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2021/10/12(火) 15:19 | izawa

 人間の「言語能力」というのは、発語、言葉を使った会話、言葉を使ったコミュニケーション(例えば、語る、指示する、会議をするなど)など膨大かつ複雑なものです。

 その中で、療育教室 楽しい広場の発達相談の中でとっても多いのが「言葉が出ない」「言葉がわずかしか出ない」というものです。つまり、2才、3才、4才になっても発語がない、あっても10個くらいのわずかしかない、という場合です。そして、親御さんとしては、「言葉を出したい」「言葉を増やしたい」と当然願います。

 では、どうしたらそのような子どもさんたちに言葉が出てくるのか?
 その答えを出すには、「では、一般的な発達として、子どもさんはどのように言葉が出てくるのか?」について、考え方を提示しなければなりません。

 

1 一般的な言語獲得理論

 子どもさんたちが言葉を出す、更にはその先の言語能力を獲得するという時、いくつかの説があります。
 一つは「環境説」。環境とは「大人の言葉」という意味で、大人の言葉や言葉がけなどの言語環境によって、子どもは言語能力を獲得していく、というものです。よく、以前「言葉のお風呂に入れよう」ということを聞きましたが、この環境説に近い立場の考え方でしょう。
 二つ目は「生得性重視説」。これは、環境からの刺激(大人の言葉)だけから最終的に大人の文法が獲得されるのは不可能であり、あらゆる言語に普遍的な文法を子どもは生得的にもって生まれてくるはずだ、というチョムスキーという人の理論が代表的です。
 三つ目は、「社会的相互作用を重視する」立場です。言葉の獲得に重要なのは、子どもの知的認知能力、そして、それに加えて「他者の意図を推測する能力」である社会的認知能力が重要である、とするものです。

 

2 「発達療育」における言語獲得の立場

 我々が行っている「発達療育」においては、上記の中の三つ目の「社会的相互作用を重視する」立場です。
 つまり、まず重要なのは認知的能力。これが言語発達の基礎になります。そして、もう一つ重要視しているのが人とかかわることから生まれる「伝えようとする力」です。その「伝えよう」とする経験の先に「発語」があり、言葉を使った会話、そして言葉を使ったコミュニケーションがあると考えます。

 

3 言葉が出ない原因

 今回は、言語能力のうち、「言葉を出す(発語)」「発語を増やす」ということに焦点を絞ります。
 療育教室 楽しい広場の発達相談やことば伸び伸び教室に、お子さんが「発語がない」「発語がわずかしかない」という不安で来られた場合、まつ、絵カードなどを使って認知能力を調べます。
 認知能力に大きな発達の遅れはないと判断すれば、次に「社会的相互作用を重視する立場」から、幼児期の中心となる養育者と思われるお母さんとのこれまでの「かかわり」についてお聞きします。
 すると、「発語がない」あるいは「発語が少ない」という子どもさんとお母さんとの「かかわりが極端に少ない」というケースがとても多いのです。「かかわりが少ない」ということは、おかあさんと要求、気持ち(心の状態)、感情、意思などを一方的にではなく、「お互いに伝え合う」場面が少ないということです。この「お母さんとのかかわりの極端な少なさ」が大きな原因と考えられるのです。

 

4 どうやって言葉を出すか

 子どもさんとお母さんとのかかわりが極端に少ないことが、発語のなさ、少なさの原因と考えられ場合、お母さんに日常生活の中で子どもさんとのかかわりを、できるだけ増やしてもらうようお願いします。
 具体的には、一日10分で良いので、一緒に遊ぶ時間を作ってもらいます。その時、一つ条件があります。積み木、お人形、ブロック、絵本、おもちゃなど、何でも構わないので「物」を使って遊んでもらいます。この物を使って遊ぶことによって、子どもさんとお母さんが一緒に「同じ物を見る」「同じ物を操作する」などによって、「共同性」が生まれ、「経験を共有する」ことができます。
 この「共同性」によって、例えばアンパンマンやばい菌マン、ドキンちゃんなどの絵が描いてある積み木がいくつかあったとして、子どもさんはお母さんが一緒に遊ぶことによって、お母さんが喜んだり、時には怒ったりする感情や気持ちを客観的に感じることができるようになります。
 そして、同じものを使って遊ぶ経験を共有していくことにより、その中で生まれる感情や気持ち、要求などを、子どもさんはお母さんに伝えられるようになります。お母さんはもちろん、それに応えてくれるでしょう。それが「かかわる」ということであり、「伝え合う」ということなのですね。

