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izawaさんのブログ

2010/03/31(水) 20:57 | izawa

 平成22年度(2010年度)の札幌療育セミナーの年間の実施計画が出来上がりましたので、お知らせいたします。なお、療育セミナーの案内コーナーでもその都度お知らせいたしますので、ご確認ください。

 

1 年間のテーマ

 広汎性発達障害だけではない、子どもの発達の遅れや問題行動の多様な原因と、その改善の方法を研究する。

 

2 目的

 発達に遅れがあったり、問題行動をもつなどの発達に不安をもつ子どもさんに対し、個々の子どもさんの発達の実態を正確に把握した上で、その発達の実態に応じた適切な働きかけをすることにより、発達を促し、問題行動を改善していく、という「発達的視点に立った療育」についての理論、内容、方法論を研究し、それを子どもを育てるそれぞれの実践の場に生かしていただくことを目的とする。

 

3 療育セミナーの内容

 療育教室 楽しい広場代表 伊澤崇弥による講演。

 

4 対象

 保育士、幼稚園教諭、塾講師、学校教諭、関係療育機関職員、親御さんなど。

 

5 会場と時間

 札幌市社会福祉総合センター(札幌市中央区大通西19丁目1-1)

 TEL  011-614-2948

(時間)いずれも、13時30分~16時(13時~受付)

 

6 費用

 お一人2000円(資料あり)

 

7 実施回数

 毎月1回、年間12回を予定。

 

8 療育セミナーの年間の実施予定

《第1回》   4月25日(日)

  (テーマ)子どもの発達から見た、問題行動の原因と広汎性発達障害

    ー広汎性発達障害だけが問題行動の原因ではありません。ー

《第2回》   5月9日(日)

  (テーマ)子どもの発達を考える(1)  認知の発達

    ー子どもの発達には、認知の発達がとても重要です。ー

《第3回》   6月27日(日)

  (テーマ)子どもの発達を考える(2)  言葉の発達

    ー言葉の遅れは、発語の遅れー

《第4回》   7月25日(日)

  (テーマ)子どもの発達を考える(3)  コミュニケーションの発達

    ーキーワードは「人を見て行動してますか?」ー

《第5回》   8月29日(日)

  (テーマ)子どもの発達を考える(4)  自律性、社会性の発達

  ー3才頃から、自分で自分をコントロールして行動する能力が発達します。ー

《第6回》   9月23日(木:祝日)

  (テーマ)子どもの発達を考える(5)  3才の発達の重要性

    ー言葉の世界とごっこ遊びー

《第7回》  10月31日(日)

  (テーマ)子どもの発達の大きな遅れとその療育の基本

  ー知的な発達の遅れ、広汎性発達障害、学習障害、ADHDー

《第8回》  11月21日(日)

  (テーマ)子どもの問題行動を考える(1)

    ー多動の原因と改善の方法ー

《第9回》  12月19日(日)

  (テーマ)子どもの問題行動を考える(2)

    ーパニック、他傷の原因と改善の方法ー

 

平成23年(2011年)

 《第10回》  1月30日(日)

  (テーマ)子どもの問題行動を考える(3)

    ー感覚過敏と発達の遅れー

《第11回》   2月27日(日)

  (テーマ)子どもの問題行動を考える(4)

    ー言葉の遅れの原因ー

《第12回》   3月20日(日)

  (テーマ)子どもの問題行動を考える(5)

    ー退行や、チックなどの神経症的行動の原因と改善の方法ー  
 

 

  

2010/03/31(水) 07:50 | izawa

 前回、前々回のブログで子どもの問題行動の原因と考えられるもののうち、知的な発達の遅れと、広汎性発達障害を取り上げました。今回は、3回目として「医学的な疾患」「身体感覚の反応の大きな偏り」「不適応行動」の3つを取り上げます。

 

1 医学的な疾患

 例えば、以前の病名で「微細脳損傷」の場合は、子どもさんが絶えず動かずにはいられないような感じで動いてしまう、というものです。この場合は、脳にわずかな傷があることが原因であると言われています。このように、医学的に原因の分かっている疾患が問題行動の原因になる場合ですが、療育を行っていく場合は、まず親御さんに話を聞いて、子どもさんの病歴をチェックすることが重要です。

 

