、子どもは、危険な場所や状態の所へ行ったり、人に迷惑をかけるような場面が増えてくる。そういう時、親や養育者が言うべきことになる「ダメ」という命令や禁止が生じてくる。決して快いものではないが、それを繰り返していくうちに、子どもは親や養育者が言う、外からの命令や禁止を、意味は分からないが、「△△してはいけない」ということが分かり、受け入れいく。このことを命令や禁止の「内在化」という。

(2)自律性の形成と伸長の時期(3才~6才)
①心の理論つまり、「他者の行動から、意図(考えや心の状態)を推測する、想
  像する能力」の伸長。
    → 具体的には、「人を見て行動する」ことができるようになる。

②認知面の発達
    → 3才を過ぎてからは、言葉でのコミュニケーションが成立する「言葉の
      世界」に入り、物事の意味がだんだん分かってくる。

③自律性の伸長
    → 自分と他の人とのいろいろな面での違いを理解したうえで、自己主
      張・自己実現と、自己抑制のバランスを取りながら、自分の行動を
      コントロールすること、つまり「自律性」が急速に伸長してくるので
      ある。

④社会性へのつながり
    → 「自律性」が伸長し、その上で、いろいろな集団での活動を経験する
      ことにより、ルールや約束、順番を守る、人に対して嫌がることをしな
      い、などの社会性が身についていく。

 

2 自律性伸長のための方法
 もし、生活年令に応じた自律性が十分に発達していない場合、次のような方法が考えられる。
 幼稚園や保育園、あるいは家庭で、一日1回、子どもさんが我慢する(自己抑制)場面と、自分がやりたい(自己主張)の場面を意図的に設定し、それを毎日繰り返していくことにより、自己主張と自己抑制のバランスをとって、自分の行動をコントロールする力をつけていく、というものである。
 幼稚園や保育園の中での状況で具体的に考えていくと、たとえば、午前中自由遊びの後は、必ず後片付けをすることとし、午後、昼食後の時間、毎日1個ずつ、先生と一緒に大好きな折り紙で、作品を作る、等である。

 

3 社会性の発達
(1)幼児期の社会性とは
 幼児期における社会性とは、次のようなことが考えられる。
(集団で生活をしたり、活動をするときに)
  ・簡単な約束や順番を守る。
  ・大人の指示や声がけを聞いて行動する。
  ・人が嫌がること、人に対して危険なことをしない。

 社会性というのは、「人と一緒に行動するために必要な調整能力」と言える。幼児期の場合、ごっこ遊びなどが出てくる3才以降、少人数からたくさんの人数での活動が増えてきて、当然、そのころから「社会性」が発達してくると考えられる。

(2)社会性が発達していくうえでの重要な要素
①人とのコミュニケーションの発達
②自律性の発達
③集団での活動の経験
 子どもは、ごっこ遊びをするようになる3才ぐらいから以降、人数の多少はあるが、日常生活の中で「人と一緒に活動する」という意味での、「集団」での活動を経験していく。それは、家庭であったり、近所の公園であったり、保育園であったり、幼稚園であったり、子ども学習塾であったりする。
 子どもは基本的に、家庭を中心にコミュニケーション能力や自律性を伸長させていき、それを基盤に、いろいろな集団での生活を経験していく。幼児期の子どもにとって、今まで、自分を中心に動いていたのが、他のたくさんの子どもと一緒におやつを食べる、遊具で遊ぶ、絵本の読み聞かせを聞くなどという、集団での生活に沿って活動すること自体、「自分を緩やかに制御する」という経験をしていると考えられる。そして、かつ、その中で、他の子どもとのトラブルを経験することにより、約束や順番を守る、人が嫌がることや危険なことをしない、大人の指示や声がけを聞いて行動する等の社会性を、自覚的に身につけていくことになる、と考えられる。 

2010/09/10(金) 19:13 | izawa

 去る、8月2日(月)、函館市の渡島総合振興局保健環境部保健福祉室(渡島保健所)で行われました、「平成22年度 渡島支庁管内市町村保健師連絡協議会第1回研修会」の中で、1時間半の講演をさせていただきました。テーマは「子どもの認知的な発達の把握について」で、25名の方々に、熱心に聞いていただきました。