 もちろん、「伝え合う」という経験の他に、大人の「言葉を聞く」ということ、そして言葉を出すための基礎になる「声を出す」ということ、そして舌、唇、ほお、あごなどの口腔機能の向上のために「食べる」ということも、発達的な経験として必要です。

 これらの発達を基盤にして、「伝え合う」という経験が原動力となって発語につながっていくものと考えます。

 今回は以上です。

 

 

 

 

 

 

 

2021/10/11(月) 16:01 | izawa

 幼児期の発達の不安の中に「一斉指示が通らない」があります。幼稚園・保育園などで先生から指摘されることが多いですね。
 「一斉指示が通らない」についてはこれまでも何回かこのブログで説明をしてまいりました。しかし、これについて不安に思われている親御さんが今でも、全国でたくさんおられると思います。先日の10月3日に札幌で行いました療育教室の中にもおられました。ちょうど、就学にもかかわってきますので、もう一度ここで説明いたします。
 

1 「一斉指示が通らない」とは? 
 「一斉指示が通らない」というのは、幼稚園や保育園などの年少、年中、年長の子どもさんで、教室で例えばみんなんで絵を描こうとするとき先生の準備の話、具体的には「まず、自分のお道具箱を持ってきてください」「紙を取りに来てください、今日は白と黄色の紙を使います」など、先生が順番を追ってやることをクラスの子どもたちに話していくとき、自分だけ、ボーっとしていたり、何をやっていいか分からなかったり、仕方がないので隣や近くのお友だちの動きを見ながら、みんなについていくというようなとき、そしてそういうことが何回も続くようですと先生方から「一斉指示が通らない」と指摘を受けます。

 

2 なぜ、「一斉指示が通らない」がそんなに問題なのか?
 どのお子さんも最初は一斉指示が通らないのですから、「一斉指示が通るようにすればいいのではないか」と単純に考えますが、現実はそうはいかない場合が多いのです。
 例えば、年中さんの子どもさんにそういう子どもさんがいたとき、「まあ、そういう子どもさんも中にはいますよ」と、どっしり構えてくださる先生もいらっしゃいます。
 しかし、一方で「一斉指示が通らない?それは大変だ、自閉症かもしれない」と考える先生もたくさんいらっしゃるのも事実です。そのように考えられる先生がおられて、親御さんに「お子さんは一斉指示が通りません」と言ってくるということは、間接的に「お子さんは自閉症かもしれませんから、発達相談を受けられて、早期療育を受けられてはどうですか?」ということをおっしゃられている場合が多いようです。
 これで、お分かりのように早期療育関係の方々や保育園・幼稚園の先生方の中に「一斉指示が通らない=自閉症」と考えられている方が多く、そういう考えをおもちの先生方であれば、「一斉指示が通らない」ということを重大な問題と考える可能性は十分あります。

 

3 「一斉指示が通らない」原因は何か?
 我々「発達療育」では、もちろん自閉症とは無関係と考えます。では、原因は何か?
 これまで、療育教室 楽しい広場の発達相談にも「一斉指示が通らない」と先生に言われて、来られたお子さん、親御さんがたくさんおられました。そこから考えていきますと、原因は二つ考えられます。
 一つは、3才くらいまで、「おうちで伸び伸びと過ごしている」場合です。伸び伸び過ごすのは良いのですが、自分でやれそうなこともお母さんやお父さんがやってあげていたり、「待つ」とか「ちょっと我慢する」という経験をほとんどしていない場合です。そういうお子さんは、言葉が遅れる場合もあります。しゃべる必要があまりない場合は遅れる可能性があります。そして、「自分を抑える経験」が少ない分「自分中心」になってしまいます。
 そういうお子さんが3才を過ぎて幼稚園や保育園の集団生活に入った場合、自分の身辺処理がなかなかできなかったり、大人とのコミュニケーションはできるのですが、友だちと一緒に遊んだり、話しをしたり、集団で行動をすることなどが、他の子どもさんより遅れるという場合が考えられます。

