療育教室 楽しい広場で考えられる言葉の遅れの原因の3つ目は「幼い」ということです。この場合は、保育園や幼稚園など家庭から離れた環境でお子さんが過ごすことで初めてわかることが多いですね。
同じ年令の子どもさんより言葉が遅い、先生や友だちと会話ができない、着替えや食事などの身辺処理ができないことが多い、先生とは遊べるが友だちとは遊べない、などが考えられます。
なぜ、幼い感じになるかの原因ですが、まず身辺処理について、お家での着替え、くつの履き替え、食事、後片付けなどの身辺処理について、お母さんやお父さんがやってあげることが多く、自分でやるという経験が少ないのではないかと考えらえます。
そして、二つ目の原因として、その身辺処理も含めて、生活全般で「子どもさんの要求に合わせて子育てをしている」場合が考えられます。
なぜかと言いますと、「子どもさんの要求に合わせて子育てをする」時の大きな特徴として、子どもさんが「自分の思う通りにならない経験をしていない」ということが考えられます。つまり、「自分の思う通りにならない経験」をすることによって、例えばお母さんに不満をぶつけたり、お母さんがなだめたり、お母さんから少し待ちなさいと言われたり、それで我慢したり、やっぱりやだあといって駄々をこねたりしながら、お母さんと人とのかかわり方を経験によって学んでいきます。
生活全般で、子どもさんの要求に沿って子育てをしていると、子どもさんにとっては楽しいことばかりで笑顔が多く、親御さんとしてはうれしいでしょうが、よく考えてみると、親御さんが子どもさんに合わせているので子どもさんが、例えばお母さんに何かを伝えようとすることが少なくて済みます。お互いに伝え合うということが少なくなります。
その上に、「自分の思う通りにならない経験」を知っていないと、楽しいことばかりではない日常の生活の場面で、どのように自分が反応し、行動していくかということを学ぶ機会がなくなります。
その結果、身辺処理ができないことが多い、言葉が遅れる、友だちとかかわることができない、そして、よく楽しい広場のご相談にある一斉指示が通らなくなる、ということが考えられます。
★改善の方法
子どもさんが幼いという場合、じゃあただ集団の中に入れればよいか、と言いますと、そうではありません。もう一度お母さんとのかかわりを増やして、人とかかわる経験を増やすことが必要と考えます。
1 具体的には、一日5分~10分でも良いのでお母さんと一緒に遊ぶことをお勧めしています。お母さんは特別な存在なので、一日のうちに短い時間でも、それを毎日続けていけば、かかわり方が変わっていきます。
2 さらに、着替えや食事、お風呂、トイレなどの日常生活の場面で、一言でよいので言葉がけをしてもらいます。一言でよいです。そのとき、ひょっとしたら、表情や動作、あるいは声、そしてっ言葉などで反応してくれるかもしれません。
3 そしてもう一つ大切なのが、「子どもさんの要求に沿った子育てを変えることです。変えるというのは「普通に戻す」ということ。「普通に戻す」ということは、日常生活では必ず起こるであろう「自分の思う通りにならない経験」をきちんと経験させるということです。 待たなければならない時には「待つ」、我慢をしなければならない時は「我慢する」など、「自分を抑える経験」もさせるということです。そこで、お母さんやお父さんとの楽しいことばかりではないけれど、これから生活をしていく上では必ず起こりうるであろう「自分の思う通りにならない経験」をとおして、人とのかかわりを経験していきます。
このようにして、子どもさんが幼い場合、人とのかかわり方や言葉の基礎編をお母さんとのかかわりでをもう一度学び直し、そこで力がついたら、幼稚園や保育園などの子どもの集団の中で、その応用編に入っていくことが良いと考えます。