 内容は大きく分けると2つです。

1、1才半頃出現する「延滞模倣」が、子どもの認知的な発達の重要なポイントで
  ある。その中での、重要なキーワードが3つある。
(1)内面化
    目の前になくても、頭の中で思い浮かべる。
(2)象徴機能
    あるものを他のもので表現する。→ 代表的なのが「言葉」
(3)表象作用
    象徴機能を使い、実物を離れ、頭の中でいろいろ描いたり、筋道を立て
    たり、分類したり、関係を操作するようになる。→ これが、認知的発達の
    重要な機能であり、考えたり、判断したりすることにつながっていく。

2、幼児期(1才半~5・6才ころ)の認知的な発達段階の把握の方法
   

  さて、今回の研修会の、大きな目的の一つに、子どもの「5才児健診」への取り組みの検討、が含まれていたとのことでした。発達に不安のある子どもさんの療育に携わる者としては、「5才児健診」は、是非実施していただきたい、と願っております。3才児健診で、発達の不安や発達の遅れがあった場合、その後のフォローがなく、不安を抱えたまま、就学まで進んでしまうケースが数多くあるからです。ここで、講演でも話しましたが、4才~5才頃の認知的な発達の特徴を書き記します。

  

〈4才~5才児の認知的な発達の特徴〉

1 あそび
(1)遊びながら、独り言を言うことが見られなくなる。音声を出さなくても、頭の中
  の言語だけで考える。→ 内言の出現

(2)時間的な順序づけ(配列記憶)を必要とする創作活動。
  ①紙飛行機を折ったり、紙・のり・はさみで立体的なものを作る。
  ②日常、目に触れるいろいろな物、経験を絵に表そうとする。
    → 配列記憶を基礎とした、様々な経験。

(3)ルールのある集団遊び
    じゃんけんの勝ち負け、かくれんぼ、トランプのルールなどが分かる。
    → ルールの出現

2 言語理解力
(1)野菜、果物、動物などという、言葉の理解。→ 概念の拡大

(2)簡単な命令ならば、同時に言いつけても、覚えていられるようになる。
    → 4数詞の復唱

(3)「このりんごを、あの机の上に置いて」という、複雑な指示を理解して、実行
   できる。

(4)数、文字に対する興味の拡大

(5)反対言葉の理解

(6)意味の分からない言葉が出てくると、「どんなこと?」と質問する。

(7)しりとりゲーム、なぞなぞをする。

 

3 言語表現力
(1)一文を正しく言える。→ 文の復唱。

(2)構音発達がほぼ完全で、発音がほとんど間違わない。

(3)自由に会話ができる。

(4)頭の中で考えていることや、知ろうと思っていること、経験したことを話す。  

2010/09/09(木) 20:50 | izawa

9月の療育セミナーのご案内をいたします。なお、テーマは、札幌、旭川とも一緒です。

(テーマ)
   1 3才の発達の重要性~言葉の世界とごっこ遊び  

   2 幼児期の知能検査の落とし穴

 

*第6回旭川療育セミナー
(日時)平成22年9月12日(日)、13時30分~16時(13時~受付)

(会場)旭川市ときわ市民ホール(旭川市5条通4丁目)、
    304・305研修室(定員40名)(電話:0166-23-5577)

(費用)お一人2000円

(締め切り)平成22年9月11日(土)

 

*第5回札幌療育セミナー

(日時)平成22年9月23日(木:祝日)、13時30分~16時(13時~受付)

(会場)札幌市社会福祉総合センター(札幌市中央区大通西19丁目1-1)
    第2会議室(定員40名)  (電話:011-614-2948)

(費用)お一人2000円

(締め切り)平成22年9月22日(水)

 

  