 そしてもう一つは、「視覚優位」の子どもさんの場合です。2021年10月9日付のブログで、それについては説明をいたしましたが、「視覚優位」のお子さんの中で、極端にお母さんとのかかわりが少なかった場合で、言葉が遅れたり、「待つ」とか「少し我慢する」などの自分を抑える経験が少ない場合、「おうちで伸び伸びと過ごしている」場合と同様な状態になることが考えられます。

 この二つのパターンの子どもさんに共通しているのは「自分中心である」ということです。つまり、その分「幼い」と感じられるということです。そして、そのような子どもさんの場合、まだ仲の良いお友だちがいたり、何人かのお友だちと一緒に遊ぶということができていない場合が多いのです。つまり、まだ集団の中にいても意識は自分の周りしかないということです。ですから、10人とか20人の集団の中で、他のお子さんたちも意識できていないのですから、その集団に向かっての大人である先生の言葉を聞き分けるということは難しいと考えられます。

 

4 「一斉指示が通る」ために何をしたら良いか?
 
これまで、考えてきたことを重ね合わせますと、何をすれば良いかが見えてきます。
 まず、友だちができて、数人の友だちと遊ぶことができることです。それができるようになると、数人の友だちの集団の中で遊んだり、行動することの中で、少し向こうにいる〇〇くんと話したり、後ろにいる△△ちゃんが自分を呼んでいることなどが分かるようになり、その集団がだんだん大きくなり、大きい集団の中でも友だちや先生を意識できるようになってきます。そこまでくれば、人間の耳には人の声を聞き分ける能力が備わっていますから、集団の中での「一斉指示が通る」ようになっていきます。
 ここで一つ、集団の中で「一斉指示が通る」ようになるためには、幼稚園や保育園の先生方のご指導が必要になります。
 具体的には、まだ友だちがいないようであれば、何人かの友だちのごっこ遊びなどの中に先生が最初一人入っていただいて、一緒にお子さんも参加するようにし、何回かの経験の後は先生が抜けて、子どもたちだけで遊ぶように先生方にお願いしてはいかがでしょう。

 ちなみに、これまでにも、何人ものお母さんから「一斉指示が通るようになった」とご連絡がありました。

 今回は以上です。

 

 

 

 

 

 

2021/10/10(日) 12:51 | izawa

 絵本の読み聞かせは、幼児期の子どもさんに対する大事な教育の方法の一つです。
 その意味は、二つあると思います。一つは、「注視する」ということです。絵本を見つめる、読んでいる人を注視する、ということです。
 「見る」ということは、子どもさんにとって、「考える」ということにつながります。例えば、いろいろな形、あるいはいろいろなキャラクターの絵の積み木を前にして、並べたり積んだりしながら、いろいろなことを考えていきます。そして、それは、他の場面でも考えることにつながっていきます。「考える」ことの入口は「見ること」なんですね。

 そして、もう一つの意味は、「ものごとを順番に記憶していく」ということです。1才、2才、3才、4才、5才と年令に応じて、絵本の中の文章の量、内容の複雑さが増していきます。それらを通じて、絵本の読み聞かせを聞きながら、順番に聞いて記憶をしていく経験をしていくことになります。
 いろいろな内容の文を聞いて、記憶して、考えて、時には頭の中で言葉を並び替えながら相手に伝えていきます。こういう、言葉を使ったコミュニケーションの基盤になるのが「ものごとを順番に記憶していく」ということです。