2 身体感覚の反応の大きな偏り

 現在、この項目で想定されるのは、感覚過敏、そしてその逆のパターンである感覚の刺激に対する反応が弱い場合、それから、ある一部の感情表現だけ、極端に激しい表現になってしまうような場合、例えば、普通の会話は問題ないが相手が自分の思っていること違うことをしたときに、急に相手が戸惑うほど激しく怒り出す、ような場合である。そして、その相手が家族を含め、誰であっても同じような表現になる、というものです。

 感覚過敏については、感覚過敏自体、親御さんが知らない場合が多いようです。例えば、具体例で言うと、乳幼児の時、お母さんが抱っこしてもいつも泣き続けて、病院に行くと、「典型的な自閉症ですね」と言われたのが、3~4才ころから言葉が出だして、会話ができるようになり、通園していた通園施設の先生から「もう、幼稚園に行ったほうが良いのではないですか」と言われた場合。実際に療育相談に来られた例ですが、お母さんにお話を聞くと、小さいときから、触られるのを嫌がったり、偏食が激しく、食べたり飲んだりするとき必ず臭いをかいだり、花火の音やクラッカーの音を怖がったりしていたとのことでした。このことから、たぶん、乳幼児の時、接触過敏があって、お母さんが抱っこしても泣き続けたのではないかと考えられます。しかし、3~4才ころからその過敏が落ち着いてきて、それと反比例する形で、それまで遅れていた言葉や認知の発達が急速に伸びていったのではないかと思われます。感覚過敏の詳しいことについては、また別の機会を設けて述べていきたいと思います。

 

3 不適応行動

 例えば、子どもに多動であるとか、パニックになりやすいなどの問題行動がある場合、現在、広汎性発達障害のような医学的な原因だけが多く語られていますが、子どもの発達という観点から見ていくと、それだけではなく、もっと多様な原因が考えられます。その中で、もっとも重要なのが、この「不適応行動」です。つまり、子どものもつ問題行動は、広汎性発達障害のような医学的に診断される発達障害ではなく、あくまでも発達の個人差の範囲内で、子どものそれまでの経験の仕方、育てる側の働きかけの仕方、生活する上での環境等の影響によって、子どもに何らかの発達の不十分さが生じたり、あるいは学習や経験の仕方が適切でないことによる、適応がうまくできていない状態のことを、「不適応行動」と呼び、実は、発達的な視点から子どもの問題行動をみていくと、その多くが不適応行動と考えられます。

 そこで、ここでは、発達的視点から見て考えられる、「不適応行動」の原因を挙げておきます。

(1)一対一のコミュニケーションの発達の遅れ不十分さ

    →相手を「注目」する(見続け、話を聞き続ける)ことができるか

(2)自律性(自分で自分をコントロールして行動する能力)の発達の遅れ、不十分さ

(3)情緒の表現の未熟さ

    → 意思や感情を場面や状況に応じて、適切に表現することができるか

(4)生活する上での体力、運動能力の不十分さ

(5)人とかかわる経験(大人、子ども、2~3人の小集団、たくさんの人がいる集団等)の不十分さ

(6)生活環境

①家庭環境  ②親の育て方  ③子どもの体調(視力、聴力、アレルギー等)

2010/03/28(日) 23:37 | izawa

 今、日本の多くの医師が、広汎性発達障害や自閉症など診断する際の診断基準としていると思われるのが、1996年にイギリスの医師、ローナ・ウイングが提唱した「自閉症スペクトラム」の診断基準です。その中で、ローナ・ウイングは、自閉症スペクトラムを診断する上での決定的特徴は、「他の人への関心の欠如」である、としています。

 ということは、逆に言うと、「他の人への関心」」があれば、自閉症スペクトラムの可能性が少ないと考えられます。

 では、「他の人への関心がある」ということは、どういうことか。具体的には2つの要素が考えられます。

(1)他の人を意識する。→ 「人を見て行動する」

(2)他の人とかかわろうとする。→ 「自分の意図を伝えようとする。」

 

(1)人を見て行動する

  人を見て行動する = 「人の意図(考えや心の状態)を推測する。」

   ①人によって行動を変える。(2才ぐらい)

     (例えば、母親と他の大人とでは行動や態度が変わる。人見知り)