2010/09/09(木) 11:39 | izawa

 感覚過敏と「共感性」の発達の関係について、一つの見解を紹介したいと思います。去る、8月8日(日)、札幌市豊平区にあります児童デイサービスセンター「悠悠クラブ」の開設5周年記念式典に参加させていただきました。その折、記念講演があり、作業療法士であり、東京で「療育塾ドリームタイム」を主宰されている、木村 順氏のお話を伺いました。
 木村氏は、「感覚統合」という考え方の立場に立つ方です。感覚統合の基本的な考え方というのは、「個体は、環境に起因する感覚刺激(動きや重力による刺激、筋肉や関節からの刺激、触覚による刺激など)を、脳で組織化し、一つのまとまりのある構造に組み立てていく。その一連のプロセスを感覚統合という。」というものです。
 さて、木村氏は講演の中で、「触覚防衛」の話をされました。これは、手を握られたり、体に触られたりするのを嫌がったり、砂や芝生の上を裸足で歩くのを嫌がったりするもので、これまで楽しい広場で取り上げてきました、「感覚過敏」と同じ内容のものです。ただ、感覚統合の方では、「触覚防衛」は単なる感覚の過敏ではない、という立場を取られているようですが、今回はとりあえず、「触覚防衛」を「感覚過敏」と同じ意味として、読んでいただきたいと思います。
 

 木村氏は、「触覚防衛」が中程度レベル以上であると、対人関係で重要な要素である、「共感性」や「愛着行動」の未発達、偏りが起こる、と指摘しています。

 

★乳幼児期における「共感性」と重要性

木村氏は、共感性を「○○を共有する心のはたらき」と位置づけた上で、次の4つの内容を挙げています。

(1)「表情やまなざし」を 共有する。
    → 笑顔を見せると微笑み返す。目と目が合う。 
(2)「動作・しぐさ」を 共有する。
    → 物まねの始まり。赤ちゃん芸。
(3)物(おもちゃ等)を 共有する。
    → 手渡すと受け取る。「ちょうだい」で差し出す。
(4)興味の対象を 共有する。
    → ジョイント・アテンション

*この共感性から、絶対見捨てられない、という、「安心感(アタッチメント)」が子どもに育つ。

 木村氏は、触覚防衛(感覚過敏)があることにより、「共感性」が育ちづらくなり、それが対人関係の未発達につながり、その結果、その子どもさんが、「自閉性」の強い子どもさんである、と誤解されていくことが多い、と指摘しています。

 

★感覚過敏の子どもさんが、どのように対人関係を発達させるか?

 大きく、次の3つの段階が考えられると思います。なお、ここの部分については、木村氏ではなく、楽しい広場に伊澤の考え方です。

(1)感覚過敏を落ち着かせる。
  → 日常生活の中で、落ち着いて刺激を受容する配慮が必要である。
(2)感覚過敏を落ち着かせることにより、「共感性」を伸ばす。
  → 母親、あるいは家族を中心に、コミュニケーションを豊富にしながら、楽  しいやりとり、安心したやりとりを多く経験していく。
(3)「共感性」を伸ばしつつ、対人関係を広げ、深めていく。
  → 幼稚園、保育園、学校、塾などで、大人ができるだけ配慮をした環境の中で、友だちと遊んだり、活動する。 

2010/09/07(火) 16:57 | izawa

 去る、8月1日(日)、札幌市社会福祉総合センターにおきまして、第4回親子発達サークルを開催いたしました。テーマは「子どもの感覚過敏と発達の遅れを考える」~広汎性発達障害にに間違われやすい、感覚過敏による発達の遅れ~でした。当日は、小さい特から感覚過敏があり、3才の時に広汎性発達障害と診断をされた現在5才(幼稚園年長組)の女のお子さんと、妹さん、そしてご両親、それから小さいときから感覚過敏があり、今はだいぶ落ち着いた小学校1年生の女のお子さんとご両親の7名の方に参加いただきました。

 今回は、感覚過敏とは何か、感覚過敏と広汎性発達障害、感覚過敏に対する対応等について、書き記します。

 なお、「感覚統合」の理論では「触覚防衛」という言葉を使います。感覚統合の考え方では、触覚防衛=感覚過敏ではない、という考え方をされているように、聞いておりますが、ここでは、私としては触覚防衛=感覚過敏として、「感覚過敏」という言葉を使っておりますので、ご理解下さい。

*なお、今回の感覚過敏の内容についての、参考文献は次の二つです。

○「自閉症と その関連症候群の子どもたち」:Johanna M.Anderson著、小越千代子訳、協同医書出版社、2004

○「子どもの発達と感覚統合」:A.Jean Ayres著、佐藤 剛監訳、協同医書出版社、1985 

 

1 感覚過敏とは?