 ところが、時に絵本の読み聞かせをじっと聞いていられず、ページを次々にさっさとめくって進みたがる子どもさんがいます。自分のお子さんや周りにそういう子どもさんがおられませんか?なぜ、そのように進みたがるのでしょう?
 実は、療育教室 楽しい広場の発達相談やことば伸び伸び教室でも、これまでにもたくさんおられました。その子どもさんたちの大きな特徴は、前回のブログでも説明いたしました「視覚優位」の子どもさんたちなのですね。これは、見事にほとんどの子どもさんがそうでした。
 ではなぜ「視覚優位」の子どもさんたちがそうなるのか?「視覚優位」の子どもさんたちは、絵本を見ることは好きなんですね。お父さんやお母さんも、自分の子どもさんが「絵本は好きだ」と思っていらっしゃいます。しかし、絵本を読み聞かせていくと、ページをどんどんめくって進みたがる、というのも感じていました。でも、そのことをそんなに深く考えておられなかった、ということですね。
 絵本をどんどんページをめくって進みたがるというのは、多分、「視覚優位」の子どもさんたちは、絵を見ているのだと思います。その反面、文は聞いていない。だから、お母さんや先生が絵本を読み聞かせても絵を早く見たいから次のページに進みたがるのでしょう。

 さて、「絵本を読み聞かせる」ことの大事な意味の一つが、「ものごとを順番に記憶していく」ということでした。それは、言葉による会話、コミュニケーションにつながっていきます。もちろん全てではありませんが「視覚優位」の子どもさんで、発語が遅れる、会話力が遅れる、言葉でのコミュニケーション能力の発達が遅れる場合が出てきます。療育教室 楽しい広場でもそうでした。
 ただし、これは障害ではありません。これを「障害だ」という人も少なからずいることも事実です。
 しかし、療育教室 楽しい広場では、もし、子どもさんが「視覚優位」の子どもさんで、発語や言葉の発達が遅れているとしたら、その対応策の一つとして「絵本の読み聞かせ」を続けていきます。実際、最初はすぐ次のページに行きたがっていた子どもさんでも、2~3回経験していけば、だんだんじっくり絵を見て、話を聞くようになります。そして、それをおうちや幼稚園・保育園などで経験していけば、子どもさんは変わっていきます。つまり、「順番にものごとを記憶していく」経験を重ねていくことにより、発語や言葉の発達も伸びていくということなのです。

 今回は、以上です。

 

 

 

2021/10/09(土) 18:07 | izawa

 これまでも、療育教室 楽しい広場の「発達療育」では、「視覚優位の子どもさん」をたくさん取り上げ、そしてこれからもたくさん取り上げることになると思います。

 これまでも以前にこのブログで何度か取り上げましたが、ここでもう一度「視覚優位の子どもさん」についてまとめておきたいと思います。今後「視覚優位の子どもさん」について説明をする場合は、今回のブログを見ていただこうと思っています。

 

【視覚優位の子どもさんについて】

1 視覚優位と思われる子どもさんの特徴

 ・記憶力が抜群に良い
 ・一度見たものを細かいところまで覚えている
 ・絵本や図鑑を見るのが大好き
 ・テレビなどの画面で、小さい時からアニメの番組を見るのが大好き
 ・アニメのキャラクターや車の名前などを膨大な数覚えている
 ・2才~5才くらいで、ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字を
  読むことができる 

 

2 視覚優位とはどういうことか?
 
視覚的な情報が、細かい所まで含めて、たくさん脳の中に記憶され、あふれているのではないかと考えられる。

 

3 幼児期の早期療育の中で、なぜ視覚優位を注目するのか?
 
これまで、15年間、療育教室 楽しい広場として、早期療育を行ってきましたが、その中で次のような発達に不安のある子どもさんがおりました。
 ・発語がない
 ・発語が少ない
 ・言葉の発達が遅い
 ・友だちと遊べない
 ・ボーっとしていることが多い
 ・宇宙語のようなものを話している
 ・突然違う話をし始める
 ・突然コマーシャルを言い出す
 ・話しかけてもこちらの言ったことを理解しているかどうか分からない
 ・集団行動の中で、一斉指示が通らない

 実は、これらのような子どもさんの中に、親御さんから話を伺っていくと「視覚優位の特徴」をもっている子どもさんがたくさんおられました。たくさんというのは、半数以上はもちろん、6割、7割くらいの割合です。相談やことばの指導を行う場合は、療育記録を毎回つけますので、その記録に「視覚優位」書かれた子どもさんがたくさんおられたということです。
 つまり、幼児期の子どもさんの発達の不安の原因として、この「視覚優位」がかかわっている可能性が多いということになります。