   ②相手の様子を見て行動を変える。(3才~)

    (例えば、母親や先生が笑っている時と、怒っているときで、行動や態度が変わる。)

   ③周りの状況を見て、行動を変える。(3才~)

    (例えば、周りに母親や先生がいる時といない時で、行動や態度が変わる)

 

(2)自分の意図(考えや心の状態など)を相手に伝えようとする。

  具体的には

   ①視線が合う(3ヶ月ぐらいから)

   ②指さしする(10ヶ月~)

   ③物を持って行って見せる(showing)(1才6ヶ月~)

   ④物のやりとりを楽しむ(1才6ヶ月~)

 

★広汎性発達障害の可能性の判断の基準

 楽しい広場では、楽しい広場が作成した「臨床的発達チェック表」を使い、上記の「人を見て行動する」と「自分の意図(考えや心の状態)を相手に伝えようとしているか」をチェックし、両方のそれぞれの項目がOKであれば、たとえ問題行動があっても、広汎性発達障害の可能性は少ない、と判断しています。つまり、問題行動の原因は、他にあると推察できます。

2010/03/27(土) 23:10 | izawa

 前回、前々回のブログで、子どもの発達と問題行動に関して、具体的な問題行動は何か、そして考えられる問題行動の原因は何か、について述べました。

 今回は、例えば、楽しい広場の個別療育相談に、多動の問題行動をもっている4才0ヶ月のAくんが来られたとして、その問題行動の原因を明らかにする手順について述べたいと思います。

 

★原因を明らかにする手順 

1  知的な発達の大きな遅れ、あるいは発達の個人差の範囲内の知的な遅れがないかを確認する。

2 人との関係性の発達の遅れ、具体的には広汎性発達障害(自閉症やアスペルガー障害などを含む)の可能性がないかを確認する。チェックポイントは「他の人への関心の欠如があるか?」

3 以前の病名で言う微細脳損傷のような、疾病の可能性の有無を確認する。

4 感覚過敏や、周りの人とトラブルを起こしそうな感情表現の仕方など、身体感覚の大きな偏りがないかを確認する。

5 上記の4つの原因の可能性が少ない場合は、「不適応行動」の可能性を考える。 

 

 ★原因を明らかにするポイント

1 知的な発達の遅れ

 まず、最初に知的な発達の遅れがないか、確認します。特に認知の発達を見ます。療育相談の場合は、楽しい広場で作成した臨床発達チェック表を使いますが、今回はそのポイントを明らかにしておきます。

(2才前半)日常的なものの名前が分かる。

(2才後半)基本的なものの分類(種類、用途)ができる。

〈種類〉    食べるもの(りんご)、飲むもの(ジュース)、乗り物(自動車)など

〈用途〉    雨の時使うもの(かさ)、紙を切るときに使うもの(はさみ)など

〈3才前半)基本的な動詞、形容詞が分かる。

    (動詞)食べる、飲む、投げる、洗う、など

    (形容詞)大きい、冷たい、青いなど

(3才後半)時間の観念が分かる

    (さっき、今、後で)  (昨日、今日、明日)

(4才)簡単なルールが分かる。

      ・じゃんけんの勝ち負け、かくれんぼなど。

      ・「よーい、ドン」で走り出すことができる。

   頭の中で考えていることや、知ろうと思っていること、経験したことを話す。

(5~6才)ルールのある遊びをする。

      ・鬼ごっこ、トランプゲームなど

      ・ボールや縄などを使ったルールのある遊び。

★発達段階の見方

 ○子どもの生活年齢に応じた発達段階より1才半以上遅れている場合は、発達の大きな遅れに関しては要注意と考える。6ヶ月~1才ぐらいの遅れの場合は、発達の個人差の範囲内の可能性を考える。

 ○5~6才で、知的な発達の遅れがあるのか微妙な段階の子どもさんがいる場合は、算数の力を見る。知的な発達に大きな遅れのある場合、その遅れが顕著に出るのが算数の能力である。ゆえに、算数の力が、遅れていなければ、知的な発達の遅れの可能性は少ない、と考える。具体的には

  (1)1~10の数列が分かる。

  (2)1対1対応が分かる。(リンゴ1こと鉛筆1本の1は同じ。)

  (3)数量の多い・少ない、たくさん・少しが分かる。

  (4)数字と数量の対応ができる。

      ①ゼリーを3個さらに入れることができる。

      ②皿に入っているゼリーを数え、「5個」と「答える。

  (5)1~10の数量の多い、少ないが分かる。

       ○○(2)<○○○○○(5)

  (6)1~10の数字の大きい、小さいが分かる。

  (7)数の合成、分解が分かる。

  (合成)

  ①皿にゼリーが3個あります。そこに先生のゼリーを2個あげます。ゼリーは全部で何個でしょう?