(1)触覚過敏

 人に触られるのを極端に嫌がる。あるいは、人と握手や手をつなぐとき、手の汗ばむ感じが嫌で、握手や手をつなぐことを極端に嫌がる。指先にのりを付けるのを嫌がる。芝生や砂の上を裸足で歩くのを嫌がる。鬼ごっこをしていて、タッチされると「痛い」と叫ぶ。乳幼児期では、母親でも抱っこをされたり、手をつなぐことを嫌がる。一日中泣き叫ぶことが多い、など。

(2)聴覚過敏

①ある特定の高さの音を嫌がる。

  →例えば、赤ちゃんの泣き声、外を通るトラックの音などを極端に嫌がる。

②音の大きさを嫌がる。

  →工事の音が気になる。運動会の時のピストルの音や、花火・クラッカーなどの音を怖がる。

③不規則な音を嫌がる。

  →クラシックなど比較的規則正しい音楽、あるいはメトロノームなどのような規則正しい音が好きで、ロックなどの音楽を驚嘆に嫌がる。

④その他

  →乳幼児期、人に声をかけられると泣き叫ぶ。

 (3)臭覚過敏

 臭いに敏感である。水を飲むときに必ず臭いを嗅ぐ。食べ物の臭いを必ず嗅ぐ。特定の食べ物を極端に嫌がる。(例えば、煮干し、ネギ、えび、いかなど」幼児期に激しい偏食がある場合、口の中の触覚過敏とともに、この臭覚過敏の可能性が考えられる。また、幼稚園や保育園、学校等の給食で、いろいろな料理の臭いが混ざると、物が腐ったような臭いに感じて、給食が食べられない、ということもある。

 (4)視覚過敏

①暗いところを極端に怖がる。

②物がたくさんあるところで、気が散りやすい。

 

2 「感覚統合理論」における触覚防衛の定義と原因(「子どもの発達と感覚統合」、A.Jean Ayres著、佐藤 剛監訳:協同医書出版社、1985」より引用)

 (1)触覚防衛とは? 

 触覚刺激に対して、拒否的、感情的に反応する傾向を言い、その反応は、ある状態のもとのみで起こる。我々は、不意に手を触られたり、皮膚の上を虫がはったりするような、不快な触刺激には拒否反応を示す。触覚防衛を示す子どもにとって、触覚刺激が多くなると、このような不快な反応を引き起こす。他の人々がほとんど感じない触刺激にも、敏感に反応する。また、直接皮膚に触られるだけでなく、他人から触られるかもしれないという、恐れだけでも、触覚防衛反応を引き起こす。

(2)推定される触覚防衛の原因

 皮膚や身体にふれる衣服からの触刺激は、常時、私たちの神経系に入ってきている。しかし、これらの刺激のほとんどは抑制されてしまい、神経系が反応するのを防いでいる。これは、「抑制作用」と言われる、神経系の一部が、他の部分の過剰な反応を起こすのを防ぐ神経処理過程による、とされる。しかし、触覚防衛をもつ子は、この制御が不十分なため、子どもを不快にして、動き回らせてしまう。 

 