 

4 では、なぜ「視覚優位」になるのか?(原因)

 なぜ、視覚優位の特徴をもつ子どもさんが出現するのでしょう。早期発達相談や早期療育の関係者の中で、「視覚優位=自閉症」と考えられている方が多いという話は聞いたことがあります。

 療育教室 楽しい広場では、視覚優位と自閉症は無関係と位置づけています。では、「視覚優位」になる原因は何か?

(1)カウフマン理論
 1983年にアメリカのカウフマン夫妻が作った「K-ABC」という知能検査があります。日本では、1993年に日本版が標準化され、2013年には「K-ABC-Ⅱ」の日本版が刊行され、日本でも使われている知能検査の一つです。
 さて、この「K-ABC」という知能検査の理論モデルが「カウフマン理論」と呼ばれています。その中で、人間がもっている脳の認知処理機能の類型として、二つ挙げられています。それが「同時処理機能」と「継次処理機能」です。

(2)同時処理機能、継次処理機能の定義

 カウフマンモデルの中で、次のように定義されています。

(同時処理機能)
 ・複数の情報をまとめ、視覚的・運動的な手がかりを使って全体として
  とらえ、処理していく。
 ・視覚的な記憶力、全体を部分に分解する能力、空間認知能力などに結
  びついていると考えられる。
 ・日本版の「K-ABC」では、複数の視覚的な情報をまとめる力を示
  している。
(継次処理機能)
 ・連続した刺激を聴覚的・言語的な手がかりを使って、一つずつ順番に
  分析し、処理していく。
 ・短期記憶、情報の系列化の能力などに結びついていると考えられる。
 ・日本版の「K-ABC」では、複数の音声や動作を、聞こえたとおり
  見たとおりにの順番で、どの程度真似ることができるか等の力を示し
  ている。

 ここで、具体的な例で考えてみますと、例えば、「7058391」という7ケタの数字を覚えようとすると、「なな、ぜろ、ご・・・・」と口で唱えながら順番に覚えていくのが「継次処理機能」、一方、数字を見て写真を撮るように全体を一括して記憶するのが「同時処理機能」と考えられます。

(3)視覚優位とは「同時処理機能」が強いこと
 「K-ABC」の知能検査では、検査結果で「同時処理機能」と「継次処理機能」のどちらが強いかが分かります。
 通常、人間はこの二つの機能のうち、「継次処理機能」の方が強いと考えられています。しかし、中には「同時処理機能」の方が強い人がいます。そして、この「同時処理機能」の方が強い子どもさんが、前述した「視覚優位の特徴」をもった子どもさんと考えられます。つまり、「同時処理機能」が強いとしたら、「視覚優位の特徴」は十分考えられるということです。
 療育教室 楽しい広場では、「視覚優位」と考えれる子どもさんは、同時処理機能が強い子どもさんではないか、と考えています。

 

5 「視覚優位」と発達の不安の関係

 本来、視覚優位だからといって問題があるわけではありません。よく、映画監督で、場面ごとのスケッチを、あっという間に描いてしまう方がいらっしゃいますが、そういう方は、多分「視覚優位」の方と思われます。こどもさんでも、就学前に、ひらがなやカタカナ、数字、アルファベットをたくさん読めることは、なにも悪いことではありません。
 しかし、「視覚優位」の子どもさんの中で、もちろん全てではなく一部ですが、発達の不安をもつ子どもさんがおります。一番多いのが、発語の遅れ、言葉の発達の遅れです。
 なぜ、言葉が遅れるのか。
 その理由は、もちろん障害ではなく、同時処理機能が強い分、相対的に言葉の発達にとても重要な役割を果たす「継次処理機能」を使った情報処理の経験が少なかったのではないか、と考えます。
 「同時処理機能」でてっとり早く情報処理していくうちに、手間のかかる「継次処理機能」での情報処理が少なくなり、偏ってしまったのではないか。
 言葉というのは、物をただ見て「バナナ」というように言葉が出るわけではなく、お互いに意思や要求、感情などを「伝え合うこと」によって出てくると考えられます。「同時処理機能」が強く、偏ってしまった場合、言葉が出てくるために必要な「伝え合う」という経験が、「継次処理機能」を使う経験が少ないために少なくなってしまったのではないかと考えられます。