  ②皿にゼリーが3個あります。皿の中のゼリーを5個にしたいのだけれど、あと何個入れたらいいかな?

  (分解)

  ①皿にゼリーが5個あります。そこからゼリーを2個お母さんにあげました。残りは何個かな?

  ②皿にゼリーが5個あります。中のゼリーを3個にしたいんだけれど、何個ゼリーを皿から出したらいい?

2010/03/22(月) 22:55 | izawa

 現在、日本で幼児期を中心として、子どもの発達の遅れや問題行動の原因として、医学的な観点からの広汎性発達障害や自閉症などが盛んに挙げられていますが、実は、「発達的視点」から見ると、多様な原因が考えられます。そのうち、今回は、広汎性発達障害を含め、代表的な5つを取り上げます。

  

(1)知的な発達の遅れ

 子どもは生活年令に応じた応じた発達をしていく。例えば「3才の子どもは、3才の発達段階である。」ということである。しかし、何らかの身体的な原因で、自分の生活年令に応じた発達段階よりも大きく遅れている場合、具体的には、幼児期であれば1才半~2才以上遅れている場合、知的な発達に大きな遅れがある、と考える。(医学的な診断名は精神遅滞) 知的な発達の遅れを数値として表す場合は、知能検査や発達検査を使う。

 知的な発達の大きな遅れの他に、発達の個人差の範囲内の遅れ(6ヶ月~1才ぐらいの遅れ)があります。言葉が遅れている場合、このような範囲の遅れがよく見られます。このような場合は、例えば、発語が増え、会話ができるようになると(特に3~5才ぐらいの時期に)知的な発達が生活年令応じた発達段階に急速に近づくことがあり、また、発達の遅れがなかなか生活年令に応じた発達段階に近づかない場合もあります。

 

(2)広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー障害等を含む)

 人を意識したり、他の人の意図(考え、心の状態など)を推測して理解するということ、周りの状況や環境に応じて行動する等の「人との関係性の発達」が大きく遅れている場合、人を意識しないで行動することが多くなり、それがパニックや多動などの問題行動につながると考えられる。他にもいろいろな発達障害があるが、ここでは代表的なものとして広汎性発達障害を取り上げる。

 

(3)広汎性発達障害以外の、身体的、医学的な障害、疾患

 例えば、強迫性障害、あるいは以前の病名で言う微細脳損傷など、何らかの身体的、医学的な障害、疾患が原因として考えられるもの。

 

(4)医学的な発達障害ではない、身体感覚の反応の大きな偏り

・例えば、感覚過敏(接触過敏、臭覚過敏、聴覚過敏など)、あるいはその逆の感覚刺激の不十分さ。

・自分の思うとおりにならなかった時や、予想していたことと違う場合、急に大きな声を出したり、激しい言い方で相手に言うなど、ある一部の感情の表現の仕方が人とトラブルを起こす程度に偏っている状態。

 

(5)不適応行動

・子どもは発達段階に応じて、いろいろなことを学習し、経験し、適応していく。

・病気や、広汎性発達障害などの医学的に診断される発達障害ではなく、あくまでも発達の個人差の範囲内で、子どものそれまでの生活経験の仕方、育てる側の働きかけの仕方、生活する上での環境の影響によって、子どもの何らかの発達の不十分、あるいは学習や経験の仕方が適切でないことによる、適応がうまくできていない状態としての不適応行動。

2010/03/22(月) 13:20 | izawa

 今年度の療育セミナーの後半では、広汎性発達障害にだけ目が行きがちな、子どものいろいろな発達の遅れや問題行動の原因とその改善の方法について、実は発達的な視点から見ると多様な原因が考えられことや、それに応じていろいろな改善の方法が考えられることなどを中心に講演を続けてまいりました。その内容について、今回から何回かにわたって述べていきたいと思います。