3 広汎性発達障害に間違われやすい感覚過敏

 よく、乳幼児期に、母親に抱っこされるのを嫌がったり、手をつなぐことを嫌がる子どもさんがいる場合、母親との関係性が希薄であり、広汎性発達障害、あるいは自閉症であると見られることがよくある。楽しい広場の療育相談では、乳幼児期から感覚過敏があり、その上、言葉の遅れや認知的な発達の遅れがあったが、3~4才頃からだんだん感覚過敏が落ち着き、それに反比例するように言葉が出るようになり、会話ができてくることにより、認知的発達が急速に上がって、生活年令に応じた発達段階になり、それとともに母親や他の人とのコミュニケーションが豊かになり、コミュニケーションがスムーズになった、という幼児期の子どもさんのケースが4件あり、そのうち2件は、広汎性発達障害の診断がついていた。やはり、そういう子どもさんが、広汎性発達障害に間違われないためにも、乳幼児期の感覚過敏のチェックは、とても重要である。

 

3 感覚過敏に対する対応

 基本的に、感覚過敏と言うことが 分かれば、日常生活の中で、できるだけ刺激を落ち着いて受容できるよう、工夫することが必要と考えられる。

 例えば、触覚過敏の幼児の場合、
(1)ぬいぐるみをなでる。
(2)暖かい物を手にもつ、あついは、着る。
(3)枕を膝に乗せて座る、あるいは枕を周囲において座る。
(4)毛布にくるまる。
など、柔らかい、緩やかな感触の刺激を受容させると言うこと、そして
(5)子どもの肩に手を置く。
(6)子どもの背中をリズミカルになでたり、軽くたたく。
(7)もし、子どもが受け入れるならば抱きしめる。
など、身体的、そして精神的な、人の柔らかく、暖かい感触の刺激を受容させることによって、日常生活の中で、落ち着いた刺激の受容を積み重ねていくことができる、と考えられる。

 臭覚過敏や聴覚過敏の場合は、できるだけ激しい臭いや音の刺激を避ける、という配慮が必要と考えられる。幼児の場合、その他に、口腔の感覚過敏ということも考えられる。固めの食べ物、あるいは刺激の強い味の食べ物を口から出してしまうような場合、単なる好き嫌いではなく、口腔内の感覚過敏の可能性も考えられる。
 その場合の対応としては、刺激の少ないものを食べさせる、ということの他に、ストローを使って飲み物を飲んだり、シャボン玉を吹くなどして、口の中に圧力の強弱による刺激の反応を経験したり、バンゲード法などの方法で、指を使い、口の中のほおの裏側の表面や歯茎を押して刺激をし、過敏を取っていく、ということが考えられる。

 感覚過敏は、人によってその程度は違う。日常の生活に大きく支障が出る場合もあれば、生活にそれほど支障が出ない場合もある。また、中学生、高校生になっても感覚過敏が残る場合もあれば、3~4才ころに過敏が落ち着いて、日常生活にほとんど支障が出なくなる場合もある。前述したように、幼児期に感覚過敏があり、それとともに言葉や認知的な発達が遅れたため、広汎性発達障害や精神遅滞と診断された子どもさんが、3~4才ころからから過敏が落ち着き、言葉が出始めるとともに、急速に言葉や認知面が発達し、それにつれて人とのかかわりも落ち着いてきて、だいたい就学する頃(5~6才)には、知的な発達や人との関係性の発達が、生活年令に応じた発達になった、という子どもさんが、楽しい広場の療育相談に、何人も来られた。幼児期の感覚過敏のチェックと適切な対応は、やはり、とても重要である。

2010/08/27(金) 18:10 | izawa

7月25日(日)、札幌市社会福祉総合センターにおきまして、第4回札幌療育セミナーを開催いたしました。当日は、幼稚園教諭、保育士、子ども塾講師、親御さんなど、8名の方々に参加いただきました。内容は、次の二つです。

(1)子どものコミュニケーションの発達

(2)広汎性発達障害と診断された子どもの成長と、その後の医師の診断について

(1)については、7月11日(日)に行われた、第4回旭川療育セミナーと同様の内容でした。(2)については、7月4日(日)に行われた、第3回親子発達サークルと同様の内容でした。詳しくは、それぞれの報告の方をお読み下さい。

 