 ここでまとめます。
・視覚優位自体、悪いことではない。
・視覚優位の原因と考えられる「同時処理機能」が、相対的に「継次処理
 機能」より、情報処理の機能として強く偏ってしまった場合、発達の不
 安が生じる可能性があるのではないか。

以上です。

 今後、いろいろな発達の不安に関して考える際に、内容によっては、今回の「視覚優位」についての説明を利用していただけたらと考えております。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/10/06(水) 13:03 | izawa

 昨年11月に開催を予定しながら、コロナウイルス感染拡大の影響のため、開催を断念いたしました「第1回 釧路療育セミナー」をこの10月24日(日)に開催する運びとなりました。

 テーマは
 『自閉症の迷信を吹き飛ばす 「自閉症ではない」と判断する2つのポイント~良くも悪くも人を見て行動する、ごっこ遊びができる』
です。
 主な内容は、以下の通りです。

 (日時)令和3年10月24日(日)10:00~12:00 

 (会場)釧路市生涯学習センター(まなぼっと) 学習室 602

 (対象)幼稚園教諭、保育士

 (会費)お一人 2000円(資料あります。)

 詳しくは、ホームページメニュー「療育セミナー」に掲載しておりますのでご覧ください。

 たくさんの方々のご参加をお待ちしております。

 

 

 

 

2021/10/02(土) 11:54 | izawa

 北海道の緊急事態宣言が解除され、療育教室 楽しい広場が会場としていつも利用させていただいています、札幌市社会福祉総合センターの会議室も10月1日から利用可能になりました。

 つきましては、10月のこども発達相談とことば伸び伸び教室ですが、2回行います。日時は以下の通りです

 10月 3日(日) 9:00~16:00

 10月17日(日) 9:00~16:00

 ただ、3日(日)の方は、全ての時間帯が予約済みになっておりますので、お問い合わせの方は、10月17日(日)になります。

 10月は来年度の就学に向けて具体的に動き出す時期です。お子さんの就学に関して不安をおもちのお父さん、お母さん、どうぞ、一度お問い合わせください。お待ちしております。

 

 

 

 

 

2021/09/24(金) 11:59 | izawa

 言葉がわずかしか出ていない、友だちと遊ばない、自分の世界に入ることが多い、集団の中からすぐ飛び出す、かんしゃくが激しい、友だちとトラブルが多い、一斉指示が通らないと言われた、等々、幼児期の子どもさんの発達の不安はたくさんあります。

 これらの原因を明らかにし、それに応じた適切な働きかけをして、発達の不安を改善していくのが早期療育です。

 その原因を考えるとき、知的障害を除くと、よく言われているのが自閉症やADHD(注意欠陥多動性障害)、学習障害などの発達障害です。もちろんそういう子どもさんもいます。しかし、発達障害以外に原因がある子どもさんもたくさんいます。

 早期療育を行うそれぞれの機関で、発達の不安の原因を考えるとき、知的障害や発達障害以外にどれだけほかの引き出しをもっているかが、それぞれの機関の早期療育の専門性のレベルになると考えられます。

 なぜ多くの引き出しをもつ必要があるのか。

 それは、例えば、3才で発語が10個程度の子どもさんがいて、親御さんが相談来られた時、考えられる原因は3つです。

 一つは知的な発達の遅れ。二つ目は自閉症などの発達障害。そして三つ目は単なる発達の遅れ、つまり適切な働き掛けによって発達の不安は改善される、つまり同じ年令の発達段階に追いつくという場合です。