★発達的視点とは?   → 子どもの一般的な発達過程を基準にして、個々の子どもたちの発達の実態(発達段階、発達の特徴など)を明らかにした上で、それを基に子どもの発達の遅れや問題行動の原因を分析し、発達を促したり、問題行動を改善するための、具体的な働きかけの方法を考えていく、という立場。」 

 

★幼児期の子どもの発達上不安をもつ、具体的な発達の遅れや問題行動

 楽しい広場で行っている「個別療育相談」におけるケースなどを中心に分析すると、今のところ親御さんたちが子どもさんの発達上不安をもつ、具体的な発達の遅れや問題行動は、次のとおりです。でも、今後、増えることも、当然考えられます。

(1)多動  ~ じっとしていない、落ち着きがない、大人の注意をきかない。
    →他の人への関心、意識が欠如しているのではないか、と心配する。

(2)パニック、他傷   ~自分の思うとおりにならないと暴れる、騒ぐ、大声を出し続ける、他の子どもをたたく、など。
   →子どもが状況の変化に対応できず、混乱しているのではないか、と心配する。

(3)友だちと遊べない、集団の中で活動したり遊べない。  
   →他の子どもへの関心、意識が欠如しているのではないか、と心配する。

(4)言葉の遅れ      
   →言葉の理解や、発語が遅れていて、知的な発達が遅れていたり、他の人への関心や意識が欠如しているのではないか、と心配する。

(5)こだわり    ~例えば、ミニチュアカーが大好きで、毎日順番に遊んでいる、あるいは車の車種をほとんど覚えているなど。  
   →こだわりがあれば、広汎性発達障害ではないか、と心配する。

(6)感覚過敏   ~例えば、触覚過敏、聴覚過敏、臭覚過敏、視覚過敏など。
   →例えば、乳幼児の時、触覚過敏で触られるのが嫌なため、お母さんが抱っこしても泣きやます、広汎性発達障害ではないか、と心配する。

(7)人見知りが激しい     
   →人見知りが激しい子どもさんが、広汎性発達障害、高機能自閉症、ア
  スペルガー障害ではないか、と心配する。 あるいは、将来、選択性かん
  もく(話す能力はあるのに、特定の場面、例えば学校でのみ全く話をしな
  い)になるのではないか、と心配する。

(8)人とうまくかかわれず、トラブルが多い。    
   →自分中心に行動してトラブルを起こす場合と、友だちや周りの人と
    かかわる場面も多いが、自分の思うとおりにならなかったりしたとき、
    急に大きな声を出したり、激しい言い方で相手に言うなどして、人と
    のトラブルが多い場合が考えられる。

(9)退行(例えば、赤ちゃんがえりなど)や、チックやしきりに手を洗いたがるなどの神経症的行動が出ている。   
   → 生活上の何らかの原因で退行や、神経症的行動が出、その原因
     が分からなく、発達障害ではないか、と心配する。

2010/03/22(月) 12:32 | izawa

 今年度(平成21年度)一年間にわたり、続けてまいりました、楽しい広場の療育セミナーも、平成22年3月21日(日)の札幌療育セミナーをもって、終了いたしました。実は、3月22日(月)に苫小牧で最後の療育セミナーを行う予定でしたが、参加者希望者が少なく、残念ながら中止をいたしました。この一年間、療育セミナーにご参加くださった皆様方、本当にありがとうございました。

 さて、今年度、札幌、旭川、釧路、苫小牧の4つの市で、毎月1回セミナーを行ってまいりましたが、来年度は、そのうち釧路、苫小牧についての、毎月1回の定期的な療育セミナーは休止することになりました。ただし、年に3回程度、これまでのような療育セミナーを開催できればと、考えております。その際は、このホームページや会報等でお知らせいたしますので、どうぞたくさんの方々のご参加をお待ちしております。