★医師による広汎性発達障害の診断の取り消しの可能性について

今回の札幌療育セミナーの折、参加された、ある子ども塾の講師の方から伺ったことですが、その講師の方が担当されている子どもさんで、広汎性発達障害の診断が出ている子どもさんがいるのですが、最近のその子どもさんの成長を見て、診断を出された、札幌でも有名なその医師が、その子どもさんのお母さんに、「診断を取り消してもいいかもしれない。」と、言われたそうです。これがもし本当であれば、朗報ですね。2才や3才ころ、広汎性発達障害、あるいは自閉症などと診断された子どもさんが、その後成長して、どう見ても発達障害と思われないケースの場合、医師にきちんと診断を取り消す、あるいは変更していただけると、その後の子どもさんの進路、特に就学の時に適切な判断がなされると思います。

2010/08/25(水) 17:58 | izawa

8月29日(土)、午後1時30分から、札幌市社会福祉総合センター(札幌市中央区大通西19丁目1-1)第3会議室で、第5回札幌療育セミナーを開催いたします。内容は次のとおりです。

1 「子どもの発達を考える(4)、自律性、社会性の発達」

 -3才頃から、自分で自分をコントロールする能力が発達します。-

2 「広汎性発達障害に間違われやすいケース~触覚過敏」

 -なぜ、触覚過敏が広汎性発達障害に間違われやすいのか?-

 

費用はお一人2000円。締め切りは8月28日(土)です。参加ご希望の方は、療育教室 楽しい広場まで、ご連絡下さい。

(電話・FAX) 011-811-1757

(メールアドレス)   mail@tanoshi-ryouiku.com

2010/08/04(水) 10:30 | izawa

 7月18日(日)、今年度、第1回釧路療育セミナーを、釧路市生涯学習センター「まなぼっと」で開催いたしました。テーマは「多動やパニックなどの子どもの問題行動の原因は、広汎性発達障害だけではない。」で、2名の保育士の方々に参加いただきました。今回参加された保育士の方々は、市内と管内の保育園にそれぞれ勤務され、昨年度も何度もセミナーに参加された方々で、今回は人数は少なかったtのですが、じっくり協議をすることができました。

 今回は、札幌での第2回親子発達サークルで最初に話をし、その後札幌や旭川の療育セミナーでも話をいたしました、「子どもは皆、いろいろな条件の影響を受けながら発達し、成長していく。」、言い換えると「これらの条件において、何らかのマイナスの影響を受けた時に、子どもの発達の遅れや、問題行動が生じてくる可能性が考えられる。」ということについて、伊澤が説明をし、お二人の保育士の方々の現場に当てはめて、実際のケースについて協議をいたしました。

 ここで強調したのは、確かに子どもさんにパニックや多動などの問題行動や言葉や集団での行動に発達の遅れがあったとしても、その原因は、広汎性発達障害という「発達障害」という医学的な原因だけではなく、実はそれよりももっといろいろな原因が考えられるということです。そして具体的に考えられるものを実際に説明いたしました。詳しくは、このブログの「第2回親子発達サークル」を参照ください。

 そして、もう一つお二人の保育士の方々と協議したのは、発達に不安のある子どもたちの小学校就学時におけるトラブルの事例についてでした。今年度2件、就学した後のトラブルについて相談を受けました。2件とも、子どもさんは、大人との一対一のやりとりは十分できる、しかし、20人、30人という多い人数の中で、先生の指示を聞いてみんなと一緒に行動する、ということがまだ十分にできていなかった、という実態です。そして、そのような子どもさんが、幼稚園の時と同じような感覚で、例えば教室から勝手に出てフリースペースやトイレに行ったり、集団行動しているときに、教師の指示を聞かず、整列したり座っているところから勝手に離れてしまうなどを繰り返すと、学級の他の子どもたちに影響すると言うことで、要注意の子どもになってしまいました。そして、2件とも、特別支援学級への転入の可能性が話題になりました。もちろん、2人とも、知的にも、人との関係性の発達の面からも、特別支援学級の対象の子どもさんではありません。にもかかわらず、このようなトラブルが出てくるのが、現在の大きな問題点です。

 就学時のトラブルについては、改めてじっくり述べていきたいと思います。

 釧路では、10月に2回目の療育セミナーを行う予定です。