 療育教室 楽しい広場が行っています「発達療育」では、これらの三つの考えられる原因に関しての「引き出し」をもっています。

 知的障害や発達障害以外に、こういう原因が考えられて、こういう働きかけで不安を改善していきましょう、と進んでいくための「引き出し」がたくさんあります。

 それは、これまでのこのブログや、これまでの療育セミナーの資料、そして昨年出版しました電子書籍『障害以外から原因を考える「発達療育」』、そして現在改訂作業を進めています「発達の概略表」などです。

 この引き出しをたくさんのお父さんお母さんにお伝えし、お子さんの発達の不安を改善していくのが、楽しい広場の「こども発達相談」や「ことば伸び伸び教室」であり、引き出しを幼稚園や保育園などの先生方にお伝えするのが療育セミナーです。

 今後も、障害以外の「引き出し」をたくさんもって早期療育を行う指導者の方々がたくさん出てこられるように、いろいろな手段を使って発信してまいりたいと思います。

 そして、発達に不安をおもちのお子さんのお父さん、お母さん、こども発達相談、オンライン発達相談、メール発達相談でお問い合わせください。お待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/09/18(土) 17:59 | izawa

 「気を付け」の姿勢から、両手を胸の近くまで持ち上げてみてください。そして、手のひらを上にして顔の方に向けます。このまま両手を左右に振ると「裏手バイバイ」になります。

 この時、肘を見ます。最初気を付けの姿勢から胸まで上がってきたということは肘が「縮む」つまり「曲がる」ということができるということ、これは生後6か月くらいになると手を伸ばして物をつかむようになりますから、そのころからできるということですね。伸ばせば戻すのに肘が縮みますから。そして気を付けの姿勢の時から、手のひらを顔に向けると、肘が外側に回っていきますね。これを「肘の回外」と言います。だいたい生後7か月~8か月くらいになればできるようになります。

 今度は、「気を付け」の姿勢から腕を胸のところまで上げて、手のひらを自分の体の逆の方へ向けて、両手を左右に振ると「バイバイ」になります。この時の肘を見てみますと、肘が内側に向かって回っていくのが分かります。これを「肘の回内」といいます。これは、例えば物をつまもうとするときには、「肘の回内」が必要ですね。子どもの発達としては、親指と人差し指で「物をつまむ」ことができるようになるのは、だいたい1才頃です。

 さて、裏手であろうが普通のバイバイであろうが、形は違いますがその行為の意味は、子どもが自分の、例えば「行ってらっしゃい」「バイバイ、またね」などの気持ち、心の状態を相手に伝える、ということです。それは、どちらの形だとしても同じです。

 これまで、何度もこのブログでも伝えてまいりましたが、「自閉症の迷信」の一つに「裏手バイバイをする子どもは自閉症である」があります。

 なぜこれが迷信であるか。まずは、自閉症と裏手バイバイを結びつける論証がないということです。誰が言い始めたかは知りませんが、その論証は聞いたことがありません。

 それから、裏手でも普通でも「バイバイ」をするということは、人とのかかわりの中では、自分の気持ちと相手への思いを伝えたいという、至極普通の行為です。それが、「裏手だけは自閉症である」というのはおかしい話ですよね。どんなバイバイであろうが意味は同じですから。

 よくよく冷静に考えると、子どもさんの発達の姿も見えてきます。いままでも、ただ自分の子どもさんが「裏手バイバイ」をしているだけで、「自閉症ではないか」と悶々と苦しんで、楽しい広場に相談をされたお母さんが何人もいらっしゃいました。

 子どもの発達と障害は、「裏手バイバイ」だけで分かるほど単純なものではない、ということをご理解いただければありがたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/09/17(金) 13:44 | izawa

 療育教室 楽しい広場で行っている「発達療育」の大きな特徴の一つは、子どもさんの発達の実態を見るとき、そのときまでの、子どもさんの「生活経験を重視する」ということです。「これまでにどのような生活経験をしてきたのか?」