 来年度の札幌、旭川の一年間の療育セミナーの実施計画につきましては、4月に入り、早々に、このホームページ、あるいは会報等でお知らせする予定です。また、来年度、療育セミナーの他に、札幌におきまして、毎月1回、広汎性発達障害や自閉症などの診断を受けたり、その心配が考えられる子どもさんをおもちの親御さん、あるいは家族の方を対象にした、「親子発達サークル」を開催する予定です。広汎性発達障害とはなにか?広汎性発達障害の医学的な診断と、子どもの発達の遅れや多動などの問題行動の原因との比較、等をメインテーマに講演を中心とした内容のものです。これも、4月早々に、ホームページや会報でお知らせする予定です。

2010/01/06(水) 12:30 | izawa

 3才あたりから、将来の社会性(ルールや約束、順番を守る、他の人の嫌がることはしない、人とと協力する等)に向けてのいろいろな発達が伸びていきます。ここでは、社会性の発達に向けて重要な要素である、「自律性の発達」と「集団での活動への参加の始まり」について、述べていきます。

1 自律性の発達

 *「自律性」とは → 自分で自分をコントロールして行動する能力。自己主張と自己抑制のバランスがとれているということ。3才・4才頃から急速に伸張する。

(1)自律性の萌芽の時期(0才~3才)

①人への意識

 ・1才6ヶ月ころ ~ 母親を中心とした養育者とのコミュニケーションを通じて

             「他者の行動から意図(考え、心の状態)を読みとる」能力

             が徐々に発達していく。 → 自分と他者の違いの意識の

             明確化。

②命令や禁止の「内在化」

 → 子どもは、ハイハイや歩くことができるようになることにより、活動の範囲が広がり、それにつれて子どもは危険な場所や状態のところや、他に迷惑をかけるようなところへ行く場面が増えていく。それにつれて、親などの養育者が言うべきことになる、「ダメ」という命令や禁止の言葉を多く聞くようになる。それを繰り返すうちに、子どもは、親などの養育者が言うところの、命令や禁止の意味は分からないが、「○○をしてはいけない。」ということが、だんだん分かってくる。それを、命令や禁止の「内在化」という。

 

(2)自律性の形成と伸張の時期(3才~6才)

①「他者の行動から、意図や目的を読みとる」能力の伸張。

 → 具体的には、「人を見て行動する」ことができるようになる。

②認知面の発達

 → 3才を過ぎてからは、言葉でのコミュニケーションが成立する「言葉の世界」になり、物事の意味がだんだん分かってくる。

③自律性の伸長

 → そして、自分と他の人とのいろいろな面での違いを理解した上で、自己主張・自己実現と自己抑制のバランスをとりながら、自分の行動をコントロールすること、つまり、自律性が急速に伸張してくるのである。

④社会性へとつながる。

 → いろいろな集団での活動を経験することにより、ルールや約束、順番を守る、人に対して嫌がることをしない、等の、社会性が身に付いていく。

 

 

2 集団での活動への参加の始まり

・子どもは、ごっこ遊びをするようになる3才ぐらいから以降、人数の多少はあるが、日常の生活の中で「人とと一緒に活動する」という意味での「集団」での活動を経験していく。それは、家庭であったり、近所の公園であったり、保育園であったり、幼稚園であったり、子ども学習塾であったりする。

・また、3才を過ぎていくと、保育園や幼稚園などで設定された集団での活動、例えば、集団でのリズム遊び、遊具を使った身体遊びなどの場面に参加できるようになる。

・子どもは基本的に、家庭を中心にしてコミュニケーション能力や自律性を伸長させていき、それを基盤にいろいろな集団での生活を経験していく。幼児期の子どもにとって、それまで自分を中心に動いていたのが、他のたくさんの子どもとおやつを食べる、遊具で遊ぶ、絵本の読み聞かせを聞くなどという、集団での生活に沿って活動すること自体、「自分を緩やかに制御する」という経験をしていると考えられる。そして、自律性の伸長ととに、集団での生活の中で、他の子どもとのトラブルを経験することにより、約束や順番を守る、人が嫌がることや危険なことはしない、大人の指示や声がけを聞いて行動する、等の社会性を、自覚的に身につけていくことになると考えられる。  

2010/01/06(水) 11:33 | izawa

3才の発達の大きな特徴の一つが「言葉の世界に入る」ということです。

  → つまりは「言葉で考え、言葉でコミュニケーションをする」ということです。

1 「言葉で考える」とは?

・言葉を理解し、言葉を使って頭の中で考え、言葉で考えたことを理解し、それを基に言葉を使って判断する。

・言葉を使って考えることができるようになり、象徴機能(あるものを他のもので表現する)がさらに高度になり、知的な発達が飛躍的に伸びる。

 

2 言葉でのコミュニケーションの特徴

(1)コミュニケーションとは、基本的には「伝え合うこと」。

(2)人間の言葉でのコミュニケーションにはもう一つ重要な特徴がある。それが「人の意図(考えや心の状態)を推測すること」である。

 →それは、相手の意図を推測することにより、相手の言葉の内容だけではなく、「その言葉の意味を読みとることにつながり、それによって人間は、複雑で、高度なコミュニケーションができるのである。

《例えば》

★AさんとBさんがいて、

(Aさん)「Bさん、その本を貸してくれますか?」

(Bさん)「どうぞ、使ってください。」

      ↓

  これは、「伝え合うこと」

★CさんとDさんがいて、二人とも忙しく仕事をしているとき、Dさんの顔色が悪そうなことにCさんが気がつき、

(Cさん)「Dさん、顔色悪そうだよ。どこか具合が悪いんじゃないの?少し休んだら」

(Dさん)「いやあ、全然大丈夫ですよ。」

      ↓

 ここで、Cさんは、Dさんの意図を推測する。

「Dさんは、大丈夫といっているけれど、体調は相当悪そうだな。どうしても、終わらせなければならない仕事があるのかな?」

      ↓

 ここからCさんのコミュニケーションは複雑になっていく。Cさんの考えられる選択肢は、例えば次のように考えられる。

①「Cさん、少し休んだら?」

②「Cさん、医務室に行って来たら?」

③「Cさん、少し手伝おうか。」

      ↓

 つまり、人の意図を推測することにより、コミュニケーションが複雑になり、高度になっていくということになる。

 

3 言葉でのコミュニケーションはどのように発達していくのか。

 特に3才ぐらいまでは、母親を中心とした養育者とのコミュニケーションが重要になってくる。つまり、母親が言葉、声、表情、動作などで語りかけ、子どもがそれに対して、表情、声、動作、言葉などで応じあっていくことにより、コミュニケーションが深まると同時に、認知的発達や言語的発達が増していくに従って、言葉でのコミュニケーションが発達していく。

    ↓

 よく、言葉の発達が遅れている場合、「お母さん、もっと子どもさんと遊んであげてください。」とアドバイスされるケースがあるが、その理由は、上記の内容によると考えられる。

2009/12/03(木) 10:05 | izawa

 乳幼児にとって、「模倣」というのは、認知面、コミュニケーション、言葉、手指の巧緻性などの技能等の発達をしていく上で、とても重要なものです。とりわけ母親(養育者)との間の模倣は、基本になります。

 ここでは、コミュニケーションという面から、「模倣」を見ていきたいと思います。つまり、コミュニケーションという面から見ると、「模倣」にはどのような特徴があるのか、ということです。

 

 具体的な例として、「チンパンジーとヒトの模倣能力の研究」(明和政子氏、2006年)を取り上げます。

○チンパンジーの母親が、モノを介して子どもと関わるやり方は、ヒトの母親のそれとは本質的に異なる。

○チンパンジーの母親は、モノを介して乳児と関わることはほとんどない。そのため、チンパンジーの乳児は、モノの機能や操作方法を自分自身で試行錯誤しながら、それぞれの子ども自身のやり方で身につけていく。

●それに対して、ヒトの母親は、乳児とのコミュニケーションにおいてせっせとモノを取り入れ、鏡のように乳児に対して振る舞う。

●ヒトの乳児は、母親との間で模倣をすることにより、モノの知識を「他者との関係性」を基盤に学ぶ。

●こうした三項関係(母親、乳児、モノ)に基づくコミュニケーションは、「モノに関わる他者の行為の目的や意図を予測する」ことを可能にする。

●そして、ヒトはモノを扱っている他者の身体の動きそのものから、その背後に潜む「心の状態」を察し始めるのである。

         ↓

*このようにして、人間は、「相手の意図や目的を理解して模倣する」ことができるようになる。

*これに対して、人間にもっとも近いとされるチンパンジーは、相手の意図や目的を理解することなく、表面上だけで、同じ行動を模倣するのである。