 「発達療育」で、子どもさんの発達の実態を見るとき
(1)発達段階
(2)これまでの生活経験
の2つを見ます。

★例えば、3才になったばかりの男の子どもさんで、発語が10程度で、親御さんとしては言葉をもっと増やしたい、という相談があったとします。

 まず(1)発達段階を見ます。この場合は、四角形の面を想定します。療育教室 楽しい広場で作成している「発達の概略表」を使って、まず、縦の線として、言葉の発達段階をみます。そして、横の線として、その他の認知、コミュニケーション、人とのかかわり、身体・運動、手指の巧緻性などの発達段階を、親御さんゕらの聞き取り、あるいは実際に子どもさんと一緒に遊んだりしながら把握していきます。

 そして、次にこれまでの生活経験を親御さんから伺います。具体的には次のような内容です。
①経験の仕方
  ・お母さんとのかかわり方
  ・家での生活リズム
  ・身辺処理
②環境
  ・家族
  ・幼稚園、保育園など
③身体的特徴
  ・視覚優位はないか?
  ・感覚過敏はないか?
  ・緊張が強い、不安感が強いなどの「気質」は考えられるか?
  ・自閉症の診断の有無

 子どもさんの発達の実態を考えるとき、ロールケーキが入っている、細長い箱をイメージとして考えます。ロールケーキを出し入れする横の面が「発達段階」、そして細長い奥行が「生活経験」です。
 つまり、発達の実態というのは「体積」ということですね。子どもさんによって、横の四角形も微妙に違うでしょうし、奥行きも、体積ですから経験という中身がつまっています。子どもさんによって奥行きの長さも、体積の形も少し、ねじれたり、凹凸があったり、隙間があったりするかもしれません。それが、個人差と考えられるでしょう。

 よく発達相談や病院などで、発達検査や知能検査を行いますが、その結果は、その日の、その時の「発達の断面」と考えるべきでしょう。子どもさんの発達の実態を正確に把握するには、それまでの生活経験を見ていかなければなりません。子どもさんの発達とは「面」ではなく、「体積」という中身がつまっているものだからです。

 そして、そこから例えば、3才で発語が10個程度という、発語が遅れている原因が、「発語に必要な何らかの生活経験が不十分だったのではないか?」と考え、その奥行である生活経験を分析することにより、不十分であったと考えられる生活経験が分かれば、それを補充する形で経験することにより、発語が増えていく、ということになります。

 これが、「発達療育」の基本的な形です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/09/14(火) 12:54 | izawa

 昨年、令和2年(2020年)9月に、療育教室 楽しい広場で作成しました『障害以外から原因を考える「発達療育」』という本を、北海道デジタル出版協会から電子書籍として出版させていただきました。

 この本の大きな特徴は、子どもさんの発達の不安の「障害以外」の原因とその改善の方法を、しっかりとはっきり説明しているところです。

 2才・3才・4才で言葉が出ない、発語がわずかしかない、友だちとの会話に入っていけねい、ボーっとしていて宇宙語のような言葉を話す、突然違う話をし始める、一斉指示が通らない、かんしゃくが強い、友だちとトラブルが多いなど、幼児期の子どもさんの発達の不安はたくさんあります。

 このような子どもさんがいたとき、知的障害を除けば、保健センターなどの発達相談機関や病院などでは、その原因は自閉症を中心とする「発達障害」と考える場合が多いと思われます。

 

 療育教室 楽しい広場が行う「発達療育」は、違います。

 発達の不安の原因は、「本来発達に必要な生活経験が不十分だったのではないか?」と考えます。その不十分だった生活経験が分かれば、その生活経験を補充して経験させ、それによって不安が改善されていく、と考えます。そういう考えで、原因や改善の方法を説明したのが、ご紹介している電子図書『障害以外から原因を考える「発達療育」』なのです。

 自閉症や発達障害の子どもさんがいることは事実です。しかし、重度のはっきりと障害が分かる子どもさんは除き、障害と考えるのは、最後の最後です。最初ではありません。それが「発達療育」の考え方です。

 子どもさんに発達の不安があるとき、その原因は「障害以外」にたくさんあります。「自閉症」「発達障害」という言葉にがんじがらめになって身動きがとれず、苦しまれているお母さん、お父さんがいらっしゃいましたら、ぜひ、一度読んでみてください。人間、「障害」という言葉一言で片づけられるほど単純ではない、ということが分かっていただけると思います。